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ヴァレンシュタイン騎士団

アフリカ同盟の大軍が神聖ヴァルキュリア帝国領のエジプトへと進軍した。

アフリカ軍の予想以上の攻勢にヴァルキュリア軍は敗戦が続き、帝都コンスタンティノープルに援軍を要請した。

これを受け、帝国宰相カール・アントン・フォン・ジグマリンゲン侯爵は「ヴァルキュリアの双璧」の一人ラルフ・フォン・ヴァレンシュタイン公爵にアフリカ遠征を命じた。


宝暦1937年2月10日。

ヴァレンシュタイン騎士団オルデンはリビア属州・トブルク要塞へと入る。

ラルフは早速、騎士団オルデンの将軍衆を集めて会議を始めた。

将軍衆はテーブルを囲って席に着いて、テーブルの上に大きな地図を広げた。

将軍衆の中では最年長のエルンスト・ヨハン・フォン・クールラントがまず状況を整理する。

クールラントは黒い軍服に赤いマントと飾緒を付けた服装に、胸にはヴァルキュリア軍中将の階級章が付けてあった。

金髪碧眼でいかつい顔と鋭い目付きをした容姿をしている。その姿は見る者を威圧して悪魔か何かを連想させた。

そし

「敵の戦力はおよそ5個師団、ガーディアンは1500機と言ったところでしょう。対して我らが騎士団の戦力は3個師団、900機と数的に不利です。現在、敵軍は南方からこの要塞へと向かっており、明日の昼には到着するものと思われます」


「となると、この要塞に敵を引きつけて決戦に及ぶのが上策か」

そうロンメルが顎に手をやりながら呟く。

ロンメルは赤髪のやや癖のあるおさまりの悪い髪をし、生き生きした印象の容姿をしている。褐色の軍服に青色のマントと飾緒を付けた服装で席に着いている。胸にはクールラントと同じく中将の階級章がある。


皆、ロンメルの意見が妥当だろうと考えた。兵力が不利である以上、野戦にて戦うのは多くの犠牲が予想される。ここでヴァレンシュタイン騎士団オルデンの戦闘継続能力が著しく低下しては北アフリカ戦線の瓦解にも繋がりかねないだろう。

しかし、ラルフの考えは違うものだった。

「明日未明、全軍で出撃するぞ」

黒色の軍服に白のマントと飾緒を付けた服装を着た彼は、極めて冷静に落ち着いた感じで述べる。

少々長めの綺麗な黒髪に漆黒の瞳をしており、将軍としては小柄な体格だが、輝くばかりの美貌を持った彼は、若い覇気と品格の双方がバランスよく放たれている。


ラルフの言葉で一同は目を見開いて驚く。

「おいおい、この状況で正攻法で出たら自殺行為だぞ」

足を組んでテーブルの上に乗せ、何とも尊大な姿勢を堂々としている彼女はユリア・フォン・ミトロウィッツ。将軍衆の中では最も若く、唯一の女性。腰の辺りまで伸びるストレートの艶やかな金髪に、輝くような金色の瞳。バランスが取れた顔立ちは正に女神と見まごう美貌。桃色の軍服に黒のマントと飾緒を付けた服装をし、胸にはヴァルキュリア軍少将の階級章が付いている。


ユリアの言葉に対し、ラルフは自信の満ちた表情で、

「確かに、普通に考えれば自殺行為だろうな。だが、だからこそ敵も我等が野戦を挑むとは思ってはいまい。それに敵は連戦続きで兵達も疲れ切っていよう。ここは一気に攻めて敵の勢いを覆してやるべきだ」


ロンメルはラルフの言葉を聞いてうっすら笑みを浮かべる。

「閣下がそうお決めになられたのでしたら私に異存はありません」


「私も構わんぞ」

上官に話しているとは思えないような口調と態度で言うユリア。


そしてクールラントも渋々ながら了承した。

こうしてヴァレンシュタイン騎士団は明日未明に出撃する事が決まった。





翌未明、ヴァレンシュタイン騎士団オルデンは出撃し、夜明けとほぼ同じ頃に両軍は接触した。ラルフはすぐさま先制攻撃を仕掛けて敵の混乱を招くのかと思いきや魔導銃で一斉射を仕掛けると後退し始めた。

予期せぬ襲撃に統制がうまく取れないアフリカ軍の一部が追撃戦をし、それに釣られるように次々と他の部隊もヴァレンシュタイン騎士団オルデンの後を追う。


後退するヴァレンシュタイン騎士団オルデンのガーディアンの中に1体だけ白いマントに金色の装飾が付いたゲフィオンがいる。これは総司令ラルフの専用ガーディアンである。

ゲフィオンのコックピットから敵軍の動きを確認したラルフは口元を緩めて安堵する。

「ふう。どうやら敵は俺の予想通りの動いてくれてるみたいだな」


ラルフ機にユリアの機体が近付く。

「ここまでは順調のようだが、この次も作戦通りでいいのか?」

無線機を通してユリアの声がラルフ機のコックピットに響く。

ラルフも通信機をオンにしてユリア機指示を出す。

「このまま続ける。ユリアは別働隊を指揮して敵の背後へ回ってくれ」


「了解だ」

通信を切ると、ユリアはラルフの作戦を遂行すべくその場から去る。


少しして、ラルフは両軍の位置を確認するとゲフィオンの右手を上に上げて何か合図をするかのような動作を取る。

すると、アフリカ軍のガーディアン部隊の足元で所々爆発が起きた。

その爆発に巻き込まれて脚部を損傷してしまい、身動きが取れなくなってしまうホルス14が次々と現れた。これはラルフが前日の内に工兵部隊に命じて設置させた地雷だった。ラルフの策は敵を地雷原へと誘い込む事だったのだ。

ただでさえ統制が取れていなかっただけに、この地雷作戦は通常以上の混乱をアフリカ軍に与えた。

それを見たラルフは即座に次の命令を下す。

「全軍、その場に踏み止まれ!敵は乱れている!一気に叩きかけるぞ!射撃しつつ突進だッ!」


状況が一変してヴァレンシュタイン騎士団オルデンが優勢となる。混乱状態のアフリカ軍にはヴァレンシュタイン騎士団オルデンの攻勢を跳ね除ける事ができず防戦一方になってしまう。さらにそこへ追い打ちをかけるようにユリアの率いる別働隊がアフリカ軍の背後を襲った。別働隊の数は大した数ではなかった混乱しているアフリカ軍の戦線を突き崩すのには十分だった。

ラルフはここで陣形を横に広げて、アフリカ軍を包囲下に置いた。


赤く塗装されたゲフィオンに乗るロンメルは、最前線で戦いながらラルフの指揮ぶりに感服する。

「流石は閣下。大胆かつ実に巧妙な作戦だ」


戦いは戦力差による不利を見事覆してヴァルキュリア軍の圧勝に終わった。

アフリカ軍は7割という大損害を被り、当分は積極的な軍事行動が行なえなくなる程の損失を受けてしまった。

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