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奥地の森で…


 今回の小旅行には十音色堂メンバー全員による遠征に成った。


 フィールド奥地へと行くのが前提で、最近シルミルと行動を共にしているニンフォちゃんや、行った事の無い場所での素材採取に興味深々なミクスさんが同行する事に成ったので、いっそのことメンバー全員で行こうか?という結論に至った為だ。

 そんなわけで全員での奥地の森探索と成ったわけだが…


 「おかしい…よね?」

 「ああ、森に入って30分以上経つのに狼型モンスター処か雑魚敵一匹現れない」

 「…でも何か空気が張り詰めてるっていうか…」

 「うん、どっかから良くない空気っていうか気配?みたいのが伝わってくる感じ」


 ゲームの中で気配とかって言うのもおかしいかも知れないが、明らかに不穏な空気が張り詰めた気配が漂っているのを皆が知覚していた。

 ただ、俺の感覚だとこの気配は此方に対しての物では無いように思える。

 恐らく俺達じゃない何者かが殺しあいをしている…のか?

 俺はこの自分が感じた感覚を皆に伝えると、どうやら賛成してもらえた、つまり皆も同じ様な感覚を覚えたのだろう。

 となると…この気配が漂ってくる方向には何が在るんだ?



 気配のする方に向かって慎重に進んで行くと、たどり着いた先には少しだけ開けた広場の様な場所で数匹の狼型モンスターを囲み狩っている20体以上のゴブリンが見えた。


 「…どうゆう事だ?」

 「MOBがMOBを襲うってのは一応観た事あるけど…」

 「取り敢えず…このままだと狼型の方が全滅しそうだ…助けに入るで良いよな?」


 異口同音で俺の提案に賛成となり皆でゴブリン達に背後から奇襲を掛ける事になる。

 戦闘自体はそれなりに大変だったが重傷者を出す事も無く何とか全滅させる事が出来た。

 但し、其れは俺達十音色堂のメンバーに限っての話で、元々襲われていた狼型モンスター達は俺達の救援後にも数体が息絶えてしまい、生き残る事が出来たのは他より一回り大きく顔に古傷のある者と、一匹だけ他より白い毛並みを持つ者、普通の毛並みの者2匹、そして恐らく産まれて間も無い子供狼が5匹のみだった。

 狼達は子供狼を背にまだ此方を威嚇している。

 自然に暮らす者からすれば当然の警戒だろう、自分達を襲っていた者を倒したからといって、いきなり仲間だと認識はされないはずだ。

 だがやはりこの(ハクアさん)は違った、他のメンバーがまだ武器も納めれず警戒している中でおもむろに四つん這いに成るとテイム用に持ってきていた餌(鶏肉、しかも羽根と内蔵だけ除いた物)を口にくわえてゆっくりと狼達に近付いて行く。

 俺達十音色堂の残りのメンバーも唖然とした中、リーダーと思わしき古傷の狼の目前まで行くと餌を差し出してジッと見つめあう。


 見つめあう。


 見つめあう。


 見つめあう。


 …あっ狼が先に眼を反らした。

 何かしかの理解が有ったのだろう、ハクアさんは順番に傷付いた狼達に回復魔法を掛けていき、其れが終わると子供狼達を抱き抱えてじゃれついている。


 えっと…良くわかんないけど目的は達したのか…な?

 女性陣が硬直から解け、ハクアさんから差し出されるままに子供狼達を抱いたり撫でたりする様子を眺めつつ、俺とミツルギはただただ唖然としているしか無かった。


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