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ある日の朝…

 ゲーム内で数日が経った(リアルでは二日目だけどな!)、十音色堂の経営は順調に進み採取専門のNPCを雇用したり、ギルドへプレイヤー向けのクエスト発注を出して十分な数の素材が確保出来る様に成っている。

 その為にメンバーはギルドの依頼から討伐クエストを中心にして、主にニンフォちゃんの訓練活動をしていた。

 ニンフォちゃんのクエストは時間制限は特に無いので、ジックリと育成している。

 シルミルと(見た目)年齢が近いので意気投合したのか大抵三人は一緒で、他に何人かが追従して行動している感じだ。



 他のプレイヤー達の状況だが…だん☆ちょ~さん率いる東の森第二次ボス討伐の遠征隊が2度目の全滅という惨事を招き、攻略組はどうも停滞している様子だった。

 掲示板情報によると、どうもボス戦闘に難易度の上方修正が入ってるらしく、ボスの取り巻きが無限ポップするらしい、しかもその取り巻きがやたらと堅くなっているらしい。

 また元βテスタープレイヤーの内の何人かがコンバートを利用せずに新規でプレイしていたり、ミツルギやアスの様に攻略組に不参加な人達も居るらしく、その中に魔法職トップ3と言われていた人達が含まれているらしい。

 特に魔法職トップ3の人達は攻略組でも重要なダメージソースの担い手だったらしく、現在の攻略組はβテスト時に比べ大幅な戦力ダウンと成っているらしい。

 色んな要素が絡んで攻略組もギルドのクエスト等をこなして、もう少しジックリと腕を研鑽してから三回目の遠征に行く予定の様だ。


 生産組に関してだが、どうやら鉱物系素材が不足気味で生産活動が滞っているらしい。

 どうも鉱物素材が良く取れるフィールドが東の森の先の山岳地帯らしく、此処の攻略が開始されない為にゲーム内の世界で供給が減る一方で鉱物素材の値がどんどん高く成っている事が原因の様だ。

 その為か現在の市場では鉱石素材を用いない骨や牙、爪、木材素材を利用して生産された装備品で溢れている。

 因みにラージゴブリンの棍棒をミツルギがミクスさんへ依頼して進化&強化した鉄棍棒+1(攻+17スキル蛮勇付与)が現状最も攻撃力の高い武器らしい。

 そういった状況の為、わんおぅでミクスさんへ依頼した槍は一応完成したのだが(攻+10スキル蛮勇付与)、素材の流通不足により強化出来ずにいる。


 そんな状況の中、遂にこの人が念願のアビリティを手に入れた――



 「あっ、ミトさん!」

 「んっ?ああおはよーハクアさん」

 「おはようございます!あの、今日明日お手伝いお願いしても良いですか!?」

 おおぅ今日は朝からテンション高い方のハクアさんだ…

 「んっ…う、うん?特に何するか決めてないから良いけど…」

 「お願いします!一緒に狼さん捕まえに行きましょう!」

 …ああ、成る程…

 「テイムアビ入手したの?」

 「はい!(ゲーム内の)昨夜遂に獲得しました!」

 「そっか了解手伝うよ」

 「はい!よろしくお願いします!」

 そっか遂にテイム獲得したんだ…んー?…でも狼系モンスターは未だ遭遇した事無いよな?

 「ところで目的のモンスターと居場所は判ってるの?」

 「あっはい!東の草原の奥地にある小さな森の水場付近に出るそうです!」

 事前に情報は確保済みっと………うん余程好きなんだね狼が…

 「あっでも奥地迄行くなら日帰りは無理だね…」

 東の草原奥地に辿り着くには、ゲーム内で1日掛かるって話だったはず…

 「えっと…今回は馬車を使って移動するので日帰りも可能な距離なんですが出来れば番で2匹はテイムしたいので…スイマセン」

 「えっ!?ああっ謝らなくて良いんだよ!特に予定があるわけでも無いし…」

 うん、夜帯もピナとわんおぅでの魔法訓練がてらの狩りくらいだし…多分ピナも着いてくるだろうから。

 そういえばテイムってどうやるんだろう?

 気になって聞いてみると、3つ方法があるらしい。

 一つは倒すギリギリ迄戦って捕獲し低確率の『テイム』スキルを使用する方法。

 此れは便宜上『隷属』と呼ばれるらしく、モンスターの個性を奪う道具的な奴隷みたいなユニットとなるらしい。


 もう一つは対象のモンスターに対し餌を与えたり、戦闘で実力を見せたりする事で相手から従う意思を引き出す方法で、此れは便宜上『従属』と言われているらしい。

 隷属と違い個々の個性が残り、上手く信頼関係を結べれば自分の意思でもって行動してくれるパートナーとなるらしい。


 そして最後にもう一つ『眷族』と呼ばれる特殊な『従属』があるらしいが、此れはテイムスキルの説明にあるだけで詳細は不明だそうだ。


 「ふ~ん、ハクアさんはどっちの手段を使うの?」

 「勿論『従属』です!餌を持っていって敵意が無い事を示せばきっと友達に成ってくれるはずです!」


 おおぅスッゴいキラキラした目をして力説されましたよ…。


 「そっか、じゃあ沢山餌を持って行かないとね?」

 「はい!」


 満面の笑みを浮かべるハクアさんはとっても輝いて見えました。






 …うん、俺も頑張ろう。


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