夜の魔法教室
ボスチワワとの決闘を無理矢理切り上げた俺は待ち合わせ場所に来ていたピナと合流しいつもの如く東の草原へ。
「……強かった?」
「んっ?ああ、多分ステータスでは完全にアッチ(ボスチワワ)のが上だったな…全勝したけどな!」
「………ふぅん」
「アイツ(ボスチワワ)は単純に高いステータスをリアルスキルが足らなくて持て余している感じだったからな…」
「……?、ニワは…ステが全て…じゃない?」
「ああ、キャラクタークリエイトでステータスは色々試したけど、ステータスは動きの最大値が変わるだけみたいなんだよな」
「……?」
「例えばSpdに全ぶりにすると確かに動きは速くなるんだけど…一定の所迄行くとそれ以上は体感出来ないって言うか…頭打ちに成るんだよ」
「……解らない……」
頬をプクッと膨らませむくれるピナ……ちょっと可愛いな。
「んーと…そうだ!スッゴク性能が良いF1エンジンを積んだ中古の軽自動車って感じかな?エンジンは100の力を持ってるのに本体は30しか力を発揮出来ないから残り70の力が空回りしちゃうんだよ…」
「……よく解らない、けど…イメージは出来た…」
それからはラット狩りをしていたが、暫くしてからのピナのターン中に…
「…ファイヤーストライク!」
バシュュュ!!
「ピギュー」
ピナが突然聞き慣れない魔法を使った!
えっ?えっと?今のは?
「ぴ、ピナさん…今の魔法は?」
「…?、…シャドウストライク!」
バシュュュ!
「キュュー!!」
「…わんわん、何?」
「ああ!また!」
「…??、…ライトストライク!」
バシュュュ!
「キキュュュー!」
ある時から突然魔法の名前が変わって明らかにラットへオーバーキル(元々ブリッツ系でもオーバーキルしてたが)をし始めた。
「いや、『ストライク』って…」
「…?、…魔法系Lv20で発現する……とても…強い」
ああ、うん強いのは判るラットだけじゃ無くてフィールド迄抉れてるし…
「いや、魔法スキルってちゃんと進化?するんだな…」
「……?」
ピナは何を言ってるのか解らないみたいだ。
「えっと、ほら昨日半日ミトで魔法訓練したんだけど平均Lv12超えてもブリッツしか撃てなくてさ…」
「………!(ポムッ)」
んっなんだ何か気付いたのか?両手を打合せて納得みたいな表情をしているし。
「…わんわん来て!」
そう言うとグイグイっと袖を引っ張り、街に向かうピナ。
えっと、何処に連れてかれるの俺?
◇
・・・連れて来られたのは訓練所の一室。
「……授業、始める(ムフッー)」
鼻息荒く講釈を始めるピナ………おおぅ気合い入ってるな、オイ。
「…魔法、アビLvとイメージ…」
んんっ!?
「…Lv到達する、形をイメージ…」
…ピナさん良く解らないよ…
「…Lv10なら、おっきい火……とか?」
疑問系かい!
「………んっ…言葉だと…難しい…」
其処まで言うと観ろとばかりに前方を指差す。
うん?いつも通りのドローンが10m程離れた所に3体等間隔で並んでいる。
「…んっ!ファイヤーボール!」
ブリッツよりかなり大きめの火炎玉が3体の真ん中へ向かって飛んでいく。
狙い違わず真ん中のドローンに当たった火炎玉は着弾点を中心に瞬時に燃え広がり左右のドローンをギリギリ巻き込むぐらいに広がって中心から消えていく。
「…ボール系、Lv10…」
成る程、アビリティレベル10を超えると使えるのは今のボール系と云う魔法らしい。
「……でも人によって違う…」
んっ?
「…今の、ヒナミのイメージ…」
んんっ?
「……魔法、名前同じ…でも違う…」
「えっと…同じ名前のスキルでも人に因って効果は違う…か?」
「………(コクン)」
「…でも俺の…ボール系のスキルなんて発現してないぜ?」
そう、アビリティレベル的には発現していてもおかしくないはずなのに、スキルは発現していない…
「…推察、多分…わんわんが出来ると思ってない…」
んんんっ?
「…ヒナミも、シャドウ…ボール系無い…」
えっ!?そうなの?
「…光は、これ…ライトボール!」
パアァァァ―――
!!光の玉はふよふよと浮かび上がり室内を照らす。
「…魔法、名前のイメージ…アビリティレベル…効果変わる」
ああ!判った―
「…わんわん、無属性…イメージが…多分無い…」
だから、ピナの闇の玉と同じで―
「……イメージ無い…発現も無い…」
俺の無属性にボール系は無いのか―――
「………」
「………」
「…残念、でした?」
そうゆうこったコンチクショー!!




