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南の森で


 結局、全く戦闘経験が無いのに『西の海岸』に行くのは流石に無謀だろうというミツルギの判断に従い『南の森』で狩りと採取を行う事にした。


 カコーン カコーン


「ヨシ、抑えた!アスさん回り込んで下さい!」

「オッケー、シルミル行くよ!」

「「はぁーい♪」」


 カコーン カコーン


「…あっ!白蜜草♪」

「……♪」


 カコーン カコーン


 ドガッ!

「…クぅッ、ミト頼む!」

「あいよ!」

 ポイッ!がしゃっ!ホワンッ(ポーションを投げて回復した音)


「ふぅ~伐採か~んりょ~う♪」

「あっ此方も採り尽くしました!」

「……いっぱい♪」


「アスぅ~ミツルギぃ~殺っちゃってい~ぞ~」

「おぅっ!待ってたぜぇ~♪」

「了解ですミト兄ぃ♪」

「「わぁーい、いっくよ~♪」」


 ドガッ!(棍棒の打撃音)

 ザシュッ!!(大剣の斬撃音)

 ボカッ!!!!(左右から同時に蹴られた打撃音)


 ギュガアァァァァ!!!!(熊?の断末魔)


「ふぅぅぅ~終わったか…」

「お疲れさんミツルギ」

「おぅ♪疲れたけどガンガンスキル上がったぜ!」

「ほぅ?」

「『大盾』は一段階上げた『盾』の上位アビリティだからな!普通は中々上がらないんだけど…」

「ずっと支えてたからな…」

「おぅ!この武器スキル『蛮勇』のおかげだな!」

「そんなに違うか?」

「ああ!ゲームだと判っていても目の前で自分よりデカい奴が死にもの狂いで攻撃してくるんだぜ?」

「……そうだな、確かに反射的に身がすくみそうだな」

「だろ?だけどこの武器装備してるとその反射的なのが無くなって冷静に…ってのはちょっと違うな、高揚感?みたいなのを感じて体が軽く動かせるんだよ!」

「へぇー」

「ピナさんとピナさんにこの武器譲ってくれた人に感謝だな!」

「そうだな(…んっちょっと惜しかったけどミツルギに渡して正解だったな)」



 『南の森』での狩りと採取は順調に進んでいた。

 βデータコンバート組のミツルギは最初から重装備なので多少Lv差のある敵からの攻撃でも受け止め切れる防御力が有ったし、同じくβテスター時はソロだったらしいアスは防御力こそ無いに等しかったが、剣のカテゴリー中一番の破壊力を持つ大剣を的確に敵の弱点に叩きつける事の出来る技術を要していた。

 シルミルもその特異な能力を遺憾なく発揮して常に互いを対角線上に位置取り見事な連携とお互いの真後ろを除いたほぼ全周囲を認識し死角からの奇襲を許さない。

 ハクアさんとピナはすっかり意気投合(?)し進行先の植物系採取物を根刮ぎ採取している、ピナは基本自分から喋る事が無いので他のメンバーとは中々会話が成り立たないのだが、余計なプレッシャーを与えないのだろうか?ハクアさんには自分のペースで会話が出来るのが良かったのかあっという間に打ち解けて大抵一緒に居る―――ちょっと寂しい。

 俺も初期配布されていたビギナーポーションを全員から預かり、小石を投擲して牽制しつつ主にダメージを受けるミツルギのHPを回復させながら周囲の警戒と指示出しを行なっている。

 問題が在るとすればミクスさんなのだが…戦闘区域周辺の木々を伐採しているのだが、周囲に響き渡る『カコーン カコーン』と云う伐採音が警戒心の強い小型の敵の姿を遠ざけ、中型の野獣や魔獣である熊や猪型の敵を惹き付けてしまう。



(まぁ惹き付けてしまうとわいえパーティー全体の戦闘力から言えば全然問題無いんだけどな!)


 実際ミツルギの『肉盾w』としての能力が高い為、中型魔獣単体が相手なら前衛組だけで十分対処可能だ。

 寧ろ小型魔獣がリンクしにくくなってアクティブに襲いかかってくるのが群れで活動しない中型魔獣ばかりで助かっていると云うべきだろうか?



◇◇◇◇◇◇◇


 ――ケ――レ――タ――


「んっ?」

「どした~ミト」

「シッ!静かに!」


 ―ケテ――レカ―ネガ―タスケ―

「! 『助けて』って、誰かが呼んでる!」

「えっ?別に何も聞こえないぞ?」

「……(フルフル)呼んでる」

「ピナちゃん聴こえるの?」

「………(コクン)」


 ―ネガイ―スケ―ダレ―ママ―タス―テ―


「コッチだ!」

 俺は聞こえてくる声(?)から切羽詰まった響きを感じ声の聞こえてくる方向へ駆け出した―



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