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わんおぅとピナと

「…ファイアブリッツ」

 ドバンッ!

「キュィー!」


「…シャドウブリッツ」

 ズバンッ!

「キキュィー!」


「…ライトブリッツ」

 ダガンッ!

「キュィィー!!」


「…わんわん…」

「ああ、了解休んでな」

「…(コクン)」


 再びの東の草原でパーティーを組んだ『ピナ』と夜のラット狩りをしているのだが…


 火力魔法使いパないっス(汗


 視認したラットはMPが続く限り全てピナの魔法で瞬殺される。


 それはもう見事なくらいの虐殺劇だ。


 一緒にいる俺のしている事はピナが消費したMPを回復する間の警戒程度の護衛くらいかな?それでいて討伐ペースは先程迄のソロ狩りの三倍位のペースで進んでいる。


 いや、俺も『ブリッツ』を上手く使用すればラット程度なら瞬殺可能ではあるが…MPの回復速度の関係でとても同じ様な真似は出来ない。


「凄いなピナは…」

「…?」

「いや、俺も一応魔法使いだけどピナみたいに連続で瞬殺とか出来ないしさ」

「……使えば、いい…」

「んっ?」

「…魔力、…増える…」

「うん、まぁそうなんだけど…」

「……?」

「いや、ピナだってそうだけど使うにも敵が居ないと駄目だろ?」


 魔法を使うとこの辺りの敵は瞬殺コースだから中々魔法を使う機会が無い。


「……?」

 首を傾げ心底判らないって顔のピナ。

「…訓練、すればいい…」

「えっ?いやその訓練するにも敵が居ないと駄目だろ?」

「………?」

 えっ?何で其処で首を傾げるの?

「……ギルド、…横、…訓練所、的ある…」

「……えっ?ホント?」

「…(コクン)」


 そう言えば訓練所在ったな確かに…えっ?じゃあ安全にアビリティ上げれるの?


「そ、そっか(汗)知らなかったよ有り難うなピナ」

「…んっ」


 その後もMP回復休憩を挟みつつ早朝迄ラット狩りを行なって色々な事を聞いた


「へぇ~じゃあピナは学校には行ってないんだ?」

「……(コクン)」


 どうやら学校には中学卒業迄…つまり義務教育迄しか行っておらず、中学卒業後は自宅で家庭教師を何人か呼んで勉強しているらしい。


「(ヤバッひょっとしなくてもお嬢様?)あ~それでNEW∞WORLDには時間ズレてログインしちゃったんだ?」

「……?、…(コクン)」


 ちょっと小首を傾げ悩んだが頷いた、どうやら間違ってはいないっぽい。


「えっ、俺?今日から夏休みだから友達や姉妹と一緒に二時間遅れで開始したんだけど…」

「……?、…居ない…よ?」

「ああ、うん『わんおぅ』はセカンドキャラだから…」

「………(ジーーーッ)」

「……えっと…」

「………」

「………」

「………」

「…(空気がッッッ!)その…ソッチも一緒に行く?」

「…(コクン)」

「…うん…わかったもう少ししたらアバター変更するから、その時に紹介するよ」

「…ウン、よろしく…」


 ………さて、なんて紹介しようかね?



◇◇◇◇◇◇◇


 それから更に二時間程、時折雑談(主に喋ってたの俺だけだけどな!)を交えながらラット狩りをこなし、ゲーム内時間7時になる頃にアバター変更とピナを皆に紹介する為に一旦街に戻って皆で泊まっている宿屋前に来た。


「じゃあピナ、一旦アバター変えてくるから此処で待ってて?」

「…(コクンッ)」

「変更してくるアバターの名前は『ミト』だから」 「…?、……(コクン)」


 伝わった事を確認した俺は急いで宿屋にチェックinしてアバターを変更する。

・・

・・・

「変更完了!さてピナ待たせてるからな早く行かないと…」


 急いで宿屋前に戻るとピナは宿屋前の花壇の縁石に腰掛け所在なげにボーーッと路上を観て待っていた。


「ピナ!悪い待たせたか?」

「……、…(フルフル)…」

「そっか良かった、えっとコレが『ミト』だよろしくな!」

「……(コクンッ)」


 手早くフレンド登録とパーティー申請を済ませ、ついでに『わんおぅ』のアイテムから持って来た『ラージゴブリンの棍棒』をピナに預ける。


「済まないんだけど『わんおぅ』は皆にはまだ秘密にしてるんだ、ピナから代わりにパーティーの『ミツルギ』って戦士に渡してくれないか?」

「……?(ジーッ)」

「えっと、いや最初にアバター創る時にコボルトは止められてな…」

「………」

「だからパーティー用とソロ用でアバター分けたんだ」

「………」

「いずれは皆にも御披露目するから暫くは内緒にしといて貰えるか?」

「………(コクン)わかった…」

「おお、サンキュ!」


 ナデナデナデナデ


「……ぁ…………」


 さぁて、後は皆と合流して上手く紹介しないとな。



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