意外と高い?
結局一度も戦闘せずに街に出戻りした俺達は採取で手に入れた戦利品?を売るため、ミツルギがβテスター時からお世話になっている生産職プレイヤーを探すべく商業区の市場をまわってたのだが…
「あぁ~~!ミッく~~~ん♪」
数ある露店(?)の陰からミツルギを見付けた一人の女の子が「テテテ~」と駆けて来て間延びした驚声をあげながらミツルギの脚に抱きついた。
「ンえっ?…ひょっとしてミクスさんで…すか?」
「そ~だよ~♪」
「えっ?えっ?なんで?いや確かにその間延びした話し方はミクスさんと同じだけど…ええっ?!」
どうやら探し人はこの女の子らしい…事前に聞いていた職人さんと同じ名前だ。
「…で、ホントに探してた職人さんがこの娘なのか?」
一応確認しておくβテスト時はヒューマンで姉御って感じの大人の女性だと聞いていた…実際其処に現れたのはどう観てもシルミルより歳下の幼女だったから。
「うぅ、ああそうみたい…だな」
「美幼女鍛冶戦士ミクスだよ~!よろしくねぇ~♪」
自分から美幼女って言っちゃってます。
◇◇◇◇◇◇◇
「ふんふんふ~ん♪薬草を~採取したのね~♪」
「あっハイ、この娘が初心者でアビリティ無しだったので…」
ハクアさんの[野草識別]は街に戻る間に無事にLv11迄上がりAptを1Apt獲得している。
「コレ~ぜ~んぶ未鑑定品の~薬草だけど~ど~する~?私が~1つ2fcで鑑定したげても良いよ~♪」
「? 薬草は薬草じゃないんですか?」
一つ貸して貰い観てみると…
薬草(未鑑定品)
と確かに未鑑定品ではあるらしい…
「ん~とね~、このまま未鑑定品でだと~只の薬草としての~効果でしか査定出来ないけど~、鑑定すると~どんな名前の薬草か~判って~効果が判るから~値段がかわったり~するんだよぉ~~♪」 「成る程、もしかしたら鑑定したら有用な薬草とかになるかもしれないんですね!」
「そ~だね~♪でも~鑑定したら~効果の薄~い薬草になっちゃって~買取価格が~さがっちゃうかもね~」
「因みに未鑑定品だと買取価格はおいくらですか?」
「ん~とね~今は1つ10fcだね~♪」
コレは鑑定して貰った方が良いような気がするな…品質落ちしても流石に鑑定料の2fcより低くなる事はなさそうだし…最低でも元は取れるような気がする。
「ハクアさんどうする?俺は鑑定して貰った方が良さそうな気がする」
「んっ…と、……そうですね私も鑑定して貰った方が良いと思います!」
少し悩んだのは頭の中で計算したからだろう、結構打ち解けてくれたのだろうか?表情から固さもとれ心なしか会話もスムーズに出来てきている。
「じゃあ鑑定してから買取でお願いします」
「はいは~い♪じゃあ~サクっと鑑定しちゃうね~♪」
そう言うと預けた薬草(未鑑定品)に左手を向けて「物品鑑定!」と一言呟く。
「おぉ~!!おめでと~結構~いや、か~な~り~良いのが~混じってるよ~♪♪」
そう言って袋の中から薬草を四つの山に選り分けながら取り出した。
「まずコレが~HP回復(微)効果の~薬草ね~♪」
言って示されたのは一番数が多い山だ。
《ミール草》[薬草]×83
〇HP回復効果(微) 草原や森等ある程度の草場に群生する。
磨り潰す事で薬効が現れ傷部に塗る、若しくは経口摂取により効果が出るが効き目は低い。
「コレは~未鑑定品と同じ扱いだから~1つ10fcだよ~♪」
えっと…83個だから830fcか全部で116個だったから鑑定料金232fcを差し引いても598fcの儲けだ。
「で、次はコレなんだけど~残念なコなのね~」
《枯れたミール草》[毒薬草]×12
〇HP回復効果(微)
〇低確率で対象に[毒]付与
ミール草が枯れ薬効が変じた物
「ごめんね~コレは1つ1fcなの~」
おうふっ鑑定料金以下か数がそれほど無かったのが救いだな。
しかし毒草に変じても一応回復効果(微)は在るんだな。
「で、コレは毒消し草だね~♪」
《キリク草》[薬草]×18
〇ステータス異常[毒]を1ランクDown効果
ミール草の群生地に一緒に生えている事が多い。
「キリク草は1つ60fcだよ~♪」
おお!急に高く成ったな!
「毒は結構頻繁になるバッドステータスだからな、NPCの道具屋で買うと毒消し一つで100fcだから薬草採取師的にも買い取る商人的にも美味しい品って事だ」
「あぁ~んミっくん言っちゃダメェ~」
成る程仮にNPC道具屋より安い80fcで売り出しても20fcの儲けが出るんだから確かに優良商品だな。
「ぶぅ~~、まぁ良いわ~最後は~コレね~♪この採取量で~3本も~手に入れたのは~凄~いラッキーね~♪」
《ミール草変異種》[薬草]×3
〇HP回復効果(中)+MP回復効果(小)
ミール草の群生の中で極稀に見付ける事が出来る突然変異種。薬効が強く精製前でも充分な効果が見込めるが極めて稀にしか見付けられない為、高値で取引される。一部の草食性魔物が好物にしているらしく獣騎商等に垂涎の一品。
…あぁ、うん、コレはアレだ、ハクアさんの称号効果が早速現れてるんだろう。
「でね~コレ(ミール草変異種)なんだけど~現状私のお店ではぁ~資金が足りなくてぇ~引き取れないの~ゴメンね~」
??? そんなに高いのか?
「因みに買い取った場合は幾らくらいになるんでしょう?」
「ん~~っとね~多分NPCの大~きな店なら~買取して貰えるけど~多分~最低価格になるけど~10000fc以上かな~、プレイヤーだと~最低価格でもぉ~30000~60000fcくらい~か~しら~?」
「ふぇっ!?」
折角解れてきてたハクアさんがまた固まっちゃったよ(汗)
「商業ギルドの~レア系クエストに~張り出しがあるのよ~?普通なら~あまりにも~手に入らない一品だから~3つも持ってるなんて~知られたら~た~いへんかも~?」
「ふえぇ~~!?!?」
「「大丈夫?」」
「大丈夫ぅ~?」
ハクアさん硬直からパニックに陥ったみたいだ…シルミルとミクスさんが宥めている。
「ミツルギどうしよう?」
「そうだな商業ギルドにクエストの確認に行くべきだろうな…ミクスさん!ミクスさんはそのクエスト受ける気は無いのか?」
「ん~[荷馬車]入手クエストの~一つだから~受けても良いよ~?」
クエスト報酬は荷馬車なのか…確かに売値が高くなりそうなアイテムだな(汗)
「場合によってはハクアさんにも商業ギルドにも登録して貰ってクエスト達成して貰うのも良いかもな…」
そうだな折角薬草採取師になったんだし自分で薬の調合とか出来るならプレイにも幅が出来て楽しいかもな…
「ハクアさん、自分で薬を作ったり自分のお店とか持ってみたくない?」
「ふえっ!?お、お店ですか?あの…せ、接客とかは…まだ出来ないかと…」
『まだ』って事は興味は多分在るんだな…
「あ~お店開けば~NPCの~売り子さんを~雇う事も~出来るわよ~?」
へぇ~そうなんだ、…!ならその売り子さんと会話の練習も出来るんじゃ?
「ハクアさん!売り子さんをNPCで雇えば自然と(会話の)練習も出来るよ!」
「ぅえっ?」
「! そうですよ!ハクアさんがお店開くなら私達もお手伝いしますよ!」
「「うんうん!手伝う~♪」」
「おお!確かにそれなら俺達も採取系アビリティ取れば時間を有効に使えるし一石二鳥じゃね?」
「折角だから~私も~便乗するよ~♪」
「…ふぁ!?やります!お店やります!」
どうやら状況を飲み込んだらしい、積極的なハクアさんが浮上してきた。ミクスさんは何かコッソリ便乗する気満々だ。