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主人公は知らないうちに…

side朱鳥


 無事にまたこの世界に戻ってきた。


 結構いい加減な性格をしている勇人お兄は知らないけれど、陸上自衛隊幕僚である叔父様と防衛医大の助教授である叔母様はこの《NEW∞WORLD》の作成に深く関わっている。


 だから私はこのゲームのβテストどころか、それ以前のαテストからテスターとして参加している。


 だからと言っても特に特別な事をしているわけでも無い、普通にゲームに参加して気が付いた事があれば簡単なレポートを運営にメールするだけだ。


 関係者の血縁だからと言っても高々中学3年生の私は当然それほど深く関わっているはずも無い。

 今回正式サービス開始にあたっても、妹達(詩瑠魅瑠)の牽引役だけ追加でお願いされたくらいだし…


 それも中々家に帰って来られない叔母様が、妹達が私と同じ時間を過ごせる様にと用意して下さっただけだ。


 だから今回の正式サービス開始に当たって今まで使っていたアバターデータはコンバートせずに新規でキャラクターを作成する事を選んだ。


 因みにβテスト迄の私は『四色使い』等と云う二つ名を持つ結構有名なプレイヤーだったので運営サイドからコンバートしないのであればGM(ゲームマスター)用に以前のデータを譲って欲しい言われ快諾しておいた。

 その為、実は他の一般プレイヤーに比べ少しだけ特典を受けていたりする。


 まぁβテストのコンバート組程の特典ではないのだが…


 その内の一つが『簡易GM権限』と呼ばれる能力で…


①付近にプレイヤーによるトラブルが発生した時に察知出来る能力。

②トラブルを起こしている人物に対して警告を発する能力。

③トラブルを起こした人物が警告を無視した時、その人物を取り押さえる為に一時的に身体能力が相手より上回る能力。


 以上の主に小学生である詩瑠魅瑠を引率する為の保険の意味合いが強い能力である。

 そして、詩瑠魅瑠と合流した私は勇人お兄と健也さんを捜していたのだが、この能力により一人の女性エルフプレイヤーを強引に誘っているヒューマン男性の二人組を発見した。



◇◇◇◇◇◇◇


sideミト


「居ないな…」


 ミツルギとの待ち合わせ場所にした赤い屋根の露店前迄到着した俺は朱鳥達三人を見付ける事が出来ずにいた。


「後は目の前の人だかりの中に居なければ…」


 一瞬脳裏に過ったとある出来事…だが悪い考えを軽く頭を振って払い除ける。

 プレイヤーだけで5、60人は居るだろうか?

 NPCも含めると100名近いその人だかりの外側からでは朱鳥達は見当たらないが…


 恥ずかしいが仕方がない…な?

「アス、シル、ミル、近くに居るか!!」

 目の前の人垣に向かい大きく叫ぶ。


「「おにぃ~~」」

「ミト兄?今手が放せないの!此方に来て!」


 良かった、どうやら人垣の中に居るらしい。


 ミツルギにフレンドコールで三人を見付けた事を知らせ、俺は人垣を構成する人達に頭を下げつつ朱鳥達の声が聞こえた人だかりの中心部へと進んでいった。





◇◇◇◇◇◇◇



side???


 ログインしたら(プレイヤー)でいっぱいでした。


 私は何で気付かなかったんでしょう。 《NEW∞WORLD》は"MMO"RPGだったのです!


 迂闊でした…orz


 人が居ない世界で会話の練習をしようとして逆に沢山の人が集まる世界に身を投じていたなんて(汗)


 人見知りの激しい私がこんなにも人が居る所に耐えられるはずもありません!

 取りあえず休める場所をと、目に留まった噴水傍のベンチへよろける様に座り込みました。


 気持ちに引き摺られアバターの耳が更に垂れます…こんな時ですが凄いですね感情に合わせて動くのが判ります。

 開発者の拘りでしょうか?何か無駄に高い技術を消費してますよね。



 取りあえずこのままで居るわけにも行きません!私にはNPCさん達とお話して対人会話スキルを身に付けなければ成らないのですから!


 そう思って立ち上がり、(プレイヤー)の居ない所を探そうと消極的な第一歩を歩み始めようとしたら…

「あっれ~カワイイコはっけ~ん!」

「ホントだ、俺らとパーティー組まねぇ?」


「えっ!?ぃやぁ……あっ」


 突然目の前に二人の男性プレイヤーが現れて馴れ馴れしく肩に触ろうとしてきたので反射的に手で払い除けてしまい、見知らぬ人の手を払い除けてしまった事で逆に私の腰が抜けへたりこんでしまいました。


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