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スタート!!

 そして遂に迎えた《NEW∞WORLD》の正式サービス開始日───


 俺達5人は終業式のある俺と健也の都合(詩瑠魅瑠は既に先週から、朱鳥は昨日から夏休みに入っていた)に合わせゲーム内時間が午前になるように14時丁度にログインする事にしていた。




 14時──俺は何時もの手順でクリエイトルームにログインし、ヒューマンアバターを選択、そしてとうとうゲームをスタートさせた。


「誰か南の森に一緒に行きませんか?」

「安いよー今なら鉄の剣が120Gだよー」

「お~いアミちゃんどこー」

「求む!ウルフの皮!出します!一つ30G!」

「うぉーあの幼女カワユス!」

「東の草原レベル上げ@1」


 突然様々な喧騒(時々変な驚声)が耳に飛び込んでくる。

 周りを見回すと、どうやら街の中心部にある広場に居る事が判る。

 街は中央に高さ3m程の噴水を備えた広場があり、其処から恐らく東西南北に伸びた舗装された大きな路が真っ直ぐに500m程伸びて突き当たりには大きな門が備えなれた防壁に囲まれている様だ。


「結構大きな街だな…」

「お~いミトッ!」


 思わず呟いた時に俺を呼ぶ声が聞こえたので声をした方を見やると、赤髪の無駄にイケメンなゴリラが両手を大きく振ってアピールしているのが目に入る。

 俺は無言でゴリラに近付くと徐に額を鷲掴みにしつつ一言…


「煩い健也!恥ずかしいから止めろ!締めるぞ!」

「いや!既に締めてるから!コメカミギリギリってイッテるから!!あとリアルネーム駄目だからぁぁぁ!!」


 ったく恥ずかしい奴め、えーと確かフレンド登録は相手と接触してる状態で登録申請したいって意思を込めれば自動的に相手側に申請が送られるだったか?


 ポーン!

『ミツルギがフレンドに登録されました』


 おっ無事に登録出来たみたいだな。


「さて、後は朱鳥と詩瑠魅瑠を探さないとな…」

「うぉーいそろそろ手を放してくれぃ!」


 ちっ仕方ない放してやるか。


「ふぅ相変わらず容赦ないな! 多分、まだ中央広場内には居るはずだぜ?朱鳥ちゃんはβテスターみたいだし事前にキャラネーム知らせてあるんだろ?」


「ああ、インしたら先ずはスタート場所で合流って約束なんだけど…それらしいキャラクターは見当たらないな…」


 今俺達が居るのは広場の北西部分だが見える範囲内には、予めSSで教えられていたピンク髪のエルフ少女も銀髪の双子グラスランナーも居ない様だ。


「もしかしたら噴水の反対側に出たのかもな、入れ違いになるといけないからミトは反時計回りに探してみてくれ!」

「おう、えっと…丁度反対側の人だかりが出来てる所の赤い屋根の露店前で合流な!」

「了解!見付けたらフレンドコールな!」


 丁度半周した辺りに目立つ露店を見付けたので合流場所に指定して移動を始める。


◇◇◇◇◇◇◇


side???


 私は普段学校で同性のクラスメートにイジメられている。

 軽く無視されるぐらいだけど…


 多分、人見知りが激しくいつもオドオドとしているせい。


 本当は友達をつくりたいのに自分から声を掛ける事が出来ず、然りとて声を掛けて貰っても言葉に詰まって上手く喋る事が出来ない。


 そんなだから両親の転勤が理由で学年が上がる時に合わせて今の学校に転入して来た時、上手く馴染めずクラスで孤立してしまった。


 でも夏休み迄後2週間くらいのとある放課後、帰り支度をしている私の耳に《NEW∞WORLD》というVRRPGの事を話している声が聞こえてきた。


 曰く、現実同等のリアリティーを持ち、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)がまるで生きて個別に感情を持っている様な対応をする仮想世界。


 私は『コレ』だ!と思った。


 現実世界で孤立してしまった私にはVRの別世界でNPCとなら会話の練習を出来る!現実世界で友達をつくる練習が出来るはずだ!


 と、思い込んでしまったのです。


 思い込みが激しくて暴走してしまうのも私の欠点で、普段は暴走しても心の中だけなのですが…今回は無駄に行動力を発揮してしまい、気が付いた時には《NEW∞WORLD》の話をしていたクラスメートの男の子達を赤面した私が問い詰めて、ゲームソフトを代理購入して貰う事まで約束させてしまっていました。


 記憶はあやふやですが私が《NEW∞WORLD》をやりたい理由やゲーム世界では冒険せずにNPCと会話の練習するみたいな話も勢い喋ってしまったかもしれません。


 そして今の自分が現実の男の子と喋っている事に気が付いた瞬間『はぅわぅッ!』と意味不明な叫び声をあげて逃げ出してしまいました(汗)


 幸いそのクラスメートの男の子は1週間前に約束通りゲームソフトを持ってきてくれて《NEW∞WORLD》は手に入りました。


 それから1週間、私は最初の自分そっくりなアバターを髪色を淡い金髪で腰まであるストレートに…前髪を真ん中で分けて…耳の半ばから少し折れたエルフ少女のアバターにキャラクタークリエイトで変更しました。


 …何だか気の弱さが現実より滲み出てる様な気もしますね…


 いやいや、此れからです此れからゲームの世界で自分を変えていくんです!


 そして今日《NEW∞WORLD》の正式サービス開始日、両親とお昼ご飯をたべたりして正午のサービス開始時間には間に合わなかったので14時丁度に初めてのVRRPGの世界に足を踏み入れたのです!


・・

・・・

・・・・何でこんなに人が居るのぉー(泣)



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