表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊大陸紀行  作者: plekios
3/26

遭遇

村を出る前にステータス窓開いて数値変化が有るか確認する

SPが25から20に下がっている、感覚的に約1時間弱経過して5低下だから10分で1下がるようだ、残り時間200分として猶予は約二時間か。


村から出るポータルは地図で南、そこから出た最初のマップ「樹魔の森」は記憶にあるゲームではトレントとワイルドリリーという名の植物モンスターが主に生息している。

その他にフォレストモンキー、こいつは人間の半分サイズの『猿』でたいした脅威ではないが

現在の目的「食用」になるかと言うと微妙である、食えない事も無いだろうがあまり集落の近くで人型モンスターを食う姿は遠慮したい。

幸いここらのモンスターはボス二種類を除いてノンアクティブなのでぶつかりさえしなければ戦闘は起きないのでさっさと目的のマップ「キノコの森」へ移動する。

「樹魔の森」はぐるっとまわれば徒歩で四時間掛かるが最短ルートで進めば20分ほどで「キノコ森」へいける


「おう、採取クエかい、がんばりな」「夕暮れまでには戻って来るんだぞ」

村のポータルから出た場所には街の出入りを警備する兵士が二人歩哨として立っているが

ここんとこ平和でモンスターの襲来も賊の出没も無いのであくびしながらの勤務でいささか心配になる。


まぁ豚顔のオークが緊迫感のある顔で門番しているとちょっと怖いでもあるがな。



「キノコの森」

その名の示す通りこのマップはキノコ型モンスターが歩き回る場所だ

「山くらげ」は地面から養分得て人間サイズに育ったキノコがニョキっと足を抜き出して

繁殖の為胞子をばら撒く場所探して藪の中から開けた場所へノコノコ歩いている

街道となる場所にそんなのが繁殖すると通行の妨げとなるので駆除対象になっている

自分から人間を積極的に攻撃はしてこないが、おとなしく駆除されるほどのんびりしてなく

体当たり攻撃と踏みつけ攻撃の打撲ダメージは地味だが結構痛い。

「山くらげ」の肉は食用にもなるし、未熟状態の胞子は薬品の調剤原料として取引されているらしい

戦闘職のため生産職スキルは取ってなかったが冒険者の初期クエストとして「森の国」スタートしたプレイヤーは繰り返し可能クエストとしてお世話になった。


キノコ森マップの東南部、ホームタウン近くの出入り口近くは「山くらげ」だけだが

マップの西~西北部は「マタンゴ」と呼ばれるもう一つのキノコ型モンスターが出てくる

紫色したこいつはアクティブでモンスターの索敵範囲をプレイヤーが通りかかると攻撃してくる

接近して触手攻撃による麻痺と胞子を飛ばして吸い込むと毒状態になる、と言う初心者泣かせの嫌なモンスだ。

出入り口から分かれて東へ進んで北に向かえば「ワイルドボア」いわゆるイノシシ型モンスター

キノコを主食とする為比較的人間に対して無関心だが

人間がその肉と皮を目的に狩る為ちょかいだしてくれば容赦なくどこまでも追いかけて攻撃する

このマップのボスはキノコのボスとイノシシボスの二種類

通常モンスターの三倍のサイズとスキルによる範囲攻撃で初心者プレイヤーPTは蹴散らされる

討伐クエ対象モンスターなのでいかに攻撃受ける壁役、ダメージ与える火力担当、回復や防御補助魔法なとPTプレイの役割担当を学ぶ最初の試練与える存在である。


話は長くなった、食料調達でこのマップにきてすぐ「山くらげ」を狩ったのだが

ここでちょっと困った事態になってしまった

レベル100なので一撃で倒せるのは良いのだが「オーバーキル」状態になっちまった

炎系統魔法だと消し炭に、雷系魔法も爆発して肉が得られない

氷系魔法で仕留めるとズタズタになっておまけに泥にまみれる。


魔法攻撃力を落とす為装備している杖を外す事も検討したがそれだと命中率が格段に落ちて

狙った標的外の毒持ちモンスターに当たる恐れがある


「山くらげ」だけが居る場所で確実にやれば良いのでは?と思う人が居るだろうが

そこは先客が居て、後からきた俺が先に述べた状態で狩をしている状況を思い浮かべて欲しい

はっきり言って「荒らし行為」と思われるだろう。


1時間過ぎてまともに食材になれそうな山くらげの「欠片」を手に入れたが

料理スキル無しの哀しさ、ジャーキーと呼ぶには炭の味に近いシロモノを齧って抗議の声上げる胃袋をなんとかなだめていると狩りの先客が居た場所から魔法の炸裂する響きと悲鳴らしき声が聞えてきた。


消し炭の残りを飲み込んで騒ぎの現場に近づいてみる……



「ハンス、攻撃しつつ右に下がって奴をレナから引き離すんだ」

「ああ、やってるが奴の範囲攻撃からレナが逃げられない」

「麻痺だ」

「ちきしょう、なんでここにボスが湧いて来るんだ」

回復ヒールは後二回分しか残っていませんっ!」


見ると5人PTがキノコ型モンスターボス『黄色茸ファンガス』と戦闘状態に入っている

双剣戦士と盾持ち斧戦士がボスの4本有る触手を避けながら傘の部分を攻撃

軽鎧射撃手が牽制の矢を放っているがボスのHPはほとんど削れていない

ローブ姿が一人地に伏しているが、たぶん魔法使いだろう

もう一人のローブ装備は会話から回復役たぶん神聖魔法持ちと推測

PT構成としては申し分ない組み合わせだが火力担当の魔法使いが倒されているのは苦しい


討伐クエなら部外者が手を出すのはマナー違反で誉められた事じゃないが

先ほどの会話からすると予期せぬ遭遇戦か

ボスのHPを見てみると10%も削れていない、このままだと下手すると全滅もありうる


ここは一撃入れてタゲをこちらに移しておいて助力要るか聞いておくか


「マジックスキルオープン」

胸先軽く手を伸ばした先の空間に大学ノートサイズの白く輝くタブレットが浮かぶ

そこに記される80あまりのアイコンから精霊魔法、単体攻撃中級火焔魔法選択


「【火焔鳥<ファイアーバード>レベル3】」

詠唱圧縮により0.5秒の詠唱で俺の足元に魔法光のサークル生じて魔力が集中、術式形成

前に伸ばした両手の間から猛禽類のシルエットをした炎の塊が飛び出し『黄色茸ファンガス』を撃った。

キノコボスの3mほどの傘の部分に命中した魔法が奴の破片を撒き散らしてHPを削り、残り約半分まで減らす。

 

いきなり大ダメージ食らって一瞬動きを止めたがゆっくり俺の方に向き直った

顔らしき部分がわからないが俺の方を向いたのがたぶん正面なのだろう。

これで俺にターゲットが移ったと思うが一応彼らの意向を聞いておくべきか


「横から手を出してすまんが、助太刀要るか?」


『黄色茸ファンガス』が触手を振り上げて俺に向かって突進してくる

上級魔法叩き込めばたぶん残りHPを消し飛ばすのはわけないと思うが

会話の時間稼ぎに念のため防御魔法張っておくか


「迸れ我が魔力、盾となりわが身を守れ【魔導障壁<フォースフィールド>レベル2】」

神聖・精霊・暗黒・大地のいずれでもレベル75に到達した魔法職が収得可能な無属性防御魔術でレベル2収得可能なレベルは95以上を要する上級魔術

物理ダメージや魔法攻撃を相殺して効果発揮してる間は次の魔法詠唱邪魔されないすぐれものだ

レベル100越えモンスター相手だとせいぜい数秒程度だが、ここの初級ボス程度なら1分は充分に持ちこたえられるだろう。


『黄色茸ファンガス』が到着する前に俺の胸部中心に半径2mの球状の防御壁が形成完了

半透明の白色光の壁の表面を薄い黄色の光をした魔力の流れが不規則に渦を巻いて回転する

キノコボスは壁に触手をぶつけたり体当たりを仕掛けてくるがいささかも揺るがない、

ん、これなら大丈夫。


あっけに取られた様子のPTにもう一度確認の言葉を掛ける


「このキノコ野郎倒してOK?」

「あ、あぁ、頼みます」


PTリーダーらしき盾持ち斧戦士がそう返事するとシステムウィンドウが小さく開く

『ロバート・ブラウンさんからPT要請が来ました、要請を受けますか?』

どこかで聞いたような名前だなと思いつつPT要請を受け入れた。

PT成立した瞬間視野の右サイドにPTメンバーの名前とHPが表示される

リーダーと射撃手がかろうじてHP残量が半分残っててバーは緑色、あとは黄色表示と真っ赤、しかも今もなお減りつつある、はやく片付ける必要があるな。


「それではでかい奴見舞うから巻き込まれないよう離れててね」

『火焔鳥』二発撃てば多分倒せるが同じ呪文だと上級ではリキャスト時間が十数秒掛かるので一発でけりつけられるのを選択するか。


「静謐なる星界に満ちた冷気よ、我が命に従い虚空に集いて敵を滅ぼせ、【征天雹槌】アイス・メテオ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ