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こちら筋肉防衛軍。  作者: マッスルハッスル。
第①マッスル ◆筋肉への誘い!!◆
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ジュラルミンケース!!

「社長、彼の筋肉は服の上からでも十分わかりますよ」 

 増山のバリトンボイスが部屋に響く。

「……それもそうね」

 眉間に刻まれた深い皺が無くなり、最初のおちゃらけた表情に戻る社長。

 そんなやりとりをしていると、金平が握りかけていたドアノブが回り、おもむろにドアが開いた。

「失礼します。社長、例の試作品が完成したのでお持ちしました」

 年の頃は40代だろうか、中肉中背のスーツ姿、メガネに髪形は七三。

 昭和のサラリーマンを連想させる男が入ってきた。手にはやたらに長いジュラルミンケースを持っている。

「あらぁ、三国ちゃん早かったわねぇ」

 両腕を目の前で合わせながら小踊りする社長。

 タンクトップ越しに見え隠れする胸筋がムチムチと揺れた。よほどそのジュラルミンケースの中身が嬉しいのだろうか。

「三国ちゃん、紹介するわ、新入社員の金ちゃんよ」

 三国と呼ばれた男は、深々と90度近くこうべを垂れると、仰々しく挨拶した。

「三国といいます、どうかよろしくお願いします」

 人の良い金平もつられて挨拶する。

「こちらこそよろしくお願いします」 

 そんな挨拶を交わしあう三国と金平を尻目に、社長が増山に視線を送った。

「増山ちゃん、金ちゃんを部屋に案内してあげて。さっ、三国ちゃん、見せてもらおうかしら」 

 社長の興味はすでに、金平からジュラルミンケースへと移っている。

 いそいそとせわしなくケースを社長の前へ運ぶ三国。

「さ、金平君、部屋に案内するよ」

 口元に笑みを浮かべ、増山が分厚い手のひらを金平の肩に置いた。

「いや、その」

 完全に帰る機会を逸した金平だったが、社長室を出る頃には、ジュラルミンケースの中身がなんなのか、そればかりが気になっていた。


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