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転生6

説明が多くなってしまいました(汗)

レスティカ王国の首都イーズウェル。建国の祖にして英雄の名を冠したイーズウェル宮殿のほど近い屋敷の一室でユージニア侯爵子息サザナ=リリウム=ユージニアは目下もっか、パニックに陥っていた。最も信頼を寄せる執事ルートヴィッヒの発言によって。


ーこの者はこの世界の者ではございません。異なる世界・・・すなわち異世界からの来訪者です。ー


「待て待て待て待て。」

サザナは事態を理解しようとは努めてはいたが、ルートヴィッヒの言葉がグルグルと回り、正常な思考を取り戻す事が出来ないでいた。もし、その言葉がサザナが生まれる前からユージニア家に仕えている執事ルートヴィッヒ以外の口から発せられた言葉でなければ、サザナは一笑に伏し、取り合うことすら無かっただろう。

「ひょっとして・・・・冗談か?」

・・・・結果、サザナのその口から発せられたのは、現実逃避の言葉だった。

「冗談ではございません。わたくしがこの世に生を受けてのち、冗談など、口にしたことがございません。」


サザナも忠実かつ勤勉という言葉が体を成して歩く様なルートヴィッヒが冗談を口にするという空恐ろしい事態を本気で確認した訳ではなかったのだが、あまりの突拍子もない事態に思考が追いつかなかった。

「そうか・・・・そうだな・・・いやっ!ちょっと待て。その・・・いっ、いっ、異世界?だったか?この世界の者ではない?この世界?」

「私の知経験び知識によって弾き出された結果にございます。」


ルートヴィッヒは少し話が長くなりますと前置きした上で、少女の身体を寝室のクロゼットから取り出した上掛けでくるむと窓近くの長椅子に横たえ、魔族に伝わる創世神話を語り出した。


「母なる闇が時を同じくして三世界こどもたちを生み落とした。三世界こどもたちは絡まり合う様に母なる海を揺蕩たゆたった。世界こどもが成長する為には十分な空間スペースが必要であったが、時を同じくして生まれた三世界こどもたちは互いの距離が近く、成長するに従いお互いの世界に干渉しついには。三世界こどもたちは崩壊を迎えた。三世界の崩落の衝撃によって、母なる闇から時を於いて生まれた世界おとうとに穴を開けた。三世界あにたちの内包していた一部は人族の世界おとうとに落ちた・・・・。これが魔人族に伝わる神話にございます。この者の解析アナライズ結果は4世界の要素がありません。すなわち異世界でございます。」


「その様な神話は初めて聞いた・・・」

サザナが今まで聞いてきた教会の創世神話は女神が世界を形成し、男神が始めに人族を創り、脆弱で在ったために獣人族と鱗人族と魔人族を生み出し、最後に脆弱なる人族に女神が創作技術を教えたという物であり、今では各種族共にお互いの交配が進み、純粋な人族は保守国家の王族とそれに連なる一部のみとなった。

「教会の創世は種族間調和の為に改変されているのでしょう。」

言外に、教会よりも自分の言葉が正しいと伝えたルートヴィッヒにサザナは一瞬言葉を失った。


「・・・・・・つまり魔人族の伝説によると、この世界は四世界分を内包した一つの世界ということか・・・世界の数はどれ程あるのだろうか・・・」

サザナは上掛けに包まれた少女を見てつぶやいた。そして魔人の伝説について質問を続けようとしたサザナをルートヴィッヒが遮った。


「さて、ぼっちゃま。あまり時間の猶予がございません。この少女の処遇を一時的にでも決め、対処せねば。登城時刻を経過致します。」

サザナが今までの人生の中で、最も情熱をそそいできた政務だったが、政務それより何より今は、目の前のに突如現れた異世界の少女の事とルートヴィッヒからもっと世界の成り立ちについて聞きたいという好奇心がまさっていた。


「本日の登城は見送り、この者が意識を回復するまで待つ。事情聴取の後、父上と相談し、しかるべき部署に移管する。移管が済むまでこの屋敷に留め置く事にしたいがどうか?」


結果、サザナは自らの好奇心を満たすことにした。


「かしこまりました。但し・・・この者の話を聞きたいとおっしゃるのでしたら、屋敷の者を含め、処置の見通しが付くまでは事情は伏せた方がよろしいかと思います。異世界という話をした所で、正気を疑われるだけでございましょうから。」


「・・・そうだな。わかった。」


サザナは、ルートヴィッヒのいけしゃあしゃあとした口調に呆れながらも返答した。

その為、サザナ様は普段通りに行動し、折を見て、記憶を喪失して行き倒れていた少女をたまたま発見し、屋敷に保護するという筋書きにした。

本来であれば、この様に得体の知れない者等は秘密裏に始末するか、不審者として、即刻警備隊に突き出した方が懸命であるのだが、ルートヴィッヒはサザナの意思を尊重し、それを口にする事はなかった。

もしかするとルートヴィッヒも、この未知の少女に好奇心を刺激されているのかもしれないとサザナは思った。

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