転生5
紆余曲折の後・・・やっとここまでたどり着きました。先は長いですが完走目指してがんばります。
サザナは自身の身を手早く一人で整えた。居室の椅子に腰掛けた所で、執事のルートヴィッヒが入室の許可を求めてきた。
「入れ。」
ルートヴィッヒとアーノルドが入室する。2人は揃って手を軽く握った左腕を垂直に胸の前に置き、頭を垂れた。
「アーノルド。朝食は後で取る。人払いしろ。」
起床時と部屋の主であるサザナの不在時以外は屋敷の者がサザナの居室に入室することはないが、念のため人払いをしておく。
「かしこまりました。」
アーノルドが一礼し、退室した。
「ルートヴッヒ。寝室へ行こう。お前に少し面倒をかける事になりそうだ。」
サザナはルートヴィッヒを伴い寝室へ向かった。
「ぼっちゃまの面倒ごとでございますか。初めてのことでございますね。」
サザナは寝室の扉を開け、寝台へ近寄り床の上の少女に視線を向けた。
「問題はこれだ。」
サザナはうつ伏せになっている少女を再び足蹴にすると今度は仰向けに転がした。
少女に触れた所で呪いはなさそうだが、サザは念のため先ほどの上掛け同様、魔力耐性のある長靴で対応した。
「この者は、この屋敷の使用人ではございません。」
ルートヴィッヒは端的に発言した。
「・・・・もっと他に何もないのか。」
2人の視線の先には一糸纏わぬ少女の裸体。少女はその身体をカーテン越しの薄い明かりの中で晒していた。
その双丘は控えめで腰は細く、陰部の陰りも薄い。両足は肩幅に開かれており、その中心を外気に晒していた。
「全裸にございますね。」
魔族の血を引くルートヴィッヒはサザナの幼い頃から姿形が変わらない。感情はもちろんあるのだが、感情の起伏が、喜色以外で現れることはめったになかった。サザナはルートヴィッヒの動揺する姿を一度は見てみたかったが、自分の人生に置いてその可能性は低そうだと再確認をした。
「・・・まあ良い。」
サザナはルートヴィッヒに少女が現れた経緯を説明し、サザナの話を聞いたルートヴィッヒは、少女を触診し、手足の指の数や尻尾や角等の確認した。
「純粋な人族の様でございます。髪と肌はこれ以上ない程に手入れされています。但し、貴族にしては少々日に焼けており、髪の長さが足りません。身体にほとんど筋肉がついておりません。手荒れが少々ございます。外見だけで判断すると商家の箱入り娘といった所でしょうか。」
「そうか。やはり見た目通りの人族の様だな。」
「左様にございますね。この屋敷の結界をすり抜ける等、災害級の魔術師にしか出来ないことでございます。そもそもこの者からは魔術を行使した残滓もございません。《視た》所、呪術等の闇の気配もない様でございますが・・・・念を入れて解析します故、許可頂けますか。」
「許可する。」
「少し距離を取られませ。」
サザナはルートヴィッヒの後方へ下がり、印を切って寝室に張っていたサザナ以外を対象にとした封魔の結界を解除した。
結界を解除しても特に少女に変化は見られない。
《闇布》
《闇解析》
ルートヴィッヒは己の力の権化たる闇を展開した。
闇が少女を覆い隠し、数分後。
ルートヴィッヒの言葉はサザナの常識や観念を一瞬で変えて見せた。
曰くーーーー
「この者はこの世界の者ではございません。異なる世界・・・すなわち異世界からの来訪者です。」
ーーーーーーーと