転生4
文章の組み立てに迷走中です(><。)
サザナは眩しい光で目覚めた。目前には、空中の一点から放射線状に光が溢れている。
一瞬、ライティングの呪文が目前で発動しているのかと思ったが、その光は水晶に太陽光を透過させた様な七色に発光している。
七色にゆらめく発光体を不思議に思いはしたが、なぜか危険感は持たなかった。そして、サザナはベッドに仰向になったまま、光に向かって手を差し伸べた。なぜその様な行動を取ったのか自分でも解らない。
サザナが手を差し伸べたその時、淡い光が突如として強くなり範囲を広げた。
サザナは反射的に目を細めたが、不思議なことに光は眼を射すことはなくサザナは光を見極めようと眼に力を込めた。
その光の中で影が発生し、サザナへ向かってくる。
サザナが影を人影と認識した瞬間。
一糸纏わぬ姿で少女が空中に出現した。
少女は思い切り跳躍したかの様な格好で、手を広げ、足を曲げている。
光が収束し、消えるーーーーーー
一瞬の空中停滞の後、少女は落下した。重力にしたがって。
・・・・すなわち私の真上に。
少女の全体重を乗せた膝頭は、見事にサザナの鳩尾を捉えた。
ゴキュ!
「ぐえええっっ!!」
サザナは生きてきた中で、上げた事のない様な声を発した。
ボスッ。
サザナにクリティカルヒットを与えた女の子は、そのままサザナの横に転がった。
サザナは与えられた痛みに反射的に身体を丸めた。サザナはカエルが潰れた様な音とはまさにこのことかと思いながら、痛みに耐え、慎重に息を吸った。
「はっ。かはっ。ぐほっ。」
横目で少女を伺う。息はある用だが、意識がないのか微動だにしない。光を伴って現れた事に、創世神話の「御使い」という言葉が頭を過るが、室内から光が消失した今、特に魔法の残滓も纏っていない少女は見た目もその気配も「ただの」人間に過ぎないと感じた。
肋骨を手で探る。鈍痛はあるが射す様な痛みはない。どうやら骨折はない様だ。・・・・ただし、痛い。
時間がないが、これではまともに話すこともできない。人が自分の部屋へ入った気配が有る。自分の寝室に到達するまでに応急処置をしなけれど色々な意味で自身の身が危うい。少女の事と・・・その格好は少し後回しにして、サザナは自身の回復をする事にした。
サザナはベッドヘッドに凭れると、自身の首に下がった八角形の水晶を左手に掴み、右手で詠唱省略の印を切る。
《回復術》
サザナは無詠唱で魔術を発動すると、鳩尾に右手を当てた。右手から緑色の光が波状に発生し痛みを取り去っていく。少し、痛みが引いた所で回復を中断した。
次に、詠唱省略の印を切ると、サザナは上掛け越しに両足で少女を足蹴にすると、ベッドから蹴り落とした。
ゲシッ!
ドサッ。
毛足の長い絨毯に落としたので音もしない。・・・かすかに音がしたかもしれない。
少女は扉から死角になる位置に顔面からちゃく・・・うつ俯せの体制になった。
少女は微動だにしないが・・・・
《睡眠術》
気絶しているのか眠っているのかよくわからないが、女という生き物の大多数は往々にして喚く性質がある。途中で少女が起きて事態がややこしくなると困るのでとりあえず眠らせておく。サザナは上掛けを素早く整えた。侍従のアーノルドが控えめなノックと共に入室してきた。
アーノルドはベッドヘッドに身を預けている私を目視した。アーノルドが視線を下げる前にサザナな無言で頷き、アーノルドの発言を許可した。
「サザナ様。ご起床の時間には少々早いのですが、サザナ様のお部屋の方向から物音が致しましたので、念の為、様子見に参りました。」
サザナは間に合って良かったと内心でつぶやきながら柔やかな笑みを顔に浮かべた。
「そう。私もその音で起きたんだ。また、スプリノかな?」
サザナは弟に全責任を押し付ける事にした。
初級魔術の習得中のスプリノは、魔術の発動が確実ではなく、呪文の反復練習が続いていた。毎日、反復練習ばかり行っているせいか、無意識下で呪文詠唱をして発動させてしまうことがあった。
吸収の結界を張ってあるのだが、稀に結界との接触に破砕音が伴う事があった。
「おそらくは。」
屋敷中の者がスプリノが音の発生元と確信しているので、アーノルドはあくまでも念のためサザナの様子を確認しただけだった。
二つ隔てた部屋の主である弟を不憫に思いながらアーノルドをこの部屋から追い払うべく声をかけた。
「このまま起きるよ。ああ、それとルートヴィッヒを呼んでくれ。話があるとだけ伝えて。」
「かしこまりました。」
アーノルドは無駄のない動きで一礼すると退室した。
「さてと。」
サザナはベッド上から少女を見下ろすと起きる気配が無い事を確認した。ベッドから抜け出し、少女の下へ向かう・・・・ことなく身だしなみを整え始めた。
ヒロインの登場シーンを書き換えました(2013.01.26)。