転生3
「わたしは何者でもない。」
繰り替えされた答えに、質問を変える。
『ではなぜ、あなたは私の前に在るの?』
「それは世界の意思。」
『せか・・・い・・・?』
「世界達は泉があふれるごとく生まれ出る。」
世界・・・たち?
『世界を調整し俯瞰せよ。』
世界達・・・・。
『世界同士の干渉は相互世界の崩壊を招く。』
異世界?
『そなたは調整役となる。すなわち神。』
「えっ!異世界があるの?」
『・・・そなたの役目の話だったのだがな。そなたからすれば、世界達は異世界と置き換えて差し支えないであろう。』
心なし、あきれたような閻魔様の声が響く。
「聞いていましたとも。世界がぶつかり合わない様に調整してほしいということですよね?それで異世界に生物は存在するんですか?いわゆる、私の世界で言う所の知的生命体というヤツです。」
『無数に在る。』
瞬時に、私は今まで見たアニメやファンタジー小説やSF小説等の諸々の世界に思いを巡らせる。
『そなたはこれより神となる。自身の眼で確かめよ。』
神?私が?そんなの・・・そんなの・・・
『さあ。そなたの在るべき場所へ送ろう。』
閻魔様の声が響き、私の視界が狭まる。
・・・・・・・い・・・・や・・・・
意識が薄められる。
・・・そんな・・・の・・・・
閻魔様がぼやけて。
・・・・何か・・・・・おかしい
暗闇に捕われられる。
・・・・・・・・・・・そんなの・・・いやっ!!
ゴウッ!!!!
耳元で大きく風音が吹いた。急激に覚醒する意識。
気が付くと、乳白色の世界の中で、正面の一点にぽっかりと穴が空いていた。
風は穴から吹き出し、私の顔を撫で、髪を揺らし吹き抜ける。いつの間にか、私は私の姿を取り戻していた。
穴からはやさしい薄い光が漏れていた。私はその光の穴に意識を向けた。いや・・・その光の穴にすべての意識を奪われ、目を離すことが出来ないでいた。
『いけない』
遠くで、閻魔様の声が響く。
私は光の穴に向かって手を差し伸べた。その瞬間、吹き抜けていた風は、私を誘導する様に光の穴に吸い込まれ始める。
私は光の穴に向かって駆け出した。
閻魔様の言う、世界の意思に従えば良かったのかは未だに解らない。私が役目を放棄した為に崩壊した世界があるのだろうか?そもそも、今となっては知る術もない。なぜ光の穴が現れたのかも・・・・。
けれど私は何度同じ場面を繰り返しても、きっと同じ答えを選択する。だから正解じゃなくても、それが私の答え。
そして・・・それが、新しく生きる世界を手に入れた私のプロローグ。