揺れてるままで
板書を写す手が、途中で一度だけ止まった。
止まったのは、文字が難しいからじゃない。胸の奥が、小さく鳴ったからだ。鳴った音は「期待するな」に似ている。でも、もう一つ別の音も混ざっている。「今日を越えろ」みたいな音。
僕はペン先を少しだけ持ち直して、続きを写した。写している間は、余計なことが薄くなる。薄くなった余計なことの代わりに、インクの匂いだけが残る。インクの匂いは、現実の匂いだ。
講義が終わる。席を立つ。廊下に出る。人の流れに混ざるのは苦手だけど、混ざらないと出口に行けない。僕は壁際を選んで歩く。壁があると、背中が落ち着く。
昼休み。
食堂は今日も避けた。代わりに、図書館の近くの自販機で温かい缶を買う。缶の熱が手のひらに来るまで、少し時間がかかる。冷えた指は、熱を受け取るのが下手だ。
ベンチに座る。背もたれに寄りかかる。背もたれがあるだけで、呼吸が少しだけ楽になる。
スマホを取り出す。予定を増やしたくない。増やしたくないのに、確認したくなる。確認したくなるのは、金曜が遠いからだ。
遠いものは、勝手に大きく見える。
だから、見る目的を決める。「キャリアサイトを開く。説明会のページを閉じる」。それだけ。
開く。文字が多い。胃が固くなる。固さを感じたら、戻る。押し切らない。今日は、押し切らない日だ。
説明会の予約ページを一度だけ眺めて、閉じる。
閉じるだけで、少しだけ達成感が出る。出る達成感が怖い。怖いけど、今日は「閉じれた」も合格にする。
缶を持ち直して、ひと口飲む。熱い。熱いから現実だ。現実は刺さるけど、現実は足場にもなる。
ふと、写真のことが頭に浮かぶ。
「何を撮りたいか」
昨日は海が出てきた。でも、海だけじゃない気がする。海は強い。強いから、頼りたくなる。頼りたくなるのが怖い。
僕は目の前の木を見る。枝の影が揺れている。揺れている影を、撮りたいと思った。海ほど強くない。強くないから、壊れにくいかもしれない。
壊れにくいものが、今は欲しい。
午後。
講義が続く。板書を写す。写す。写す。写しながら、金曜の夜を思い出しそうになって、やめる。やめる努力をしている時点で、思い出している。でも、思い出した時間を短くできたら、それも「進んだ」になる。
進んだ、と思うのは怖い。だから、言い換える。
「今日はまだ崩れてない」
それで十分だ。
夕方。
バイトへ向かう。駅までの道で、風が少し強い。強い風は、余計な匂いを飛ばす。飛ばして、残るものだけ残る。車の音。足音。息の音。
バイト先に着く。制服に着替える。明るい店内に入ると、頭が少し白くなる。白いのは、余計な感情が薄くなるからだ。薄くなるなら、ここでは助かる。
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
言葉は軽い。軽い言葉を繰り返すと、自分も軽くなる気がする。軽くなると薄くなる。薄くなると怖い。でも、薄いままでいられる場所も必要だ。
閉店後、裏口を出る。外は暗い。暗い空気が、急に胸の奥に戻ってくる。戻ってくる胸の奥は、昼よりうるさい。
駅へ歩く。歩きながら、スマホが震えないことを祈りそうになって、やめる。祈ったら、祈りが叶わない時に崩れる。崩れるのが怖い。
ホーム。電車を待つ。
スマホが震えた。
反射で画面を見る。千華さん。
「今日はもう限界」
「金曜、無理かも」
「ごめん」
短い。短いけど、重い。
胃の奥が、一瞬だけ冷える。冷えたのは、期待が形になっていたからだ。形になっていたものが、崩れかける音がする。
でも、崩れきる前に、もう一回呼吸をする。
波じゃない呼吸。ホームの呼吸。冷たい空気の呼吸。
「無理かも」は、無理じゃない。まだ確定じゃない。千華さんは、いつもその形で言う。壊さないための言い方。自分を守る言い方。
僕は、指を止める。
ここで「大丈夫です」を言うのは簡単だ。簡単すぎて、嘘になる。嘘は増やしたくない。でも、重い言葉も増やしたくない。増やしたら、千華さんを縛る。
僕が選べるのは、薄いけど嘘じゃない言葉だ。
「謝らなくて大丈夫です」
「今日は、休んでください」
「また、落ち着いたらで」
送信する。送った瞬間、胸の奥が少しだけ痛い。痛いのは、期待が抜けた場所が空いたからだ。
空いた場所は、風が通る。風が通ると寒い。寒いと現実だ。現実なら、耐えられる。
電車が来る。乗る。窓に自分の顔が映る。顔は普通。普通の顔のまま、胸だけが固い。
家に帰る。鍵。いつもの匂い。洗剤、畳、古い木。海の匂いはない。ない匂いに、今日は少しだけ助けられる。海がない夜でも、僕は戻れる。そういう練習になる。
台所。湯を沸かす。湯気。熱い。熱いから現実だ。
夕飯は静かに食べる。母はいつも通りに喋る。父は新聞をめくる。今日も「動け」は言わない。言わないのは助かる。助かるのに、助かった自分を責めそうになる。
責めたら、今日が壊れる。
だから、責める前に部屋へ戻る。
机に座って、ノートを開く。昨日の箇条書きを見る。丸はひとつある。ひとつの丸は消えない。消えないなら、今日も合格にできる。
今日の分を書き足す。
・説明会、予約ページを開いて閉じた
・写真:枝の影
小さい。小さすぎる。でも、小さいまま残る。残るなら、足場になる。
スマホを伏せる。伏せるのは逃げじゃない。燃えすぎないために、置く。
でも、置いたままだと、さっきの「無理かも」が胸の中で何度も回る。回る言葉は、僕の息を浅くする。
浅くなる前に、現実を増やす。
洗濯物をたたむ。机の上を少し片付ける。ゴミをまとめる。小さな作業は、息の形を戻してくれる。戻すと、崩れにくい。
布団に入る前に、一度だけスマホを見る。返信はない。ないのが普通だ。普通だから、今日も耐えられる。
電気を消す。暗い。暗いと、金曜が消えたみたいに感じる。でも、消えたわけじゃない。金曜はただ、形を変えただけだ。
僕は口の中で言う。
――来たら受け取る。来なくても崩れない。
言葉は簡単だ。簡単だから、すぐ揺れる。でも、揺れる前に、もう一回だけ呼吸をする。
波じゃない呼吸。
でも、ちゃんと呼吸だ。
胸の奥はまだ固い。固いままでも、眠りに近づける日がある。今日は、その日にする。
目を閉じる。
しばらくして、スマホが一度だけ震えた。
見るか迷って、迷ったまま見る。
千華さん。
「さっきの、無理かもは」
「無理じゃないかも」
「ごめん、揺れてる」
揺れてる。
その言葉は、嘘じゃない。嘘じゃないから、胸の奥が少しだけほどける。ほどけるのが怖い。でも、ほどけた分だけ、息が入る。
僕は短く返す。
「揺れてて大丈夫です」
「今日は休んでください」
「金曜も、当日で」
送信する。送って、伏せる。
伏せたら、また呼吸が戻る。戻った呼吸で、僕は布団の中で少しだけ肩の力を抜く。
金曜はまだ遠い。
遠いままだから、今夜は崩れない。
そう決めて、眠りの方へ体を預けた。
翌朝。
目を開けると、体がまだ少し固い。固いのに、昨日よりマシだと思える。マシ、って言葉は便利だ。完璧じゃなくても、今日を始められるから。
スマホを見る。通知はない。
ないのが普通だ。普通だから助かる。助かるのに、心臓は一回だけ跳ねる。跳ねた分だけ、僕は息を整える。深くしすぎない。深くすると、金曜が大きくなる。
キッチンへ行く。味噌汁の匂い。母が鍋をかき回す音。父は新聞をめくっている。言葉がない朝は、助かる。
「行ってきます」
声はいつもより小さい。小さい声でも、声にできたら今日は動ける。
電車に乗る。朝の車内の顔は、昨日と同じだ。同じ顔が並ぶと、僕の中だけが少し浮く。でも、浮くのは僕の癖で、世界のせいじゃない。そう思えたら、少しだけ楽になる。
大学。
講義室。板書。ペン。インク。
書いている間は、金曜が遠いままになる。遠いままなら、今日は壊れない。
昼休み。
今日も食堂は避けた。自販機で温かい缶を買って、いつもの端のベンチに座る。缶の熱が、指の感覚を戻す。戻ると、僕も少し戻る。
スマホを出す。出して、閉じる。
見る目的がないのに見ると、余計なものが増える。増えた余計なものは、夜に回る。夜に回ると、眠れなくなる。眠れないと、また崩れる。
今日は、増やさない。
代わりに、ノートの端に小さく書く。
・写真:影を撮る
・説明会:予約ページを閉じるまででいい
「閉じるまで」って書くと、やることが小さくなる。小さいと、持てる。
午後の講義を終える。外はもう橙に寄っている。冬の夕方は早い。早い終わりは、たまに助かる。長い昼が短くなるから。
バイトへ行く。動く。言う。笑うふりをする。薄くなる。
薄くなっても、今日は薄いままでいい。薄いままで、夜まで行けるならそれでいい。
家に帰る。夕飯。父が少しだけ「説明会」と言いかけて、やめたみたいな間があった。間だけで胃が固くなる。固くなったまま、僕は味噌汁を飲む。熱い。熱いから現実だ。
部屋に戻る。机に座る。ノートを開く。
今日できたことに、丸をつける。
・講義、出た ○
・バイト、行った ○
・スマホ、増やさなかった ○
「増やさなかった」に丸をつけるのはずるい気もする。でも、ずるくても生き延びる方が先だ。
布団に入る。暗い。暗いと、金曜がまた浮く。浮いた金曜を、押し戻す。押し戻すために、呼吸を数える。数えると、呼吸が形になる。
形になった呼吸で、眠りに入る。
次の日。
同じ朝。同じ匂い。同じ白さ。
でも、少しだけ違う。金曜が「遠い」から「近い」に寄っている。近いものは大きい。大きいと怖い。
怖いから、今日もひとつだけやる。
昼休み、キャリアサイトを開く。説明会のページまで行く。文字の海を一回だけ見る。見て、閉じる。閉じると、胸の奥が少し動く。
動いたのは達成感じゃない。怖さだ。怖さでも、動けたなら合格だ。
バイトを終えて帰る道、スマホが震える。
千華さん。
「今日も無理だった」
「金曜、行けたら行く」
「行けなかったら、ごめん」
行けたら行く。
その言葉は、薄いのに重い。薄いのに重いのは、僕が勝手に重くするからだ。
僕は、短く返す。
「了解です」
「謝らなくて大丈夫です」
「当日で」
送って、伏せる。
伏せたら、熱が逃げる気がする。でも、熱を逃がすのが目的じゃない。燃えすぎないために、置く。
その夜は、少し眠りが浅かった。浅い眠りの中で、海の音が欲しくなる。欲しさを否定しない。ただ、取りに行かない。欲しいままで、ここにいる。
木曜。
起きると、胸の奥が少し落ち着いている。落ち着きは怖い。落ち着くと、油断する。油断すると刺さる。
だから、今日も小さく動く。
講義。板書。ペン。インク。昼は缶。夜はバイト。
家に帰ると、母が「最近、疲れてない?」と聞いてきた。声が軽い。軽いのに、刺さる時がある。
「……大丈夫」
大丈夫じゃないのに言う大丈夫じゃない。今日は、そういう大丈夫にする。
父は何も言わない。言わないのが助かる。助かるのに、助かった自分に名前をつけたくなる。「弱い」とか。名前をつけたら、僕がそれになる。
だから、名前をつけない。
部屋に戻る。湯を沸かす。熱い。熱いから現実だ。
スマホが震える。
千華さん。
「明日、たぶんいける」
「でも、ほんとに当日まで分かんない」
たぶんいける。
胸の奥が、少しだけ明るくなる。明るくなるのが怖い。怖いから、明るさを小さくする。小さくするために、返信を短くする。
「了解です」
「無理ない方で」
「決まったらで」
送信して、伏せる。
伏せたスマホが、机の上で静かに熱を持っている気がする。気のせいでもいい。気のせいで明日を越えられるなら。
布団に入る。眠りは来る。来るけど浅い。浅い眠りの中で、金曜の夜が何度も形を変える。会える形、会えない形。どっちも、同じくらい現実だ。
金曜。
朝。
目を開けた瞬間、胸の奥が少し重い。重いのに、悪くない。悪くない朝は助かる。
スマホを見る。通知はない。ないのに、今日は「ない」に触れない。触れたら、期待が増えるから。増えた期待は夜に刺さる。
大学へ行く。講義。板書。ペン。
いつもより、文字が頭に入らない。入らないなら、写す。写すだけでいい。写すだけで、時間は進む。
昼休み。缶を買う。ベンチ。影。
枝の影が、今日は少し濃い。濃い影は、地面にちゃんと乗っている。乗っている影を見ていると、僕も少しだけ乗れる気がする。
夕方。
バイトへ向かう。今日は、いつもより店の明るさが刺さる。刺さるのに動く。動くしかない。動くと、時間が進む。進むと、夜が来る。
閉店後。
裏口を出ると、空気が冷たい。冷たい空気が肺に入る。肺が起きる。起きた肺で、僕はスマホを見る。
通知はない。
ない。まだない。
まだ、って思った瞬間、胸の奥が少し痛い。痛いから、僕は歩き出す。歩けば、痛みが散る。散らない痛みもあるけど、散る痛みもある。
駅へ向かう途中で、スマホが震えた。
千華さん。
「今、少しだけ抜けられる」
「駅の近く、寄れる」
寄れる。
胸の奥が一気に動く。動きすぎる。動きすぎると、燃える。燃えたら危ない。
僕は立ち止まって、呼吸を一回だけする。冷たい空気の呼吸。波じゃない呼吸。
それから、短く返す。
「了解です」
「今から向かいます」
「無理だったら言ってください」
送信。
送って、歩く。歩く速度がいつもより少しだけ早い。早いのが怖い。怖いから、歩幅を小さくする。小さくして、速さを落とす。落とせたら、燃えすぎない。
駅前は人が多い。夜の駅前は、昼より顔が薄い。薄い顔の方が助かる時がある。今日は助かる。
改札の外。柱の近く。待つ場所を決める。場所を決めると、僕の体も少し落ち着く。
数分。
胸の奥がうるさい。うるさいのに、立っていられる。
人の流れの向こうから、千華さんが現れた。
前に見た時より、少しだけ肩が落ちている。コートの襟が高い。髪が少し乱れている。でも、歩き方はちゃんとしている。ちゃんとしているのが痛い時がある。ちゃんとしてるふりをしてるのが分かるから。
僕は近づく。近づきすぎない距離で止まる。
「……お疲れさまです」
千華さんが小さく頷く。
「おつかれ」
「ごめん、ほんとに少しだけ」
「……大丈夫です」
大丈夫です、は簡単だ。でも今日は嘘じゃない。少しだけでも、会えた。会えた事実は嘘じゃない。
千華さんが息を吐く。白い息が出る。白い息を見ると、夜が現実になる。
「どこ行く?」
「……駅前、人多いです」
「だよね」
僕は少し迷って、言う。
「……この前の公園、夜でも行けます」
「海の近く」
千華さんは一瞬だけ考えて、頷いた。
「行こ」
「歩けるなら」
歩けるなら。
その条件が、彼女らしい。現実の条件だ。
僕は頷く。
「……はい」
歩く。並ぶ。歩幅は合わせない。少しだけずらす。ずらすと、呼吸が残る。残った呼吸で、会話ができる。
千華さんが言う。
「今日、しんどかった」
「ずっと、しんどかった」
僕は頷く。頷いて、言葉を探す。探して、薄い言葉を選ぶ。
「……今、ここに来れたの、すごいです」
千華さんが短く笑う。
「すごい、は盛ってる」
「でも、ありがと」
ありがと。
その一言が、胸の奥に落ちる。落ちたら、ほどける。ほどけるのが怖い。でも、ほどけた分だけ息が入る。
公園が見えてくる。街の匂いが少し薄くなる。潮の匂いが混ざる。混ざると、千華さんの肩がほんの少しだけ上がる気がした。気のせいでもいい。気のせいで歩けるなら。
ベンチに座る。隣じゃなくて、少しだけ離れて座る。離れるのは距離じゃなくて、呼吸だ。
千華さんが小さく言う。
「来れてよかった」
「来なかったら、たぶん今日は潰れてた」
潰れてた。
その言葉が怖い。怖いけど、逃げない。逃げたら、千華さんが一人になる。僕は一人にしたくない。でも、一人にしたくないって言うと重い。重い言葉は、縛る。
だから、薄いけど嘘じゃない言葉を出す。
「……潰れなくてよかったです」
千華さんが頷く。
「うん」
「和樹くんは?」
「今日、どうだった」
今日。
僕は少しだけ目を伏せる。父の言葉。講義。バイト。全部が重かった。でも、全部を言うと濃くなる。
だから、ひとつだけ出す。
「……説明会、ページ開いて閉じました」
「……丸、ひとつです」
千華さんが、少しだけ目を細める。
「それでいいじゃん」
「丸は偉い」
偉い。
僕の「えらい」を笑った人が、同じ言葉を返してくる。胸の奥が、少しだけあたたかくなる。
あたたかいのが怖い。でも、今日は夜だ。白い円がある夜だ。夜なら、少しだけあたたかくても持てる。
千華さんがスマホを見る。画面を見て、眉が寄る。
「……戻らないと」
「ごめん」
「……大丈夫です」
大丈夫です、は今日も薄い。でも、嘘じゃない。少しだけでも、会えた。会えたなら、今日の夜は残る。
立つ。歩く。出口へ向かう。車の音が近づく。潮の匂いに街の匂いが混ざる。
戻る場所が近い匂いだ。
駅の手前で止まる。千華さんが言う。
「また、余裕できたら」
「海、行こ」
「……はい」
「行きましょう」
言ってしまうと、形になる。形は怖い。でも、形がないと溶ける。今日は、溶けない方を選ぶ。
千華さんが小さく手を上げる。人の流れの中へ溶けていく。溶けるのが怖いのに、溶け方が普通で、少しだけ安心する。
僕はその場に少しだけ残って、呼吸を整える。
波じゃない呼吸。
でも、ちゃんと呼吸だ。
帰りの電車に乗る。窓に映る自分の顔は、相変わらず普通だ。普通の顔のまま、胸の奥が少しだけ静かだ。
家に着く。鍵。いつもの匂い。洗剤、畳、古い木。
海の匂いはない。でも、今日の夜の匂いは、胸の奥に残っている気がする。
残っているなら、明日も越えられる。
僕は靴を脱いで、部屋へ向かった。




