第6話:白昼に立ち尽くした
「はーい、そんじゃ静かにー」
山岸が手を叩いて、教室のざわめきを落ち着かせる。
「えーっと、今日から新しいお友達が加わります」
「え~ !?転入生?」
「お友達って小学生かよ!」
教室はどよめき、どこからか野次が飛び、教室が一斉に笑いに包まれた。
「あー、ははは、あんまり転入生とか来ないからさ。どう言えばいいのかわかんないんだよ」
山岸は気にした様子もなく、肩をすくめる。
「じゃあ、朝霧くん。入ってきて」
―――ガラガラガラ
静寂。生徒達の視線は開いた扉へ集まった。
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「男の子だ」「暗そう~」「ちょっと、聞こえるよ」
心臓の音に、クラスメイトたちの内緒話が混じる。
山岸先生の隣までたどり着いて、クラスメイトの方へ向き直る。
「え~と、今日からこのクラスで一緒に学ぶ、朝霧湊くんです。はい、自己紹介~!」
山岸先生の雑な振りだ。
「あ......えっと。東京から引っ越してきました。朝霧です。よろしく。」
どこを見ればいいのかわからず、宙に向かって笑って見せる。
それはもう不自然な笑顔だったろう。
「え、終わり?」「人見知りなのかな?」
小声での会話が聞こえる。人見知りという自覚は無いけれど、これ以上話すことが無い。
「朝霧君はご家庭の都合で引っ越して来たので、時期はちょっと珍しいけど、皆仲良くな。」
山岸先生が簡単な補足を入れる。
僕の席は窓際の最後尾とのこと。視線を感じない良い席かもしれない。
鞄を持って席へと向かう。
悪いことをしたわけでもないが刺さる視線が痛い。
僕の一つ前の席に座っている女の子と目が合う。
なんだか気まずくて会釈だけして、席へ着く。
「え......嘘っ...?」
すれ違いざま、女の子が小さな声で呟いたのが聞こえた。
「じゃあ、出席取るぞ~。転入生~朝霧~。」
「えっ...あ、はい!」
朝のホームルーム。連絡の伝達を終えると点呼がとられる。
親の離婚によって苗字が朝霧になった僕は出席番号が一番になってしまったらしく、油断していた僕は驚いて結構大きな声を出してしまった。……気がした。
しかし、そんなことは無かったようで、特に問題も無く点呼は進んでいく。
「宮原!」
「はい!!」
前の席の女子が元気に返事をする。宮原というらしい。
先程のつぶやきはなんだったんだろうか。
「よし、じゃあ9時から現国だからな~。それまで休憩。」
山岸先生の合図とほぼ同時に教室に話し声が溢れた。




