家族②
おそらく俺の頭上にはハテナマークが浮かんでいると思う。
「なにもしらないが、どういうことだ?」
少し勿体ぶっている様子のキリアン。
「僕の大切な人は君と同じ能力を持つ魔法使いに殺されたんだ」
俺の他にこの能力を使える人間がこの世界にいるのか。少し残念だ。
「キリアン、俺はそのことについて何も知らないし覚えてないんだ。記憶を失っている。」
転生してきた、なんて言えない。
「記憶を失う、か。誤魔化すには一番簡単な言い訳だな、バレッド」
信じてくれないのか、。
「たしかに、今の状況だと俺は怪しいのかもしれないな。」
キリアンは机を思い切り叩いた。
「なめているのか?」
「いいや、、すまない。」
「僕はその魔法使いを殺すため、復讐のためにこの学園に入学した、そのためだったらなんだってしてやる覚悟だ」
普段冷静でクレバーなキリアンがここまで熱くなるなんて、。
「しかし、その人を殺した魔法使いと同じ魔法が使える、だから俺も反乱に関与している、お前にしては浅はかじゃないのか?」
割と芯を食ったことを言ったが。
「前例がないのさ。君たちの魔法だけは、。」
少し落ち着いて語った。
「僕もあの日から研究を続けている、しかしどの資料にも本にも記されていないんだ。」
「普通は記されているのか」
「そうだ。」
空気が重たいが知らないということしかできない。
「バレッド。僕は君をまだ信用できない。君のその魔法が憎い。」
「そうか」
「でも来てくれてありがとう。今日はもう寝よう」
こいつも少し疲れているのかもしれない。また次の機会に話し合おう。今日はもう眠い。
そうして俺はキリアンの部屋を後にした。
俺は何者なのか。説明がつかない。もう少しましな嘘がつけるように努力しないとな。
それにしても2日で3人殺してるわけだ。前世でと今世でも人殺しには変わりない。
神様もいかれてる。
あれから一週間経ちみんなもだいぶ落ち着きを取り戻した生活ができている。
「最近なんにもねぇよな、逆に退屈だよ」
「なんかあったらあったでひよって逃げ出すくせによ」
「なんだと?」
「嘘じゃぁねぇだろ?」
この二人の喧嘩も見慣れたものだ。
「にしても本当にどこのクラスも動きがないんだね」
「まぁ逆に俺たちもむやみやたらに校舎外には出たくはないだろ?」
「それもそうだね、そういえば次は実技だけどバレッドは結構上達したの?」
「今は一般魔法の応用の練習してるかな」
俺はこう見えて結構コソ練とかするタイプだ。最近は図書館とグラウンドを行き来している。
「ほんとにすごいね、一般魔法に関してもクラストップなんじゃないかな」
「いや、流石にそれは」
まだみんなの能力を把握しきれていないからなんとも言えないが。
「ねぇ、バレッド。ジェラードってなんか不思議じゃない?」
「あぁ、静かなやつか」
「そうなんだよ、あまり多くを語らないって感じだよね、先週の脱出の時も寮に残ってたし」
確かにあの日残ってたのはティア、アマーティ、そしてジェラードだ。
「ちょっと話してきてよ!」
「は?お前が話してこいよ」
いいからいいからとジェームズは俺の背中を押した。
「ったく」
ジェラードが休んでいる木陰に向かう。
「隣いいか」
「別にいいけど」
なんかこいつの声はじめて聞いた気がするな。
前髪が目にかかるかかからないかくらいの黒髪で塩顔イケメンって感じだ。
「ジェラードはみんなと話さないのか?」
「あまり興味ないかな、」
「なんで魔法使いに?」
「兄貴がなるって言ったから流れで」
気まずい。
ちょっと絡みずらい奴だな、俺に似てる奴とは仲良くなれそうにない。
「絡みずらい奴だな、って思った?」
ジェラードはそう言って少し口角を上げて見せる。
「あぁ、正直」
少し笑ってみせた。
「そういえばなんで脱出しようって思わなかったんだ?」
「その時ちょっと動くのがめんどくさかった」
「そういうものか?」
「うん、お腹が減っててね」
おかしなやつだな。
「今おかしなやつ、とか思った?」
「なんだ、心読めるのか?」
「やっぱり思ってたんだね」
俺たちは笑い合った。
「みんな、ちょっと集まってくれないか!」
ユーリが集合をかけた。
「またなんかあったみたいだね」
微笑み立ち上がるジェラードは儚く見えた。
「そうだな」




