誘い④
「波が強いっ、」
そう思ったのはつかの間、乗っている船は一気に海水に覆われた。
「どうなってんだ!!右見ても左見ても上見ても水に覆われてる」
外からから見たら海水が球体をつくりその中に閉じ込められているといった感じだろうか。
「みんな、脱出するぞ!海に飛び込め」
一番に海に飛び込もうとしたのはダニーだった。
「イッテぇぇぇ」
船からは降りれずその海の壁に跳ね返されたように見えた。
「だめだ、おそらく表面にバリアがはられてやがる!!外に出れねぇ!」
「完全に閉じ込められたわけだな」
不穏な空気が漂いはじめた。
「哀れな1-1の生徒に告ぐ、お前たちの人生はここで終わりだ」
海の壁の外にうっすら見える影はあの青髪だろう。
「おい!青髪、話が違うぞ!!」
「騙されるやつが悪いだろ」
嘲笑っているのが顔を見なくてもわかる。
「今からその球体の中いっぱいに水を出して溺死させてやるからまぁ待っとけよ」
「ちょっと待ってくれ、僕たちはもう島から脱出しようとしている、君たちに与える危害なんてものは一切ない!殺す必要なんてないんじゃないのか?」
キリアンはこんな状況でも鋭い意見で盤面をひっくり返そうとしている。
「あぁ?腹いせだよ」
「俺たちがなにしたってんだよ」
「お前らティア連れてこなかっただろ??」
なるほど、だから1-1を。
「あいつだけをかっさらってお前らは島に返すつもりだったよ、まぁティアを助けようもんなら殺してたし、気分によっても殺してたけどな?」
青髪は高笑いをかました。
「あぁぁこのまま俺たち死んじまうんだぁ」
「馬鹿ダニー、すぐ諦めるな!」
「そもそもここは島の外だが、俺たちは復活させてもらえるのだろうか」
「ちょっとまってくれ、ユーリ、そんなことあるのか!?」
「その可能性は無くは無い。」
まさに絶対絶命という空気感だ。
「バレッド、勝ち筋は見えているかい?」
小声で詰め寄ってきたのはジェームズ。
「一応あるっちゃあるがみんなに能力を知られることになるぞ」
「それはもう仕方ない、聞かせてくれないか」
俺は作戦を話した。
「それは少し無謀すぎないか?」
「幸いこの超魔法を使えるのが俺だ。問題ない」
「たのもしいね」
ジェームズは無邪気に笑って見せた。
「何も抵抗を示さないんだなぁ?ほんっと腰抜けたクラスだことよ」
「ちょっとみんないいか」
はじめて自らクラス全体に向けて発言した気がする。
「俺はみんなの能力を把握しきれていない、誰か打開できる者は」
名乗りをあげる者はいなかった。
「それじゃぁ俺に任せてくれないか?」
みんなわかりやすく驚いた顔をした
「バレッド、君はこの状態を抜け出す術を持っているのか?」
「あぁ、だから今は何も言わずに俺に任せてほしい。」
クラスのみんなは顔を見合わせた。
「わかった、従おう」
「それじゃぁこれで終わりだよなぁ??、ウォーター!!!」
その呪文とともに球の中に水が徐々に溜まっていく。
俺は構えをとり、指先を青髪の影に向けた。
〜〜〜
『おそらく、この水の壁を撃ってもあまりダメージはないと思うんだ』
『あまり?だろ』
『本当に小さな穴くらいなら空く可能性はある』
『あぁ』
〜〜〜
まずは1発。脳内でトリガーを引く。
重低音とともに放った"弾"は青髪の影を打ち抜きバリアに直径1cmほどの穴を開けた。
「な、何やってんだよあいつ、」
クラスメイトはこの特殊魔法を見て唖然としている。
「おそらく球体に穴を開けて水を逃がそうとしているのか?おそらくそれは無駄な抵抗と化すぞバレッド」
〜〜〜
『まさか…その穴にもう1発打ち込む気なのか!?』
『正解』
『そんなことが可能なのかい?、』
『可能だ』
〜〜〜
「なんだ?そんな穴開けてなんになるってんだ、塞がせてもらうぜ?!バリァ、、、」
「遅えよ」
放った2発目は小さな穴を通過しおそらく肩あたりを打ち抜いた。体勢を崩した青髪が上空から落下してくる。
「魔法が解けたぞ!」
球体が崩れて海水の雨が降ってきた。
やべっ、目に水が入った、しみる。
「せ、せめてこいつだけは殺させてもらうぜ?」
青髪が落下した先にはダニー。
「ダニー!トドメを刺すんだ!」
「ひぃっ、、、っ」
ダニーは朦朧としている。
「もらったぜ、フレイッ」
俺が目を擦り終えるタイミングの方が僅かに早く銃声と同時に青髪は倒れた。勝利はしたもののただならぬ空気が流れた。
「おい、ダニーなぜ殺さなかった!お前死ぬとこだったんだぞ!」
両肩を掴み咎めたのはミューラ
「こ、ころせねぇよ、人間なんてっ!!」
おそらくダニーだけじゃ無い。誰があの状況に陥っても少しは怯むのだろう。
「あ、あいつがおかしいんだよ」
ダニーが指さしたのは俺だった。
「同じ人間かよ、、非人道的すぎんだろ…」
その言葉に今はまだ何も言い返すことはできなかった。




