銃撃犯と魔法使い②
一瞬場が凍ったが数秒経ちヤジが飛び交う。
魔法界でもやはりこれはおかしいのか、少し安心する。
「最後まで話を聞け。死んだ生徒はわしの寿命を減らしてでも復活させる、が二度と魔法使いの人生を歩むことができない、というわけだ」
「学園長‼︎質問よろしいでしょうか」
講堂の空気を断ち切り一人の生徒が立ち上がり手を上げた。
「君はたしか生徒会長の、メビウス、?」
「いえ、メビアです。わたしが考えるに殺し合う必要がないように思えます。生き返るにしても死にたくないですし、学園長、またはこの世界にとってなにかしらのダメージがあるのならばなおさら。首から魔法石をかけてそれを奪われたら退学、そのようなシステムではいけないのでしょうか。」
簡潔に否定した上で別案を瞬時に提案、あいつ絶対メガバンクで働いてたな。
「なるほど、、、、でもそれじゃぁダメなのだよ」
「といいますと?」
「10年前の反乱を覚えているか?」
さっきよりも場が凍った。
「もちろん、私の父親も戦死しておりますので」
「当時の魔法使いには魔獣はともかく人を殺す勇気が無かった、彼らは人を殺したことがない、その覚悟がなかったからだ」
「しかし、当時の反乱はいきなりです、彼らの心の中で決心がつかなかったのは理解できます」
「だからなのだよ、本当にいざという時戦える魔法使いをできるだけ揃えなければならない、おそらくその時は今も一刻と迫っている!」
さっきよりも声を荒げ、白髭を揺らしながらさらに続けた。
「敵を殺す覚悟があるものでなければ、
生死を争う戦いができるものでなければ、
世界は救えない!」
数秒だろうか、間が空いた。
「なるほど、乗りましょう。」
物分かりが良すぎはしないか?
「たしかにこの身を捧げる想いでレスターに入学しました、このゲームに賭けます」
再び講堂は拍手で溢れかえった。
なんてわかりやすい校風なんだ。
「ジェームズ、死なないように頑張らないとだな」
「うん、そうだね」
「あれ、意外とびびってないのな」
「僕もこの命は最初から捧げるつもりできた。覚悟はできてるよ」
10年前のことは分からないが、相当なことがあったんだな、今はあまり聞かないでおこう。
「それでは全校集会を終了する。クラスごとに校舎をこの島の至る所に設立している。各々仲良くするように」
さすが、世界一の魔法学校、金使いの荒いこと。
「クラス分けについては君たちのほうきを操りそれぞれのクラスに送りつけるから問題ない、それでは開戦は明日からだ!」
「撤収ー‼︎‼︎」
先ほどの生徒会長の合図とともにほうきに跨り綺麗に講堂から退出していく。
「いくよ!バレッド!」
「いや、俺ほうき出すことなんてできねぇし浮遊なんてもってのほかだぞ」
「もぉ、後ろ乗って!」
数秒で上空まで浮遊して、みるみるスピードが上がっていった。
「魔法界っぽいのなぁ」
「なにいってるの?」
景色にみとれてるうちに、おそらく俺たちの校舎にたどり着いた。
俺たちは1-1。男8人女3人の11人編成。年齢は様々で一番下は14歳、最年長で18歳のやつもいるらしい。俺は16歳ということにしている。
「バレッド!みて!」
ジェームズが耳打ちしてくる
「どうした」
「あの子、ティアだよ!世界に数人しかいない特殊魔法で回復を使える子なんだ!」
座っていた長髪金髪の美少女はとてもか弱く見えた。
「受験前から有名だったよねぇ、それにしても可愛いなぁ」
「そこ、うるさいぞ、クラス会議の途中だ」
「す、すみません」
「さーせん」
彼の名前はユーリ。すごい真面目なやつ。
クラスには担任がおらず生徒のみで学活の授業は回していく。だからあいつみたいなリーダーの存在はこちらとしては助かるというわけだが、少し苦手だ。
「まず細かいルールの伝達が先ほど入ってきたため共有しておく。他クラスの校舎内での攻撃は禁止されているが校舎外から校舎の中を狙った攻撃は認められている。そして交戦できるのは授業終わりのみ。」
一人の男が手をあげた
「どうした、ダニー」
「や、やっぱりやめませんか。この島から脱出しましょぅ。」
「私も賛成です、こんなのはおかしい」
続けて手を挙げたのはリオナ。日本人のような顔つきで彼女もまた可愛い。
「脱出をしたら魔法使いに一生なれねぇだろ?それでも脱出がしたいのかよ?そんな覚悟か?」
嫌味ったらしい言い方をしたのはアマーティー。肌は黒く背は高い。
「落ち着いてくれ。それぞれの言い分はあるだろう。今はまだ誰の意見も否定するつもりはない、今日一日はそれぞれもう一度よく考えよう。」
場は静まった。
「寮内は外からの攻撃も認められていない、一度そこに移動しよう」
そうユーリがいうとみんな一斉に動き出した。
「グラウンドで特訓してもいいですか?」
手を挙げたのはジェームズ。
「おま、何言って」
「だってバレッドほうきの使い方もわかんないじゃん!それはさすがに即死するよ」
ぐうの音も出ない。
「分かった、あまり遠くに行かないようにしてくれ、君たちも立派な戦力だ。」
「わかったよ」
そういうわけで俺たちはグラウンドへと向かった。
「魔法には種類があって、ある程度の人が使うことができる一般魔法とそれぞれの個性によって出方が違う特殊魔法があるんだ。でも特殊魔法は使えない人の方が多いかな。」
「なるほどな、それでみんな使えるのがほうきってわけか」
「他にも炎、水、バリアを出現させたり多少の回復なら行うことができるんだ」
「あれさっきティアって奴の特殊魔法が回復って言ってなかったか?」
「いい質問するな!ティアの回復は一般魔法とは一味も二味も違うんだ。簡単に説明すると一般は擦り傷程度は治すことができて、特殊は切断された足を治すことができるって感じかな」
「なるほどなぁ」
「まぁとりあえず今日はほうきに乗れるようになろう」
「ういよ」
突然ジェームズが後ろを振り返った。
「どうしたんだよ」
「いや、少し視線を感じような気がしたんだけど、気のせいかな。」
「怖いこというなよ」
「続けようか!」
「フレイム」
ジェームズの右手が燃えた。
そしてあっという間に距離を詰められジェームズは首を絞められた。
「油断しちゃぁだめだぜ、一回生 」
胸には星が三つ、3回生、後ろには2人合計3人か。
「逃げ、るんだ、みんなに伝えて、」
その場がスローモーションに感じた。
無意識に俺は指で拳銃の形をつくりそれを相手に向けた。そこに右手を添えていつもの構えをとった。
「ほうきも乗れねぇっていうのが聞こえたぜぇ?そんなフォームとって何になるっていうんだ?」
嘲笑う敵の脳天に狙いを定め
『死ね』
脳内でトリガーを引いた。すると綺麗に脳天を撃ち抜いて敵はその場に倒れた。
「許してくれぇ」
逃げ出す後ろの2人も当然捉え殺した。
「バ、バレッド、、、君は、何者なんだい」
考えるより先に答えていた。
「ただの銃撃犯」




