弱虫ダニー②
決戦の日。
「バレッド、毎回すまないな、」
「あぁ、気にするな」
「まぁバレッドの超魔法なら余裕でしょ〜」
ミューラはもはやポジティブなのか他人事なのか分からないな。
「バレッド、生きて帰ってきてくれ」
ジェームズが俺の肩に赤のワッペンを強く押し付けた。
「まぁなるようになるんじゃないか」
「ところでバレッド、ダニーはどこだい?」
周りを見渡すが確かにその姿は無い。
嘘だろ。まさかここまで腰抜けだったなんて、。
「あと10分後スタートだぞ??みんな、手分けしてダニーを探すんだ!」
いっせいに散らばる。
「もしかして、」
何か思いついたかのような表情を浮かべたのはアニエス。
「どうしたんだ、アニエス。」
ユーリが詰め寄る。
「あいつならあそこしかないって場所があるんだよな、多分なんだけど。」
「やっぱこえぇよぉ、俺なんか外に出たら即死だぁ」
「こんなとこで何してんだ」
「げっ、バレッド、なぜここが、」
ダニーが隠れていたのは屋上の倉庫裏だった。
「アニエスがここじゃないかってさ、」
三角座りで震えている少年の姿がたしかにそこにあった。
「んで、どうしたんだ、急に」
こちらも急いでる、早く連れ戻さなければいけないんだが、、、
「、、、」
中々、口を開かない。
「おい、あまり時間をかけていられないんだ、なにか理由があるのか?」
するとダニーは重い口を開いた。
「俺のせいでもう誰も死んでほしくねぇんだ、。」
、こいつも傷を負っているのか。
「俺が死ぬのは最悪構わない、、でも俺のせいでお前に死なれちゃ困るんだよ!!!」
少年は強い口調で必死に訴えた。
「分かった。」
「分かったって何が分かったんだよ、」
「俺は死なない、お前も死なせない、これでいいか?」
「だから、そうはいかないかも知れないだろって!」
ダニーに歩み寄る。
「俺を信じろ」
手を差し伸べた。
「あっ!ダニーいた!」
たどり着いたのはティアだった。
「な、なんでティアまで!」
さっきまで座っていたのに急に立ち上がった。
「ダニー今日は頑張ってね!!私応援してる!!」
金髪美少女は溢れんばかりの笑顔で渾身の一撃をぶつけた。
「ぁ、ぁぇょ」
「あ?なんて?」
「当たり前よ!!!俺に任せとけ!!」
作戦成功だな。ティアを呼んで良かった。
「よし、いくぞ、弱虫」
「弱虫じゃねぇから!証明してやんよ」
本当になんなんだコイツは。
「出発の時刻になった。場所は西のキングパワー地区、一度区域に入ったらでることはできない。ミッションは最後まで生き残る。やれるか?」
「あぁ」
「当たり前よ」
「それでは健闘を祈る!」
ユーリは強く握った拳を突き出す。
それと同時に俺たちは勢いよく飛び出した。
天気が良くとても気持ちがいい。前世で一度だけしたドライブを思い出す。
「もう気は大丈夫か、ダニー」
「おう、緊張感はしてるがな」
その横顔からは恐怖心は感じられなかった。
「へぇーやるじゃんか」
「もう始まっちまった。いつまでもクヨクヨしてたらあの日の二の舞だ。」
相当なことがあったのだろう。
でも今聞いて地雷を踏んだら元も子もないな。話題を変えよう。
「俺の勝手な憶測だが今回のイベントあまり強いやつは参加してない気がする。」
「まじか!?」
ダニーは今日一番の笑顔を見せた。
「あぁ、参加者のほぼが必ず死ぬようなイベントにクラスのトップが出てくるとは思えない」
おそらくユーリとキリアンはそこも見抜いてのこのチョイスだろう。
「なんか俺、急にすげぇ強くなった気がするぜ!!!!!」
「それは本当に気がするだけだろ」
「あ?なんだと??」
良くも悪くもこいつが分かりやすいやつで良かった。
〜キングパワー地区〜
「続々と生徒が集まってきましたね、園長」
「あぁ、そのようだな」
白い髭を触りながら、その時を待つ園長ロジャース。
「どこのクラスがとりますかね、」
「どうだろうな」
ロジャースは水晶玉に映るダニーとバレッドを見つめながら、度数の高い酒を唇を濡らす程度に嗜んだ。
「さて、。はじめようか。」
レンガ造の建物が立ち並ぶ綺麗な街並み。
川のせせらぎ。
豊かな自然。
「フレイムァーー!!!!!」
その綺麗な街並みをめちゃくちゃに壊しながら各クラスの生徒が争いを始めている。
「てっ、てめぇ。」
「へっへ〜じゃーなぁ!?」
重低音2発。ツーショットツーキル。
先ほどまで店内をめちゃくちゃにしながら争っていた生徒が地面に這いつくばり息を引き取る。
「さっすがバレッド〜これで何人殺したよ!」
6人程だろうか。こうやって不意を突き漁夫の利を狙うのが作戦として一番効率が良い。
「そうだな、でも油断は大敵だっ」
店の正面から入ろうと伺っている敵をまた撃ち殺した。
「うわぁ、気づかなかったぁ、、」
「いくぞ、ここはもう人が集まりやすい。」
俺とダニーは周囲を確認しながらその場を後にした。
「みたか?いまの特殊魔法、」
「ふーん、あの一年の割に動きいいじゃん」
「いま仕留めるか?」
「どうせ最後やり合うことになるんじゃない?とっとこうよ。」
「それにしても人数が減ってきたな、中々遭遇しない。」
街は静かでひとけがない。
「もう、俺たち全員倒しちゃったんじゃねぇの?」
たしかに、俺たちは10何人か殺した。他のクラスのやつがどのくらい殺しているのか分からないが、、
「とにかく俺から離れるな、周りを常に見ろ」
「分かった。」
身構えるダニー。2人で生きて帰る。それだけに集中しろ。
ふと強い風が吹き砂が目の中に入る。
「ったく、」
次目を開けた瞬間そこは、
あまりに平坦な建物ひとつない荒地に変わっていた、。




