家族⑤
「私はずっと考えてた。ラニエニさんが最後にくれた言葉の意味を」
〜『いきなさい!!!!!』〜
キリアンの脳裏にラニエニの最後の言葉が浮かんだ。
「本当にラニエニさんは今の私たちをみて喜んでくれるのかな」
「育てた子が自分の仇を取ろうとしてくれている、喜ばないことがあると思うのか」
「もちろん、その気持ちは喜んでくれると思う、ラニエニさんはとても良い人だから。」
「でもね、私たちが何事もなく幸せに暮らすことこそがラニエニさんが私たちを育てた意味で、あそこで私たちを助けてくれた意味になると思うの!!!」
スカーレッドは想いを込めて話した。
「だからいっそのこと魔法使いになれない体にしてやろうってことかい?」
「うん、そうだよ。それが一番なの。」
「悪いがスカーレッド。誘いには乗れない」
「ど、どうして」
「スカーレッドと僕とじゃ決定的に考えが違うようだ」
「一緒だよ!!どっちもラニエニさんを想ってる。その、、考え方が違うだけで!」
「スカーレッド、君はラニエニさんのために幸せに暮らそうとしている。
僕は、、」
「俺は、、俺のために復讐する」
キリアンは氷の槍を3本作り出し思い切りスカーレッドに投げつけた。
軽快に避けるスカーレッド。
「どうして分かってくれないの」
「君が僕を殺そうとするならばもう敵だ、こっちも手加減はしない」
槍を投げ続けるキリアン
周りの木々が倒れていく。
「そんな戦い方して勝てるとでも思ってるの?」
むやみやたらに投げてるようにも見えるその槍はなかなか狙いがさだまらない。
「体力勝負ならこちらに分があるだろ?」
「それはブラフでしょ?何かを意図して攻撃を続けていることくらいわかってるんだよ?」
キリアンはスカーレッドの背後の岩壁に一番大きな槍を放った。
岩はみるみる崩れ落ちてスカーレッドは下敷きに。おそらく死亡しただろう。
ガタガタッ
岩がわずかに動く。
浮遊の応用で岩を一つずつ浮かせていく。
「わかってたんだよ、なにを狙っているかも」
岩山の中から声が聞こえる。まだ死んではいなかった。
スカーレッドは岩をはらいのけそこから姿をあらわした。ギリギリでバリアをはったのだろう。
しかし、そこに広がっていた景色は。
「なにこれ、。」
そこはスカーレッドを囲い込むように炎が燃え上がっていた。
「なるほど、」
キリアンがむやみやたらに倒していた木々はスカーレッドを囲うように倒されていた。その木々に着火してこの盤面を作り上げたのだ。
「疲れ果ててもう動けないキリアンがいると思ったか?」
声は上空から。そこには、ほうきにまたがり冷たい視線を向けるキリアンの姿。
スカーレッドは俯いたまま顔をあげることができない。
「最後にほぼ全ての力を振り絞って氷の槍を降らそうと思っている」
キリアンはこの時のために余力を残して戦っていた。
「体力あるん、だね」
「言っただろ?体力勝負には分があると」
「なる、ほど」
「これからは幸せに暮らしてくれ、それじゃぁ」
スカーレッドはわずかに口角をあげた。
「マニプュレイト」
その呪文を唱えた途端、燃え上がった炎はキリアンのもとへと素早く伸びていった。
「どういうことだ!?」
「そのほうき燃やす、ごめんね」
ほうきの焼失と同時にキリアンは上空から落下した。足を火傷した上に上空からの落下で大ダメージをくらった。
「まさか、炎を操っているのか」
「そう、操ってる」
「そんな特殊魔法いつから」
「私たちラニエニさんがいなくなってからみんな別々に生活をはじめたでしょ?」
「たった四年で、、」
「お互い様ね」
灼熱の炎を纏っているものの少女は至って冷静に話をする。
「この後私も死ぬ。だから島に戻って幸せに暮らしましょう」
キリアンはもう既に満身創痍。抵抗できる状態にはなかった。
「フレイム」
灼熱の炎がキリアンに牙を向く。
『ここでおわりか』




