銃撃犯と魔法使い①
「何か言い残したことは?」
首に縄を巻かれた俺に警官は問いかける。
そうか、俺はデパートを銃撃して、
もう一度だけ、もう一度だけ人生をやり直すことができるなら、
「よし、縄を引き上げろ」
ミシミシと縄が吊り上がるにつれて意識も遠のいていく。
『誰かのために生きたかった。』
「おーい、おい、おいっ!」
目を開けると高校生くらいの少年が心配そうな顔をしてこちらを見つめていた。
「大丈夫?君さっきから意識遠のいてるって感じだけど」
まわりを見渡すと少年と同い年くらいの
人間が何人もいた。
「ここは、?」
「レスター魔法学校行きの船の上だよ?」
魔法、船、やっとさっき絞首刑を受けたことを思い出した。となるとここは、。
「ったく、なにとぼけてんの!」
そういうと少年は立ち上がり
「君も受験するでしょ?世界一の魔法学校を!」
目を輝かせながらそう言い放った。
考え得る選択肢は二つ。一つはまだ死んでなくて夢をみている、もしくは、、
異世界転生をしている。
「ついた!すっっごいね!!」
そこは大きな島で賑わっている様には見えない、ただの島に見えた。
「ここはどこだ?」
「ほんとになんもしらないんだね、島全体が学校なんだよ!」
「なるほどなぁ」
やはり世界一の魔法学校はやることがちがう、転生して数時間だが関心した。
「言い忘れてたよ!僕の名前はジェームズ
君は?」
名前、考えるのも不自然なため咄嗟に思い浮かんだ名前をこたえた。
「バレッド」
「かっこいい、」
「別にだろ」
「いや!めちゃくちゃかっこいいよ!」
「い、いや、ところで俺は今から何の試験を受けるんだ?」
話題をすり替えるように質問をした。
「それがさぁ,知らされてないんだよね
過去のデータも一切ないんだ、」
校舎へと進みながら雑談を広げていく、まぁ俺からしたら全て重要な情報だ。この世界のルールを知っておかなければいつコテっと死んでもおかしくない、そう、コテっと、、。
突然目の前の人が倒れた。
「大丈夫ですか!?」
前世で人を殺していたとは思えない速さで助けに入る、自分でも変わろうとしているのを感じた。
「もう、、動けない、先に、進めない」
「先に進めないって、」
ふと後ろを振り返ると道にはたくさんの人が倒れ込んでいた。ジェームズも木にもたれかかり咳き込んでいる。
「大丈夫か!?」
「だ、だいじょうぶ、進もう、」
「進もうって、お前、」
「進む、肩、貸してくれ」
その言葉からは何か強いものを感じ取って俺は意思とは反対にジェームズに肩を貸し再び歩き出した。これがこの世界の人々がレスター魔法学校にかける想いなのか。
道なりに進んでいくとやがて講堂にたどりついた。
「扉、開けようか」
いまだ話すのも苦しそうなジェームズ。
本当にこの先やっていけるのだろうか、はじめて不安に思った。
大きな扉を二人で開ける。
するとそこはどこかで一度は聞いたことのある様な音色と何百人の人々の拍手で溢れかえっていた。
「今年52、53人目。おそらく最後の入学生だ。栄光を讃える」
黒髭のおっさんがそう言うといっそ拍手の音は大きくなった。
扉が閉まり、俺たちは前の席に案内された。
そこには具合を悪そうにするもの、血を吐くもの、平然としているもの、おそらく今年の入学生であろう人間たちが綺麗に座っていた。
「これから入学式をはじめる、まずは入学おめでとう」
となると船を降りてからこの講堂にたどり着けるかというのが試験だったわけか。自分には何の変哲もないただの道に感じたが。
「これから誇り高きレスターの生徒として一流の魔法使いを目指してくれたまえ、これをもって入学式を終了する」
いままで入学式というものを受けたことはなかったがこんなにも短いものなのか。
「早速だがこれから緊急で全校集会を開かせてもらう。まずは新しい学園長を発表させてもらう。」
そう言うと後ろから前世でいう80代くらいの白髭白髪のお爺さんがのそのそと歩いてきた。
「ジェームズ、あんな年寄りが学園長なんてできるわけなくないか、、おーいジェームズ」
ジェームズは口をぽかーんと開けその人物を見つめた。
「なぁ、ジェームズ?」
再び問うとジェームズはようやく反応した。
「バレッド、ほんとうに彼を知らないのか?!
「あぁ、」
「10年前、魔獣、一般市民をひきつれ一人の魔法使いが世界滅亡に追い込む反乱を巻き起こしたんだ。その反乱を鎮めた立役者のひとりがあの御方ロジャースだ。」
「へぇ〜そんなにすごいおじいさんなんだな」
「いまもその魔法使いを彼の力で封印しているんだ。」
「へぇ〜そいつはすげぇや」
「さらに!さらに!」
「まだあんのかよ」
「この世で唯一、復活魔法が使えるんだ!つまり死んだ人を復活させることができる!」
「ふーん、魔法界っぽいのな」
「反応薄いなぁ」
あのおじいさんが超すごいことは分かった。にしてもこいつもすごい回復力だな。
「私の名はロジャース。今日からこの学校の学園長をさせてもらう。よろしく」
会場が大いに盛り上がる。
「魔法使い飽和時代、これは良いことだ。たくさんの命を魔獣、悪人から守れる可能性が高まる。しかしそのクオリティはピンからキリまで、誰でも魔法使いになれてしまうのが現状だ。我が校からは本当に優秀な生徒の卒業しか許さない。つまり今から説明するゲームにおいて敗北したものはこの学校から除籍する。」
一気に会場がざわつく
「これから君たちにはクラス単位で戦ってもらう。期間は半年間、最後に生き残った人数が多いクラス、全員を勝者とする。途中で死亡しても最終的にクラスが勝てば魔法使いとして世に出ることができる。」
さらにざわつく、。
それって、だから、そういうことだよな、。
「つまりだな、、、殺し合いを行ってもらう」




