00 ペンタクルス岸田寮だそうです
お姉ちゃんは独り暮らし中
ぽん♪
スマホのお知らせ音に手を伸ばすと、妹からだった。
『おかーさんの職場、ペンタクルス岸田寮、っていってた。緊急連絡先、ダダさんー』
『ありがとー。りょーかい。サンキュ。』
スタンプ送信。
代打さんは、母サツキの上司だ。仕事中は連絡がとれなくなる職員のための緊急連絡窓口になっている強面の優しいオジサンだ。
思えば、修学旅行も中・高・大各学校の緊急連絡先にもダダさんを書いたものだ。
…長いな、ダダさん。
まだダダさんでいいのか。
ダダさん、いくつなんだ。
んでもって…『ペンタクルス岸田寮』ね。
一応調べとこ。
母さんに何かあったときに行けないと困るし。
結構、普段は抜けてるし。
スマホ、マンガと小説読む以外に使いこなせてないし。
しかし、変な名前。
『ペンタクルス』て(笑)
ゲームっぽいてか、厨二病っぽい(笑)
どこの会社だ(笑)
ネーミングセンス、すげぇわ(笑)
この会社、社長見てみたい(笑)
それから1時間、合間で検索してみたが『ペンタクルス岸田寮』は発見できなかった。
『ペンタックス岸田』という会社は関西であった。でも、そこに埼玉県在住の母が毎日新幹線通勤するのは難易度が高すぎる。
…給食とか賄いのオバチャンは出勤が早いんだよ。
第一、大宮駅から東海道新幹線は乗れないのだ。
そう思って母に勤務先住所をきいたのだが。
「あー…地図にのってないから〰️。勤務先非公開案件だってダダが。まあ、ダダに連絡つけば、大丈夫だから〰️。6時には家にいると思うしね〰️。」
予想通り、要領を得ない。
ダダさん呼び捨てだし。
まあ、いいか。
母だし。
ありがとうございました。