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「ヘイロン先程の攻撃はどうだったのだ?」

「見事に魔王城に当たりました」

「そうか、先程から魔王軍も見かけぬしお主の影からも今が突入するタイミングだと連絡も来たからの」

「はい、魔王は奥の逃げ場の少ない所へ魔王軍は様々な対応に追われているため今が好機かと」

「うむ」


一度にたくさんの災害を起こすことで、魔族が対応に追われ城が手薄になったところをアルータ国の軍が突入し魔王を打つという作戦だがこんなにも上手く行くとはなやはり、我は良い臣下を持っている。


陛下は上手く事が進んでいる事に始終ご機嫌であった。

その事でさえヘイロンの手の上だという事に陛下はは気づいていない。



森の火災に紛れてアルータ国の軍と王が着々と進んで行き目の前に魔王城が見えた。




「あそこが魔王城だな」

「はい、どうやら西門の裏側に使用人等が利用する出入口があるみたいですそこから入りましょう」

「大人数で入ると敵兵に見つかってしまいますゆえ少人数で行動し残りの隊は引き続き錯乱していく作戦で参ります」

「分かった」

「では、第一部隊は国王陛下と共に。残りの隊は城に侵入している事がバレないよう周囲をより錯乱させていくのだ!」

「はっ!!」



各隊がばらばらに動き初め国王軍も行動に移す。


「陛下。いくら魔王城が手薄とはいえ何処に魔族がいるか分かりませんので慎重に進みます」

「あぁ、焦ってはせっかくの苦労が水の泡だからな」




使用人用の出入口に入り少し薄暗い廊下を歩いていく。

裏からはいったからか驚く程魔族に出会うこともなく魔王がいるという部屋までたどり着くことができた。



「ここか」

「はい、影の連絡ではこの扉の向こうに魔王が」

「行くぞ!」


バン!!!

ドアをぶち破る勢いで国王軍が突入する。

そこには椅子に座った魔王がいた。


「何だ!貴様らは!」

「私はアルータ国国王だ。魔王、貴様の首を跳ね我が国の支配下にさせてもらう!」

「貴様っ、協定はどうした」

「ふんっ、何故そんな千年も前の協定を守らねばならんのだ。野蛮な魔族が我々と同じだと?笑わせる!!」

「それが貴様の答えか」

「そうだこの国を我が国の支配下とする事で我々はより発展していくだろう!」

「そうか……ではこちらも黙ってはおれないな」


立ち上がり殺気立つ魔王に


「おっと魔王よ、まだ分かっていないのですね」

「何?」

ヘイロンが魔王を制す


「我々も魔族に直接対峙して勝てるは思っていない。この作戦は半年程前から始まっていたんですよ」

「……どういう事だ」


ヘイロンと魔王が対峙する中部屋のドアが再び開く

「魔王さま!ご無事ですか!?」

入ってきたのはロイドとアイロス


「人間っ…!やはり貴様らが!」


アイロスが今にも飛びかかろうとするのをロイドが止める


「お前らどうやってここまでたどり着いた」

「普通に入ってきましたが?」

「それはない。ここは魔王様の部屋だぞ少ないとはいえそんな人数歩いてて他のやつが気づかないはずが無い」


普段のゆるゆるとした雰囲気とは違い殺伐とした様子だか冷静に問いかけるロイド。これこそが魔族軍の団長を務める程の存在。


「あー、それでしたか。いや何とても良い情報が入りましてね。我々はそれを使ったまでです」

「情報?」

ヘイロンを睨みつけるロイド。ふ、とその奥魔王の隣に居る存在に気づく。


「補佐官くん。君程の力があるのならこの人数ならすぐに捕まえられるのでは?」


そう、シンラは国王軍が突入してから1度も声を出していなかった。


全員がシンラを見る。しかし彼はまるで人形の様に顔色1つ動かすことはなくただ見据えていた。

「あぁ…あいつは我が国で宰相をしていたな。大変優秀でしたよ」

「………何がいいたい」

「おかしいと思いませんでしたか?魔族の国に人間がやってくるなんて」

「…あいつはアルータ国に愛想を尽かしたそうだが?」

「ははっ!それを信じたんですか?魔王ともあろうお方が!」


馬鹿にする様なヘイロンの笑いに魔王も眉を寄せる。


「確かに彼はアルータ国を出て魔族の国に行きましたよ?……我々に情報を送るためにですが」

「な、んだとっ!?」

「言ったではないですか、この作戦は半年程前から始まっていたんだと」


全員がまさかの衝撃に目を見開く。


「彼は私の配下で情報を担う影という組織のメンバーです。なのでここでの様子や城や周辺の構造を私に伝えていたのですよ」

「まさか…」

「はい、いわばスパイですね」




「動かない方が良いですよ?」

チャキ


「魔王様!!」

後ろにいたシンラが魔王の首にはナイフを当てる。



それをみたアイロスは

「シンラ…貴様っ!やはり人間と繋がっていたのか!」

「僕は1度でもアルータ国の人と交流はしていないとは言ってないですよ?」


いつものにっこり笑顔だが目に感情がなかった。

確かに国を出たとは聞いてたがその後会っていないとは言っていなかった。

少しでも信頼しかけていた自分が情けないと感じる。



「警備の流れや時間を変えたお陰で上手く行きましたね」

「シンラご苦労だった。やはりお前は優秀ですね」

「お褒めいただきありがとうございます」



入口は魔族軍が占めていて逃げられない様にしているとはいえ

魔王様は敵の手の中にいる以上下手に動くことが出来ない状況に魔族も焦りを見せる。



「さぁ!シンラ魔王を殺しなさい!そしてその首を国王陛下へ!」

「やめろ!!!」

「シンラ!」

シンラのナイフが今にも魔王の首に掛かろうとする瞬間……








「なーんちゃって」








「は?」


突然のシンラの発言に国王軍も魔王軍も止まる。


「シンラ?…何をしているのです?早く魔王を殺しなさい!」

「申し訳ありませんがその命令は聞けません。」

「なっ、何を言ってっ!!」



「いてて…シンラお前結構本気で締めていたな」

「いえいえ、まさかそんな仕事の量が多いという不満をぶつけたりだなんて…」

「おい本音出ているぞ」

何事も無かったように魔王が首や肩を動かす。



「魔王様?これは…」

流石のロイドも訳が分からないと言うように魔王に尋ねる。

「あぁ…残念だったなアルータ国の国王よ。シンラは最初からそちらにはついてないのだ」


ふっと笑う魔王


「そんな筈は!私の命令でシンラは作戦の為に魔族の国行ったのですよ!?」

「だからそれが最初からまちがいだったんだよ」

「どういう事だ!ヘイロン!」


状況が変わり何故か味方だった筈のシンラが魔王についたと知り国王陛下は臣下を見る。


「シンラは国に愛想を尽かしたと言っただろ」

「それは油断させる為の作戦でっ」

「いえ、あれは本気です」

「シンラ貴様っ!」

「この腐った国が、魔族の国を支配して何が出来るんでしょうか?そもそも貴方たちに魔族を従えらせる事がまず不可能です」



まさかの展開に逆に焦り始める国王軍

自分がまさか裏切られるとは思ってもみなかったヘイロンだったがはっとして…


「っ、シンラがダメであったとして影はお前一人ではない!!影共!シンラ共々魔族を皆殺しにしろ!!」



しかし誰も出てこなかった。

「な、何故だ!何故誰もこない!」

「ヘイロン様。貴方は私が情報を渡したと言っていますが逆です。私が情報を受け取っていたのですよ」

「なにっ!?」

「影は貴方を離れ私に付いています。なので貴方の命令は聞きません」

「そんな、ばかなっ…」

「それと陛下」

「っ」

突然呼ばれた国王陛下は青い顔をしてシンラを見る。

「陛下は前王妃様のお腹の中に脳みそをお忘れの様ですので耳をかっぽじって良くお聞き下さい」

「なっ」

「民を心見ない陛下にアルータ国の王は務まりません。ですので王弟殿下と協力し陛下を引きづり降ろす計画を立てました」

「あいつがっ!!」

「はい。ですので今頃殿下が国を仕切っているでしょう」

「ぐぬぬっ…」


今は顔を真っ赤にし怒りに震える国王

「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

腰に刺していた剣を抜き魔王に飛び掛る


その様子にロイドとアイロスが行こうとする

「っ!魔王様!危なっ…」


ドゴォォォォオン!


「い……」

危機を察したシンラによって回し蹴りをくらい扉の方に飛ばされる国王




「形成逆転ですね」







こうして散らばっていた国王軍も集められ、本来ならば全員処刑ではあるが新しい国王と話し合いアルータ国の法に乗っ取り処罰すると決定した。


そして元凶でもあるヘイロンも顔面をボコボコになっていて、誰が…と聞かれた魔族は顔を青くさせ口を閉ざしたという。




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