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青空が広がる天気の良い中剣のぶつかり合う音が響く。


カキィン!!

「おいおい!化け物かよ!」

「なんでこの人数なのにこっちが押されてるんだ!」

「おれ……魔族の自信なくなってきた」

「そこは自信持てよ」





魔族の集団が円を作っている中に1人立つ青年がいた。

人間より大きな魔族に圧倒されることも無く俊敏に動く。



「うわぁ!相変わらず凄いなー補佐官くん」

「……流石に私もあの人数には勝てる気がしません」

「いやいや、俺だって無理だよー」



無表情で…いや、うっすら笑っているのがより恐ろしいが

補佐官のシンラが魔族軍の腕試しでやってきたのだった。



「遠慮せず来て頂いて大丈夫ですよ」

「遠慮なんかしてねーよ」

「そもそも体力がすげーよ」



文字通り斬っては投げを繰り返すシンラ。

正面からきた者を受け流し背後に居た者に当て、振りかぶってきた剣のしゃがんで避けそのまま足払いをかける。




「あぁ、そちらの方踏み込みが甘いのでもっと重心を低めから入るとよりスピードが上がりますよ」

「貴方は大振り過ぎで隙間が出来ています。脇腹をもっと閉めて下さい」



一人ひとり相手しながらアドバイスをしていく。



「補佐官くんいいよねー軍入ってくれないかなー」

「いや、それは…」

「そしたら俺団長の地位もあげちゃうのにー」

「少しはプライド持って下さい」



あの人数を相手しながら本人は涼しい顔をしている。



「ほんと、何処で身につけたんだろうね…」

鋭い目でシンラを見るロイド








「ただいま戻りました」

「あぁ、どうだった?」

「皆さん強くなっていますよ、やはり魔族の本来持つ握力は凄いですね。私も何度吹っ飛ばされかけたか」

「……外から悪魔だなんだと聞こえたが」

「いえいえ、上手く剣の流れを流しているんですよ。流石に直接受けると私もしんどいですから」

「そうか……お前のその強さはなんなんだ」

「……経験の問題ですよ」

「戦場でも出ていたのか?」

「まぁ、あながち間違ってはいません」

「?…どいうことだ?」

「それより魔王様、私がいない間仕事をされていましたか?」

「当たり前だろ!」

「ですがさっきより書類が増えてますが」

「うっ、さっき大臣が追加で持ってきたのだ」



ぱらぱりと増えた書類に目を通す

「魔王様この村とこの村水害等の被害がありましたっけ?」

「ん?どれだ?」


魔王様が目にしたのは村とこの首都を繋ぐための橋でこれがないと魔族の行き来が難しくなる。

しかし、そこには同時に2つの村の橋が壊れていた報告である。


「いや、この河が氾濫でもしていたらその下の村にも被害が出ているはずだが…」

「そうですか…」



この2つの村は比較的に首都にも近く、基本的に狩りを生業にしている為腕っ節が強いものが多い…


いくら強いと言っても軍ほどではないが戦力にはなり、首都に何かあった時はいつも駆けつけている。



「…考え過ぎですかね」

「どうした?」

「いえ、橋は早めに対応しないとですね」

「あぁ、村の者も困るだろう」




この小さな出来事が始まりとは誰も思いはしなかった。











―――――――――――――――――――――――――












ガチャ!

「魔王様!大変です!ここから南にある都市と首都までの道が潰れています!」

「……さっきからなんなんだ」


今入ってきた臣下以外にも魔王様の執務室ではたくさんの魔物が集まっていた。


「なんで今日はこんなに被害報告が多いんだ?」

こめかみを抑える


「今日だけで小さいのも含めて15ですね」

「なにが起こっている」


普段小さい争いはあるもののここまで一度に被害がおこる事はない。

しかし、何故か今日だけでたくさんの報告がきた。



「魔王様ーとりあえず各地域に軍送りました」

「あぁ、ロイドご苦労だった」

「一体何が起こっているんですかね」

「分からん」

「補佐官くんはどう思う?」

「そうですね…これだけ一度に起こるというのは意図的な物を感じますが」

「誰かが目的の為にしているということか?」

「はい」

「へー、補佐官くんはこれをした相手が何を考えているのかわかるのー?」

「いえ、相手の思考は理解できませんが首都の周りだけをねらっているとなると……」

「ふーん」

「ともかく、周りの被害状況をまとめ首都自体も守りを固めていく」

「はい、分かりました」

「じゃあ、俺とアイロスは隊を分担していつでも動ける様にしておきまーす」

「あぁ」




ばたばたと一斉に動き出し対策を練る


「…………魔王様」

「なんだ?」

「1つお願いがございまして」















その頃アルータ国では軍隊をまとめ魔王城近くまで向かっていた。


「陛下、魔王城のある首都までの道のりを潰していったことで魔王軍が各地に散らばっている報告がありました」

「うむ。やはり周りから攻めることで魔王城に隙ができたな」

「はい」

「それでやつからの新しい連絡はないのか?」

「魔王も慌てているようです。魔王城が手薄な今が突入の時ではとのことです」

「では兵に連絡を入れるのだ。今から魔王城に突入するぞ!」

「かしこまりました」



隠れていたアルータ国の軍が動き始め周りの木々を燃やしていく

「固まるのだはなく各地に火を放つのだぞ!」

「はっ!」


燃える木々を見ながらヘイロンは

「くくっ、被害だけでなく火事にも対応せねばならなくなる故より魔王城が手薄になるだろう」


この男は常に自分の事しか考えておらず国王陛下でさえ自分の駒のように思っていた。


「これで私にも力がついてきた。昔から助言をしたり裏から動いたお陰であの国王はなんでも私を信用しきって扱いやすいわ」


そこに柱の影から1人の男が話しかける

「ヘイロン様」

「どうした」

「潜入した影から連絡です」

「なんだ?」

「魔王は城の中央階段を登った奥の部屋でこもっているそうです。向かうならそちらへ」

「そうかあやつにもこれが終わったら何か褒美を渡さねばな」



「長い間、魔族の国だけでなくアルータ国の皇室にも潜入させておったからな。まぁ、まさか国の宰相まで上り詰めるとは思ってなかったがな」

「では影には待機と連絡しとおきます」

「あぁ」


サッと音もなく消えていった1人の影



「これで魔族の国も落ちるだろう」




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