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最後の一牌
完成する。
私が持っているこの最後の一牌で。
このドミノは、きっと玄武高校にも負けていない。
優勝できる。だから、この牌を置けばいいだけ。
なのに、手の震えは止まってくれない。
努力は報われない。中学のときに学んだ。
だから、高校では努力なんてせず、楽しいと思えることをしようと思った。
ドミノ部に入ってドミノを並べる日々はただただ楽しかった。
でも、それだけじゃない。
楽しいことばっかりで気づきにくかったけど、最後の一牌を握った瞬間、気づいてしまった。
私は努力してきたんだ、ここまで。
毎日ドミノ牌を並べて、並べて、並べて、汗を流して、倒れた牌をまた並べなおして。
楽しかった。けど、まぎれもない努力の日々でもあった。
私だけじゃない。呑神先輩も、一花ちゃんも、なんだかんだ言って帰宅部の人たちだって。
努力してここまで来たんだ。
みんなの努力の総量を思えば思うほど、震えてくる。
あと数秒しかないのに。
もうダメ。
目をつむったその瞬間。
震えが、止まった。
いや、止めてくれたのだ、一花ちゃんが。私の手に手を重ねて。
「ほら、置くわよ」
「うん」
最後の一牌を置く。ブザーが鳴る。
残り時間0秒。私たちのドミノは完成した。




