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伝言ゲーム
もう何十年も前の話だ。
僕がまだ幼稚園に通っていた頃、レクリエーションで伝言ゲームをした事がある。
先頭の人がお題となる言葉を次の人に伝え、伝えられた人はその言葉を次の人に伝え、最後の人に伝えたらお題の言葉と合っているか答え合わせをするというものだ。
その時は二十人程の園児で列をつくり、先頭には女性の先生が立った。
そして、伝言ゲームが始まる。
すぐに順番が回ってきたのを覚えているから、僕は前から四番目くらいだった筈だ。
お題は「ぶどう」だった。
――一人また一人と言葉が伝わっていき、やがて最後尾まで進むと先生が口を開いた。
「終了! さて○○君、お題はなんでしょうか!」
「――」
その時彼がなんと言ったのか、どうしても思い出せない。
ただ、その後青ざめた先生が教室を出ていき、それきり卒園まで会わなかった事だけは覚えている。
『伝言ゲーム』了
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