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魔法の道具、治します!~小物好きOL、異世界でもふもふライフを過ごす~  作者: ユーリアル


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MIN-048「しびびびびび」



 この世界には、たくさんの魔法がある。

 そして、たくさんの魔法の道具も。


 アルトさんの講義もどきは、興味深い時間だ。


「魔法使いでも、使える魔法と使えない魔法というのが結構あるんだ。風を起こすのが得意とか」


「なるほど……体を強化する魔法とかもあるんですか?」


 なんとなく、ゲームとかのイメージで聞いてみる。

 答えは、イエス。主に、前衛として戦う人が使うらしい。

 こっちは半ば無意識に使われるそうで、精霊が見える人は少ないらしい。


 魔法使いとして自称できるぐらいになると、ようやく精霊が見えるぐらいなのだとか。

 それでも、はっきり見える人はレアだとのこと。


「大体の生き物には、魔力がある。その強さで……まあ、精霊から力を借りれるかが違う訳だな」


「じゃあローズのもふもふも、味わえない人が多いんですね。残念だなあ」


 アルトさんとベリーナさんに、やりたいことを伝えて数日。

 さっそく買い取れた雷を放つ魔法の道具を片手に、私とアルトさんは浜辺にいた。


 事前に気にした通り、もしやるなら燃える物がないほうがいいだろうとのことでだ。

 そして、肝心の磁鉄鉱だけど、それらしいものを鍛冶屋さんで買うことができた。


(何かに使えるかと思ったけど、ただの鉄と同じような感じだった、って言ってたね)


 実際、名前の通り鉄、ではあるのだろう。

 私も、地球で見たことがなければなんだかテカリのある黒い石だなあと思うぐらいだった。


「よし……やります!」


 気合を入れて、手にするのはステッキ。

 全体的に黄色というか金色な塗装で、大体80㎝ぐらい。

 ぐっと力を籠めると飛び出て来た精霊は、小さなオスライオン。


「今日はよろしくね」


 たてがみがふさふさもこもこ、ぬいぐるみみたいな手触りだ。

 ローズが右肩、ライオンは左肩。

 重さを感じないのに、確かにいるのは感じる不思議な状態。


「集え……空の咆哮……走れ、金色の……」


 それっぽく言葉を口にして、力をまとめていく。

 恥ずかしいような気がしないでもないけど、どうせ正解はないのだ。

 それに、魔法使いの人たちも大体似たような詠唱をしている。


「いっけーっ!!」


 ステッキ一振り、浜辺に雷光が走る。

 ホースぐらいあるような気がする。

 狙い通りに、バレーボールほどの磁鉄鉱に直撃。


「んううううう!!」


 力を込めて、雷を維持する。

 そのまま、熱で溶けちゃうんじゃないかと思うぐらいの時間が過ぎた。


「ふー……」


「なかなかすさまじいな。実戦では使えないだろうが……」


 確かに、威力はあってもあんなに時間がかかって、動けないんじゃ攻撃魔法としてはちょっとね。

 結局、ステッキは一気に力がほぼ空っぽになった。

 ステッキの力と、私の魔力両方で放ったせいだ。


「ひとまず補給を少ししてっと……どうかなあ?」


 見た目には、変化はないように見える。

 手を近づける前に、適当に海水をかけたらジュワっと湯気が出る始末。


(危ない危ない……冷えたかな?)


 何度かそれを繰り返して、手袋越しに磁鉄鉱を掴む。

 アルトさんも覗き込むそれに、釘を押し付けた。


「ユキ?」


「あ、見てください!」


 実験は大成功。

 釘は見事に、落ちてこない。


 天然じゃないけど天然磁石が出来たのだ。

 こうなると、浜辺にいる意味はないので戻ることにする。


「鉄を引き寄せる……ゴーレムという岩の魔物に、そういうのがいるのは聞いたことがあるな」


「本当ですか? じゃあそれから採取できたのかなあ」


 もっとお話をしておけばよかったと思いつつ、作れたのだからよしとしよう。

 で、これをどうするかと言えば……砕いて方位磁石を作るのだ。


(最初はもどき、だと思うけど……ダンジョンだとどうなるんだろう)


 課題は山積みだけど、面白いことになるかもしれない。


「それなら鍛冶屋に任せると良いだろう。小指みたいな感じにだな?」


「はい、細くて薄い方がありがたいです」


 餅は餅屋っていうし、ここはお任せだ。

 もうすぐお昼だから、色々ついでに買って帰ることにして、市場へ。

 そこでアルトさんからは、以前より人の行き来が増えていると聞かされる。


「ダンジョンに潜る連中も、前より増えて来た。プレケースも忙しくなるな」


「少し考えないといけませんね……」


 人が増えると、問題も増えるのが世の常だ。

 ウィルくんもいることだし、兵士さん2人に任せきりじゃないことが必要かもしれない。


 かといって、そうそううまい自衛方法が浮かぶわけもなく。


「あっちを立てれば……ですねえ」


「ああ、まったくだ」


 私は普通のOLだったわけで、特殊技能があるわけじゃない。

 出来ることと言えば、こうしてもふもふ(じゃないのもいるけど)な精霊と一緒に過ごすことだ。

 これからも、もふもふと楽しく暮らしたいものである。


 見えてきたプレケースを前に、心からそう思うのだった。



 

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