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魔法の道具、治します!~小物好きOL、異世界でもふもふライフを過ごす~  作者: ユーリアル


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MIN-047「やれることやれないこと」



「予想はしてたけど、塩以外は高いなあ……」


 ユリウス様が、お忍びで来てから数日。

 お店にいる時は、ベリーナさんたちに。

 休憩やお休みで外に出る時は、町中で。


 少しサボり気味だった、色んな情報収集を再開したのである。

 幸い、賃金としていくらかのお金をもらっているから、買い物だって可能だ。


「輸送、船……うーん」


 朝市のような場所をめぐり、色々と見て回る。

 そこでわかったのは、こういった時代ならではの輸送問題だった。


「船作りの知識はないもんなあ……船乗り病だっけ、あれはなんとかなるけど」


 湖に漁に出ている船を見つめつつ、出来ることを考える。

 釣り……は素材がないから道具は特に変えられない。

 漁の方法? まあ、これならいくつか。


 海路での貿易は、私より現地の人たちの方が詳しいに決まっている。

 精々、ビタミンがどうとかいうのをごまかしつつやってもらうぐらいだろうか?


「私だったら、方角がわからなくなって怖いなあ……」


 フェリーに乗って、視界全てが海だった時、怖かった記憶がある。

 自分がどこにいて、どっちが陸地なのか、さっぱりなのだから。


 それでなくても、この場所は知らない土地だから下手に旅に出ると迷子確定。


「せめて方位磁石……あっ」


 ひらめきと共に浮かぶのは、独特の形をした鉱石。

 この土地にあるかはわからないけど、見つかればラッキーだ。


 これは個人差はあるけど、小物や雑貨好きになると、大体そういう石も目に付くようになる。

 よく、民芸品みたいなお土産に石が紐で編み込まれたりしてるアレね。

 そんな中に、これがあった気がするのだ。


「どこだったかで、鉄がくっつきますよって天然磁石の石碑みたいなの……見た気がするなあ」


 なんだっけ……砂鉄はこれが細かくなったものだったような……。

 しっかり覚えてないから、何とも言えないけど。

 小物やヴィンテージを求めて、田舎に行った時にそういう体験も参加したんだよね。


「ま、この辺は後々で……今日は何を作ってみようかなー」


 また市場をめぐりつつ、いくらかの買い物をしてプレケースへ。

 町を歩く人々や、いかにもな装備の冒険者たち。

 活気があることは、いいことだ。


(喧嘩は今のところ、聞かないし……)


 こういう時、酒場が荒れるのが世の常。

 地球でも居酒屋とかはそういう場所だしね。


 ふと……男の人たち、どうしてるのかな?なんて疑問がわいてきた。

 お酒を飲んだら……っていうのはきっといつの時代も変わらない。

 あまり深く考えないようにしておこう。


「おお、ユキちゃん。今日は良い魚入ってるよ」


「ほんとですか? じゃあ3尾貰います」


 ちょうど漁から戻ってきたらしいお店からマスみたいな魚を買い、ようやくプレケースへ。

 出て来たお客さんと入れ替わりに店内へ。


「お帰りなさい。あら……荷物がたくさんね」


「ちょっとご飯と実験の材料を買ってきました」


 そういうと、ベリーナさんはお休みなんだからちゃんと休養しなさいと叱ってくれた。

 一人暮らしをしていた私にとっては、なんだか新鮮な怒られ方だ。

 眠るウィルくんの横を通りながら、家側に荷物を置いて調理開始だ。


 ちなみに、冷気を吐き出す精霊を使った、冷蔵庫もどきが既に試作されていたりする。

 一見すると、水晶の塊に見える物に宿る精霊で、歌う青い花という、よくわからない存在。

 それが力の源だったりするのだ。


「えっとまずはと……」


 今日の献立はマスもどきを使ったホワイトシチューだ。

 パンは硬めのライムギパンだから、つけながら食べるのにちょうどいい。


「ローズ、お願いね」


 火の力を持ったローズがいるから、薪の消費をあまり考えなくていいのは幸せだ。

 ちゃんと、一般家庭用に薪の消費も考えないといけないのだけど……ね。


 そうして、コトコト煮込み始めると家中に匂いが漂う。

 このミルキーな感じが苦手な人もいるのだから、世の中大変である。


「いい香りね……さっきも言ったけど、ちゃんと休むのよ?」


「あははは……料理は1つですから」


 顔を出したベリーナさんに半ば誤魔化すように答えると、ため息のような吐息1つで許してくれた。

 嘘という訳じゃない。私も、色々覚えてるうちに再現しておきたいのだ。


「確かに色々料理のバリエーションが増えれば、町の人も喜ぶと思うわ」


「そこまで大げさじゃないと思いますけどね」


 出来上がって火を止めようというところで店の方からウィルくんの声。

 最近は、散歩に連れて行かないとぐずるみたい。


「火はこれで落とすので、私がお店見てますよ」


「でも……お願いしちゃおうかしら」


 ベリーナさんがウィルくんを連れていくのを促し、結局店番に立つ私。

 家族みたいなものだから、助け合い、だよね。


 ウィルくんが散歩だとわかるのか、はしゃぐのを見送りつつ、在庫の整理をする。

 ふと思い出すのは、磁石の事だ。

 確か……そういう鉱石に雷が落ちたりすると出来るんだっけ?


(森……だと火事があるかな? 浜辺……かなあ)


 地球と比べると、こっちのは再現する手段がある。

 そう、魔法の雷だ。


 個人的な欲望のため、雷系の魔法の道具は買取を少し強化することにした。

 ついでに、鉱石の買取・仲介もアルトさんたちに話してみよう。

 1人1人が持ち込む量は少なくても、まとまればお金になりそう。


「上手く方位磁石が出来たら……」


 なんとかの皮算用でしかないけれど、やれそうなことに手を出していく日々。

 共通しているのは、平和だといいなということだった。



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