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第2話 ロボットに乗れ? 見た事も聞いた事もないのに出来る訳ないよ!

「何だあれは……巨人? いや、ロボットか?」


 砂ぼこりを上げて移動する巨大な人型。

 数体の巨大ロボットが行進をしている。ロボットの軍隊だ。


「そう、我がコロナ国の誇る量産型戦闘ロボ『ランサー』だ!」


 青い鎧の少女、確かカリーナという名前の女が胸そらして自慢げに言う。

 お台場のヤツ程は大きくはない。半分以下の大きさだろうか?

 だけど、あれとは違って2足歩行を実現している。

 どうやらここは科学力や軍事力の高い国のようだ。

 少女たちは日本語を話しているが、いくらロボット先進国といわれる日本でも、あんな兵器はあり得ない。

 僕のイメージからするとロシア連邦のどこかの国だろうか。女の子が綺麗だし……。

 コロナ国というのがどこかは不明だが、僕に合わせて日本語で話してくれるのはありがたい。


「お前、あれに乗れるか?」


「ヘッ?」


 乗る? あれとは当然ロボットのことを指しているのだろう。

 あのロボットは自立型やリモコン型ではなく搭乗型なのだろうか?


「無理に決まってるだろ! 僕は軍人じゃない、民間人、学生だ」


 アニメなら初めて乗って敵と戦うなんてシチュエーションもあるが、現実には不可能だ。ありえない。


「剣は使えない、ロボにも乗れない……決まりだな、プリメラ」


「そうね、気の毒だけど……」


 カリーナと呼ばれていた青い鎧の女がカツカツと足音を立てながら部屋の隅に歩いて行き、壁に設置された電話機のようなものの受話器を取った。


「衛兵!」


 どうやら役立たず認定で用済みなんだなあ、とっとと家に返してほしいなあ。

  そう思いながら受話器に怒鳴っている青いい鎧の背中を呆然と眺めていたら、突然頭から袋のようなものを被せられた。



「うわっ、何だよ! イテテテテッ」


 視界を奪われ、慌てる僕の腕を誰かが捻り上げ、床に組み伏せる。やがて複数の足音が聴こえ、両腕を強く掴んで立たされた。

 そのまま部屋の外へ連行されてしまった。


 顔にかぶせられた袋は帰りの道順を覚えさせない対策だろうか。暗闇の恐怖に耐えながら階段を何段も延々と下っていく。

 何度も何度も躓いて、やっと平らな場所に出たと思ったら、いきなり背中を蹴られて顔から倒れてしまった。

 頭の袋をはぎ取って振り向くと、連れてこられた場所は出口ではなく、暗い地下牢のような場所で、

 振り返って僕が目にしたものはちょうど目の前で閉じられようとする牢の扉だった。


「ちょっと待ってよ! 大使館に連絡を……」


 僕の叫びはむなしく響き、灰色の鎧を着た男たちは階段を上がって去ってしまった。


 --------------------


 何時間たったのだろう。

 少し前に粗末な食事が与えられただけで、ずっと放置されている。

 食事だってこんな状況じゃ喉を通るはずもない。

 部屋の中はほとんど何も見えないくらいに暗い。

 豆電球の明るさもない中さなランプが壁にかかっているだけだ。

 この暗い牢屋の隅で僕は座り込み、頭を抱えるだけだった。


 ふと聞こえた足音に顔を上げると、牢の扉の外に、あの赤い鎧の女が立っていた。

 廊下側は少し明るい。少女の表情が良く見えた。

 相変わらず辛そうな表情でこちらをじっと見ている。


「なんで……」


 そう言ったまま黙ってしまう。


「何だよ、こっちが“なんで”だよ、ふざけんなよ!」


 ヘタレの僕でもさすがに腹が立つ。猛然と立ち上がり、扉の前に飛びついて叫んでみたが、僕の抗議など聞こえていないのか、女は全く表情を変えない。


「何で……その顔をしているのよ、フウガと同じ顔を……」


 彼女が漏らしたつぶやきで、少しだけ状況がわかった。僕はそのフウガという人間に間違われて拉致されたらしい。


「人違いだって分かったなら早く解放してくれ!」


 誤認逮捕は即時釈放が当然だ。だが、女から帰ってきた言葉は僕が期待したものとは正反対だった。


「お前は殺処分される」

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