009話〜魔法ノ本〜
「そうです!
そのステータス
あなたは非常に珍しい!」
「ちょっと待ってくれ
なんでアンタらが俺のステータスを知ってるんだ?」
(他の人には漏らしてないしましてや話すなんてことはしてないはずだ)
「それは簡単よ
あっしの目を使ったんさ
ちなみにあっしは、ザラってゆうんよ
よろしくね!」
話を聞くとザラは鑑定眼というスキルを保有しており、その効果で俺のステータスを見たらしい。
(でも俺のステータスを見たのなら
尚更俺に声なんてかけないだろう。)
「それで・・・
私たちの目的なんですが
ツキさん、あなたにお願いがあるのです。」
「お願い?」
「はい
あなたにはとある本を読んで欲しいのです
”スキル習得の本”と言えば分かりますか?」
スキル習得の本
人外の能力を得ることが出来る代償に激しい頭痛と感情の嵐にみまわれる。
そんな悪魔のような本だ。
「あぁ、だけど申し訳ないが
あの本は二度と読みたくないんだ。」
俺は2人にそう伝えた。
正直あの感覚は、何回やっても慣れる気はしないし慣れたくもない。
「おや、そうですか
もしこの本があなたを大幅に強くしてくれると言ったら考え直してくれますか?」
そう言ったカルノの手には”スキル習得の本”があった。
『須佐之男ノ魂片ー覇ノ型ー』
俺はその本から目を離すことは出来なかった。
本は血のように赤く邪悪な紫の装飾がされており独特の赤いオーラを纏っていた。
「少し話を聞かせてくれないか。」
俺はその本に魅了させられてしまった。
もしかしたらこの本は、俺を呼んでいるのかもしれないと錯覚してしまうほどにあの時の俺には魅力的に見えたのだ。
「話を聞いてくださるのですか!
ありがとうございます
立ち話は疲れるでしょうし座りながら
話をしませんか?」
そう言うとカルノは指をパチンと鳴らした。
すると豪華な椅子と机がどこからともなく出てきた。
「さぁ、お掛けください。」
俺は言われるがままに席に座るとカルノは話し始めた。
「では、この本を読んでもらいたい理由を話したいと思います。」
どうやら理由などは聞かなくても教えてくれるみたいだ。
「このスキルには取得条件があるのです。」
「取得条件?」
「はい、もしも条件を満たしていないものがこの本を読んでしまうと脳に障害が起こり災厄の場合死んでしまうのです。
実際この本によって少なくとも60人は死んでしまっています。」
「俺は条件を満たしているって言うことか?」
「その通りです
そしてその条件は・・・
耐性100以上で尚且つ基礎ステータスが全て1以下というものなのです。」
「!?」
その言葉に俺は驚いた。
(まるで俺の為のスキルじゃないか・・・)