004話~コノ世界ハ~
「さて、互いの自己紹介も終わったことじゃし
そろそろ魔術の修行でも・・・」
「ユーザン、まだこの世界のことを教えてもらってないんだが?」
俺が指摘するとユーザンはわざとらしく
「おや、そうじゃったかのう?」
と言ってきた。
危なかった、おそらくユーザンはめんどくさいから逃げようとしたんだと思う。
「仕方がないのう。
さて、何から話すものか・・・」
ユーザンは少し悩む素振りをして粗方纏まったのか話を始めた。
「まずはこの世界がどのような存在かというところからかのう。
この世界はおぬしらの住んでいた世界の平行世界みたいなものなんじゃ」
パラレルワールドというわけか。
しかし、本当にパラレルワールドであればここまで違うなんてことは
ありえないはずだ。
まず俺たちの世界では魔法なんてないしましてや先ほど見た
山のような岩が浮いてるなんて非現実的すぎる。
「おそらく、おぬしらの住んでいる世界とは似ても似つかないと思うがのう
それには幾つか理由があるんじゃ。」
「「理由?」」
「そうじゃ、まずこの世界はおぬしらの世界からすると未来ということになるんじゃよ
そちらの時間でいうと120憶年くらいかのう。」
「120億年だって?
ちょっと待ってくれそんなに時間が経っていたら地球なんてあるわけないだろう?」
健がそう質問するとユーザンは少し悩んだ。
「う~む、いくつか説があるのじゃが
一番有力なのが大昔に地球に住めなくなってしまった人々が、
太陽系に最も似ている惑星に移ってもう地球という惑星は存在していない
というのが一番有力とされておる」
「確かに山のような岩とか地球で浮いてるわけないもんな。」
「はて、山のような岩?
外にあるあれのことかのう?」
俺がそういうとユーザンは窓の外を指さした。
するとそこには先ほど見た山のような岩が浮いていた。
「そうそう、あれのことだ。」
「あれは、スルードランドと呼ばれる場所じゃよ。」
ユーザンが言うには、スルードランドとは重力が安定していない
あの岩を無理矢理魔法で固定しているのだという。
本当に大丈夫なんだろうか、話によるとスルードランドは年々高度が
下がっているらしい。あと数百年後には地球と同じ重力までにはなるようだ。
「ふう、どうじゃ
この世界のことはわかったかのう?」
ユーザンは、喋り捲ったせいでかなり疲れているようだった。
「あぁ、大体のことはわかったよ
ありがとなユーザン」
「俺からも礼を言うありがとう」
「役に立てて何よりだわい
それはそうとおぬしらはこれからどうするのだ
言葉がわからないのであろう?」
そうだった、ユーザンがあまりに流暢に喋るものだからすっかり忘れていた。
そもそも気になることがある。
「なんでユーザンは俺たちの言葉を話せるんだ?」
と俺はユーザンに聞いた。
健も俺の隣で「そうだそうだ」と言わんばかりに
頭を大きく縦に振っていた。
「そういえば、説明してなかったのう。
わしがおぬしらの言語を話せるのは、スキルの力なんじゃよ。」