003話〜老人ノ正体〜
老人は目を見開いてニカッと笑うと
「そうか!」
と嬉しそうに言った。
(爺さんの笑顔怖すぎだろ。)
そんなことを考えていると老人はこっちの方を見て
「おぬし、今とても失礼なことを考えておらんかったか?」
どうやら、少し顔に出ていたようだった
俺は慌てて誤魔化した。
「まぁ、いいじゃろう
それより先程からわしに丁寧な言葉使ってくるがそれはやめてくれんかのう、むず痒くてしょうがないわい。」
どうやら老人はあまり敬語が好きではないらしい。
「わかった
爺さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「ほう、聞きたいこととは何じゃ?」
「爺さんあんたは誰なんだ?そしてこの世界は一体なんなんだ?」
俺はさっきから気になっていたことを聞いた。
「うむ、そういえば自己紹介をしていなかったか。まぁ、立ち話はなんじゃしおぬしらも座るといい。」
そう言って横に置いてあった杖をとると何やらブツブツと言い始めた。
呪文かなにかだろうか?そんなことを考えていると目の前から光が放たれて椅子が2つ出てきた。
「ッ!?」
「じ、爺さん今のは一体なんだ!?」
健が興奮気味に老人に聞いた。
健は昔ゲームの魔法の演出について俺に熱く語っていた事があったのでそういう物には目がないのだ。
「なんじゃ、魔法に興味があるのか?
この程度であれば後で教えてやるぞ」
「マジ?ィヨッシャァァァ!」
健よ・・・。君ははしゃぎ過ぎだ。
ここまで喜んでいる彼は見たことがない。
魔法を教えて貰えることが相当嬉しいようだ。
(俺にも魔法が扱えるのかな)
そんなことを考えていると
健は、いつの間にか椅子に座って話を聞く体制になっていた。
そして俺が椅子に座ると、老人は杖を地面に軽くうちつけた。その瞬間青い球体のようなものが俺たちを優しく包み込んだ。
「これは、消音障壁じゃ
これさえ貼っていれば外に会話が漏れることは無いじゃろう。」
俺は、そんなことまで出来るのかと感動していると老人は話し始めた。
「わしは、元エウザール王宮魔術隊序列2位の
ユーザン=ニコラウスというものじゃ。
もっとも今はしがない本屋じゃがな」
そう言うとユーザンはホッホッホッと笑った。
エウザールは恐らくこの国の名前なのだろう。
それにしても、ユーザンが序列2位かあまりしっくり来ないな。
見た目からはあまり想像できないがかなりすごい人なのかもしれない。
「さて次はおぬしらのことを教えてもらおうかのう」
とニヤつきながらこちらを見てきた。
正直言ってキモイからその顔はやめて欲しい。
「じゃあまずは俺からだ
俺の名前は佐藤 健、ケンとでも呼んでくれ。」
「俺は、高橋 月だ。ツキと呼んでくれ。」
「ケンにツキか、おぬしらには期待しておるぞ」