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孤高ノ幻想冒険記  作者: たま
序章
2/27

002話〜老人ノ目的〜

店に入るとそこには、長年使い古されたであろう椅子に深く腰掛けた老人がいた。

少しやつれており、シワがかなり深く首の付け根辺りまで立派な髭が蓄えられていた。

老人は、足が悪いのかすぐ横にはボロボロの杖が置いてある。

周りを見渡すと無数の本棚が並んでおりその一つ一つに本が隙間なく埋まっている。


(すごい量だな・・・。)


店の外観からもう少し狭いと思っていたが、思いのほか広くできているようだ。

キョロキョロと見回していると老人と目が合ってゾッとした。


目が白かったのだ。不純物が一切ないような白。

そして、まるで心の中を覗かれてるかのような感覚だった。


──── 怖い ────


老人は、興味深そうに俺たちを凝視するように顔を動かした。


「ほう、もうそんな時期か

自由に見ていくといい、立ち読みも自由じゃぞ?」


と冗談めいた口調言った。


俺たちは動揺した。

今まで道行く人の会話を聞いたりしていたが

何を喋っているのか分からなかったのに目の前の老人は何故か日本語を喋っているのだ。

俺たちは、少し警戒した。


(この人は何か知ってるのかもしれない。)


「ホッホッホッ、わしも歳をとったもんじゃのぉ」


と訳の分からないことをブツブツと喋っていた。


「もしかして、俺たちがここに飛んできたこと何か知っているんですか?」


健が質問した。老人は少し考える素振りを見せると


「確かに知ってはいるがまだ教えることは出来ぬな。」


老人は、真剣に答えた。


口調が変わって、空気がピリついた。

目の前の老人から鳥肌が立つような殺気を感じた。


―――ヤバイ、殺られる!―――


そう思ったとき、老人はその剥き出しにしていた殺気を抑えた。


(こ・・・この爺さんさん・・・一体何者なんだ。)


「まぁ、そんなことよりどうじゃ

おぬしら強くなりたいとは思わんか?」


老人は、またどこか抜けたような口調になり片目を開いてそんな質問をしてきた。


「質問で返すようで申し訳ないんですけど

それはどういう意味ですか?」


「そのままの意味じゃよ

おぬしらは”戦うためにここに呼ばれた”のじゃからな。もちろん住居も食事も出すぞ、悪くは無い話じゃろう?」


俺の質問に、老人はさも当然かのように言い返した。


『戦うために呼ばれた』か、ますます意味がわからないな。


俺が考えていると、健は俺を部屋の隅っこまで引っ張って声を抑えて


(あの爺さんに乗ってみないか?)


と聞いてきた。

俺としても異論はなかった。今は、行くあてもなければ言葉が通じるのは老人くらいしかいないからだ。


(わかった。)


俺たちは、老人の前に立つと息を揃えてこう言った。


「「強くなりたいです!」」

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