確かに、あの日見たものは
真っ暗闇で、遠くにオレンジの暖かな光が滲む。
そこに音はなく、視覚だけがかろうじて私に外界の情報を与えてくれる。
暫くその光を見つめていると、その近くを黒い靄が浮かぶ。
あれは、恐らく 人 だろう。
黒い靄 はオレンジの光の近くに座り込んだように思う。
影が小さく下の方に集まったからだ。
黒い靄 がどんどん、どんどん、集まってきていた。
やがて、それらはオレンジの光を覆いつくした。
私は無性に悲しくなった。
触れずとも、感じれずとも、ただそこにあるだけで安心できたのに。
私には、そんな仄かな希望すらも許されなかったのだ、