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BANDAGE WAR  作者: タカクテヒロイ
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意思の継承

遅くなり申し訳ありません。少しだけ投稿させていただきます。

俺は周囲に警戒しながら、昨日拠点で堂島さんと話したことを思い出していた。



-昨晩-


「これが、今までに俺たちにわかっている情報の全てです」


「そうか、ありがとう。じゃあこれはいつでも見られる場所に移しておこう、動かすのを手伝ってくれ」


堂島さんと俺でホワイトボードをガラガラと入口の近くに移動させた。


俺はホワイトボードに書かれた文字をもう一度見返した。



~ミイラについて~


・ミイラ化した人間は他の人間もミイラ化させようとしてくる。


・ミイラ化するのにかかる時間は約2分、 身体に触れられなければ包帯が巻きついてくることはない。


・ミイラは水が弱点 濡らすと気絶する

ただし乾くと復活する可能性あり。


・言語は話せる。反応は鈍く足も遅いので

走っていれば基本的には捕まらない。


・抵抗していると無力化しようと身体に直 接ダメージを与えてくることも


・身体の部分的ミイラ化がある。 巻きついた部分だけ言うことを聞かなくなる。←濡らせば解決?


・ 包帯を無理に引き剥がそうとすると危険、治すための方法は未だ不明。



「今わかっているのはこれだけか。明日 外に出る時にこのことはちゃんと覚えておいた方がいいね」



「あの、思ったんですけど…… テレビやインターネットはどうなっているんですか?」


ずっと気になっていたことだ。


「そのことなんだけどね…… どうやらこの島の電波がおかしくなっちゃったみたいなんだ。テレビも映らなければ、タブレット端末もまともに機能しない。 本州からの助けを待つしかないかもしれない」


「そんな…橋からの脱出は?」


「ここからは少し遠い。 体力的にもリスクが大きいと思うな。作戦はじっくり練った方がいいと思う」


「……」


× × ×


「なあカズ、カズってば」


「え?ああ、なんだ」


「ぼうっとするなよ。それよりやっぱり歩いて移動するのは危険だと思うんだよ」


「それは確かにそうだけど…何かいい方法でもあるのか?」


「そこでだ。キーのついてる車を探してそれで移動すればいいと思うんだ」


やっぱりか。俺もそれは考えたんだけどな…


「そっちの方がいいとは思うけど…… 道路がなぁ……」


すでにこの街の道路は荒廃してきている。 車が壁に突っ込んでいたり、電柱や信号が倒れていたりと車でもうまく移動できるかどうか……


「それでも歩いて行動するよりもリスクは減るだろ。さっき堂島さんに渡された地図を使おうぜ。通れる道とか、いろんな情報を書き込んでマッピングするんだ。そうすれば何かわかるかもしれないし」


確かに今はまだわからないことが多い。情報を集める上でも早く動ける車の方がいいかもしれない。

しかし驚いたな。普段いい加減なこいつがここまで冷静な判断ができるとは。

というより、もうこいつはこの変わり果ててしまった世界に順応し始めているのだろうか。


「……」


「カズ?」


「ん、ああ、そうだな。お前の言う通り、車を見つけようぜ」


「あれなんかいいんじゃない?」


美沙が近くに乗り捨てられた白のワンボックスカーを指差した。 8人くらいは乗れそうだな。



「デカイと運転しにくいんじゃないか?狭い道は通れなさそうな気もするが……」



「これからみんなを助けにも行くわけだし、大きい方がいいと思うんだけど……」



「……そうだな。 お前の言う通りだ。あれにしよう」


美沙はまだみんなが生き残っていることを信じている。

俺もその可能性を信じよう。


俺たちは車に近づいていった。 少し傷がついているが問題はなさそうだ。

ドアに手をかけたところ、ガチャリと開いた。幸い、ロックはされていなかった。タバコの匂いがほのかにする。


「よかった、キーもついてる。ガソリンもまだ半分以上あるし、助かったな。 カズ、如月さん。乗ろうぜ」


「ああ…」


「ちょっと待って。私たちまだ高2だよ?誰が運転するの?」


「俺に任せてくれよ如月さん。 ゲーセンで鍛えてるからなんとかなると思うぜ」


「やっぱ神楽坂くんって適当だな……」


「全くだ。ミイラにやられるのも嫌だが、お前の危なっかしい運転で事故るのもやめてくれよ?」


「2人ともにひでぇなぁ…… どうせゆっくりでしか走れねーんだし大丈夫だよ。それよりミイラが来るかもしないし、早く後ろに乗ってくれよ」


「まあ俺はあんまりゲーセンでもレースゲームはやってないしお前に任せるよ、頼んだぜ翔吾」


「任せとけって!」


俺たちは後ろの席に座った。

後ろにはチャイルドシートがあった。



「ねえこれ……」


「救出する時や荷物を詰め込む時に邪魔になるかもしれない。悪いがこれは捨てさせてもらおう」


「うん……」


少し悲しそうな目をする美沙。


「大家族だったのかな……」


「さあな、今ここにいないだけでどこかに避難してるかもしれない。 どちらにしてもこの車の持ち主のおかげで俺たちの安全が少し確保されるんだ。感謝しようぜ」


「そうだね。赤ちゃん、無事だといいな……」


俺は一度ドアを開け、取り外したチャイルドシートを道端に置いた。


「よし、じゃあそろそろ出発しよう。出してくれ翔吾」


「はいよ」


翔吾はキーを回し、エンジンをかけた。


「俺の華麗な運転技術見せてやるぜ。いざ出発進行!」


翔吾はアクセルを踏み込んだ。


「……」


当然車は動かない。


「おい、まずパーキングブレーキ解除しろよ……」


「あ」


慌てて左足でブレーキを踏む翔吾。


「よし、気を取り直して出発!」


再びアクセルを踏み込む翔吾。おいこいつ大丈夫か。


「……シフトレバー。 やっぱり代わるか?」


「だ、大丈夫だよ、ちょっとド忘れしただけって!よし行くぜ!」


ようやく車がゆっくりと動き出した。



「不安だなぁ……」


美沙の呟きは、車内のエアコンの音に掻き消された。



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