精霊について2
「神はすごく優しくて、僕に色々なことを教えてくれた。他の世界の事、生き物の事。そしてひとつ話し終えるといつも精霊の事を聞きたがった。」
彼は大きな白い人型を作り、大きな水の人型の横に並べた。
「僕は僕を知っていた。だって僕は世界そのものだから。だから僕は快く教えた。」
「神は僕のところに度々足を運んで、いつも生き物の素晴らしさを、特に人間の美しさを話した。」
遠巻きにしていた小さな人型達も、大きな二つの人型を囲むようにして話を聞いていた。
「神の話はとても面白かった。けれど僕は神がしきりに言う精霊の貸し出しを一度も了承しなかった。僕は僕の世界が、精霊達が好きだったから。」
「すると神は徐々に態度を変えていった。口調は傲慢になり、苛立ちを隠すことをしなくなった。ある時、神を慕い、近づいてくる精霊を乱暴に扱ったことがあった。」
白い人型が黒く染まる。
駆け寄った一つの小さい人型が倒れる。
「僕はそれにひどく驚いて、どうしてこんなことをするのか尋ねた。答えはこうだった。」
『神である私が小物をどう扱おうと勝手だろう。全く時間の無駄だった。』
「そう言うと神は僕を捕え、精霊を創るための力を無理やり奪った。」
黒い人型は大きな水の人型を掴み、中から何か丸いものを取り出した。
大きな水の人型は苦しみもがく。
小さな人型達は懸命に取り戻そうとするが、ふり払われ、次々と倒れていった。
「僕は力を振り絞って世界の扉を閉じた。もう二度と、誰も入ってこないように。」
大きな人型は小さな人型達を囲み、球体へと戻った。
黒い人型は何度も球体を叩くが、びくともしない。
「神は奪った力で精霊を創った。でもそれは所詮偽物。自然の力が使えるただの人形。精霊の創造は僕でないと出来ない。」
黒い人型は丸いものからたくさんの人型を創りだした。
それらは色とりどりではあったが、薄く、すぐに崩れ落ちていた。
「未だに気づいてないんじゃないかな。…まぁ、それは置いといて、それから長い間傷を癒すために眠っていたんだ。」
球体は人型になり、小さな人型が寄り添うようにして横たわる。
それらは分厚い水で覆われた。
「するとね、」
大きな人型のちょうど真上に紫色の小さな人型が現れ、落ちる。
「そこに、君が降ってきた。」
告げられた言葉に顔を上げる。
嬉しそうに、懐かしそうに彼は笑う。
落ちてきたこの紫色の人型は、
「私…?」
まさか導入部分でこんなにページ数使うとは思いませんでした…
すみません、もう少しだけお付き合いくださいませ