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吸血姫は薔薇色の夢をみる  作者: 佐崎 一路
第一章 新生の大地
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第七話 紳士協定

お陰さまでアクセスが10万とか♪(*⌒ー⌒)o∠★:゜*

毎日、夢のようです。

本当にありがとうございます。

 鍵を掛けてソファーに戻ったガルテ副ギルド長は、じろりとボクの顔を睨みつけた。


 強面の顔のあちこちに傷があるもんだから、はっきりいって子供が見たら泣くよこれ。

 まあボクも見かけは子供なわけなんだけど、うちの家臣団に比べれば、正直赤ん坊が怒ってるのとたいして変わらないので平気だけど。


「俺はしち面倒臭いことが嫌いなんでハッキリ訊くが、お前さん何者だ?」


 ・・・何者なんだろうねぇ。そういえば。


「………」

 どう説明したもんかと内心思い悩んでいると、その沈黙を黙秘ととったのか、突然ガルテ副ギルド長は握っていた手を開いて、ボクに見えるように掌を差し出した。


 ・・・生命線が短いねー。あと汗と脂で光って気持ち悪いんですけど。


「見ろっ、この手を。お前さんがこの部屋に入ってから、ずっと汗が流れっ放しだ。恐らく後ろの二人もそうだろう」


 そう言われて振り返って、扉の両側に立っている二人の屈強そうな護衛を見てみると、ボクと視線が合わないように青い顔で下を向いていた。


「そいつらは二人ともBランクの生え抜きで、自慢じゃないが俺も現役の頃はAランクだった。だから本能的にわかるんだよ。本当にやばい相手って奴が」


 え~~~っ? ボクほど人畜無害な吸血姫とかいないと思うんですけどねぇ。


「若い頃は無茶もしたし、グリフォンやドラゴンと()り合ったこともある。何度も死線はくぐりぬけてきたし、こいつには勝てねえ、さっさと白旗上げてえって思った相手もいる。

 ・・・だけどよ、お前さんは別格、いや別次元だ。正直、さっさとこの場から逃げ出してぇ。命が助かる為だったら、どんなみっともない真似でもできる。お前さんの尻の穴をなめろと言うなら、喜んでなめる!」


 ア――――――――――――――――ッ!!

 ボクは思わずお尻を押さえてソファーごと後ずさった。


「ガルテさん、あなたという人はこんな年端も行かない少女に・・・」

 コラードギルド長が鬼畜を見るような目で、ガルテ副ギルド長を見た。


「――いやいや、まてまてっ! そういう趣味とかじゃなくてだな、言葉の綾というか・・・!!」


 必死に弁解するガルテ副ギルド長を制して、コラードギルド長が、「まあまあこちらにお戻りください」と手招きするので、取りあえずソファーの位置を戻した。もちろんガルテ副ギルド長からはなるべく離れるように座ったけど。


「私は現場に行った経験がさほどないので、皆さんのように感覚でわかる・・・ということはありませんが、それでも貴女が規格外なのはわかります。お気づきでしょう、ギルド全体に張ってあった結界と、私共の探知魔法を?」


「ああ、あの紙テープと蜘蛛の糸みたいなのね」

 最初は壊さないようにそっと振り払うだけだったんだけど、しつこく絡み付いてくるから途中で面倒になって、力任せに振りほどいちゃったんだよね~。


「B級モンスターの進入すら防ぐ防御結界が『紙テープ』で、国家一級魔術師の探知魔法が『蜘蛛の糸』ですか・・・?!」


 愕然とするコラードギルド長の言葉に、ボクも愕然となった。

「ええっ、あんなんでB級モンスターが防げるの?! で、あのレベルで国家一級魔術師!? ――弱っ!!」


 思わず漏れた本音に、さすがにムッとしたらしいガルテ副ギルド長が口を挟んできた。


「言っとくがこのギルドに登録されている冒険者は2万人、そのうちBランクが500人にAランクが60人いる。さらに国の正規兵である駐留軍も500人からいる、お前さんがどんな化物か知らんが、これだけの人数を相手に出来るか?」


 虚勢なのか本気なのか自信満々で言うガルテ副ギルド長に対して、ボクは指を3本立てて見せた。


「――? なんだそりゃ」


「これだけだね。正面からぶつかれば、私一人だけでもこれだけの時間で殲滅してみせるよ」


「・・・3日でできるだと?」


 不満そうに唸るガルテ副ギルド長に対して、ボクは軽く首を横に振った。

「いや、3分間もあれば。――まあ私が連れて来ている部下なら、1人でこの都市ごと3秒で跡形もなく消し飛ばすことができるだろうけど」


『2秒もかかりません!』

 天涯(てんがい)が胸の中で堂々と言い放った。・・・うん、本当だから困るんだよね。


「……馬鹿な…ハッタリだ……」

 自分に言い聞かせるように、うつろな目で言葉をつむぐガルテ副ギルド長。


 むっ、ちょっとカチンときたかな。


「お待ちくださいっ!! ――まさか、『ならば実際にやってみせようか?』などと言うつもりではないでしょうね?!」

 慌てて静止するコラードギルド長の言葉に、そのつもりでいたボクは機先を制せられて軽く目を瞠った。


「・・・やはりそうですか。私は貴女の言葉を全面的に信じます。ですので、どうか戯れにでも、貴女の様な超越的存在が、軽々しくそうした発言をなさらないでいただきたいのです」


 心労でうなだれる姿に、なんか普段の自分の姿が投影されて・・・ゾクゾクと逆説的な喜びというか、『ふっふっふっふ、せいぜい皆でボクの苦労を味わえ』的な感情が一瞬、沸き起こった。


 けどまあコラードギルド長(この人)に落ち度があるわけでもないし、あんまり虐めるのもかわいそうなので、この辺で切り上げることにしよう。


「まあ少なくとも、そちらからちょっかいを掛けなければ、こちらとしては何もするつもりはないので」


「・・・信じるしかないのでしょうね。どうせ我々如きに止められるわけはないのですから。わかりました、こちらからは貴女の行動に対して一切の手出しを行ないません。要望も可能な限り叶えることをお約束します」


「ふーん。じゃあ私からの要望はあとひとつ――あっ、二つかな。ひとつは私への監視も行なわないこと」


 当然監視するつもりでいたのだろう、二人とも苦虫を噛み潰したような顔で、しぶしぶ頷いた。


「もうひとつは、私が滞在中に多分若い女性が何人か、夜に姿が見えなくなって、茫然自失の状態で発見されることがあるかと思うけど、命には別状ないし、しばらくすれば元に戻るので事件にしないこと」


「――おい、ちょっと待て! それって十分な重大事だぞ!? だいたい他の犯罪とどう区別つけるんだ?!」


 なるほど、ガルテ副ギルド長の懸念も一理あるか。他の誘拐と重なったら大変だもんね。

「ああ、そうだね。では、もうちょっと条件を狭めて、年齢は15~20歳まで、美人で健康的で処女であること、あとは姿が見えなくなる前に金髪でものすごーい美形の男と話していた、とかかな」


「それでも結構幅が広いと思うがな。まあいい、要するにさっきまでいたミーアみたいな娘が対象ってことだな?」

 念を押しつつも自分のギルド(ところ)の職員に手は出すなよ、という眼光で睨むガルテ副ギルド長。


「まあそうだけどさ。ミーアさんは大丈夫だよ、確かに好みだけど惜しいことに非処女だし」


「「「「な、なにぃ――!?!」」」」

 なぜかギルド長や護衛の二人も混じって、驚愕の声をあげる。


「――で、では、モナは?! あの窓口の左から3番目の赤毛で清楚そうな!」

 先ほどまでの冷静な仮面をかなぐり捨てて、コラードギルド長が必死に問いかけてくる。いや、あんた変わりすぎでしょう。


「あー、あの娘ね。たぶん2~3人と遊んでると思うよ。複数の男の臭いがしたから」


「ば、馬鹿な……!?」

 この世の終わりのような顔で、その場に膝を突き天を仰ぎ見るギルド長。

 なんかさっきのボクの発言よりもショックを受けてる気がするんですけど?


「だったらルチア…あの黒髪で目の下に泣きボクロのある彼女は?!」

「エレナは?! 金髪でポニーテールの!」


 護衛二人も掴みかからんばかりの勢いで口々に訊いてくる。

 ・・・あの、本能的にボクに近寄れないとかいう話はどーしたの?

 それとも、そんな恐怖も忘れるほど重大な事なのコレ?!


「あ、いや、さすがに個人情報(プライバシー)とかあるので、これ以上は・・・」


 そういっても、なおも詰め寄ってくる二人と、ショックを受けているギルド長、副ギルド長を横目に見ながら、ボクが言うのもなんだけど、つくづく思った。


 男って馬鹿ばっかり。

ちなみにステータスで見ると、


コラードギルド長

 種族:人間(魔術師)

 名前:コラード・アドルナート

 職業:アーラ市冒険者ギルド長

 HP:1,730

 MP:4,150


ガルテ副ギルド長

 種族:人間(重剣士)

 名前:ガルテ・バッソ

 職業:アーラ市冒険者副ギルド長

 HP:4,350

 MP:1,220


で、ギルド長は国家一級資格があるので、ギルドレベル的にはAランク並みです。

緋雪が3分といったのは本気モードで同レベルのモンスター1000匹倒すのにだいたい1~2分なので、ある程度余裕を見込んで3分と言ってます。

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