第5話
午後6時
30分位前に佐川が帰り、たった今妹の遥が部活から帰ってきた。
因みに遥はテニス部に所属している。
遥は台所に向かい冷蔵庫を開けながら、「今夜何食べたい?」と、聞いてきた。
「カレー食いたい。」
「カレールー無しのカレーなるけどいい?」
「それはカレーとは言わないと思うぞ。」
結局、遥の得意な親子丼になった。
北海道の方では、親子丼を頼むと鮭といくらの親子丼が出てくるらしいが、遥の作るのは鶏と卵の方だ。
料理は遥に任せて、俺は魔法の腕時計をいじっていた。
あの後、召喚するドラゴンの大きさは自由に変えられる事が分かった。
『メドゾック』って呪文も使えなくはないが、コントロールが難しいため、腕時計を使う事にした。
以上が、今日佐川と発見したことだ。
「光兄、ご飯出来たよ。」
後ろの台所から声がしたので、親子丼を持ってから椅子に座った。
「「いただきます。」」
箸で親子丼を口に運ぶ。
うまい。
遥の作る親子丼は、ファミレスのより断然うまい。
「そういえば遥に渡す物があった。」
「?(モグモグ)」
俺は、封筒からもう一つの黄色の腕時計を渡す。
「何これ?」
「今日、政府から国民全員に配布された、魔法を使うための腕時計。」
「???」
「まぁ、見てろよ。」
俺は、召喚のドラゴンを30センチ位に設定して呼び出した。
テーブルの上に魔方陣が現れて、小さい黒いドラゴンの黒龍が現れた。
「クギャアァァァァァァ!!」
なんか小さいとかわいい。
「何この子、可愛い☆」
遥も同じようだ。
「ねぇ、光兄どうやるの?」
遥が俺の黒龍に鶏肉を食べさせながら、心のを弾ませて聞いてくる。
「その腕時計の召喚を選んで、何か出てきて欲しい物を想像しながら『決定』を押すと、出てくる。」
説明し終わると、テーブルの上に魔方陣が現れた。
どうやら説明を聞きながら操作していたらしい。
何が現れるのかと、俺は魔方陣をじっと見つめていた。
そして、30センチ位の赤い鳥が現れた。
「朱雀!?」
「そうよ。」
遥が満面の笑みで手の甲を見せる。そこには赤い鳥刻印が入っていた。