ワルツを踊りましょう。
初投稿となります。
思いついたのを1時間かからずに一気に書いてしまっているため、粗が多いと思います。
それでも読んでいただけるというお方がいらっしゃいましたら、是非ともご指南いただきたく思います。
宜しくお願いいたします。
―――夜空を見上げればそこは辺り一面に星が散らばっていた。
それらがまるで組を作って音楽に合わせて踊っているかのように見えた。
それを淡い光で照らし出す満月が、さながら踊り手達の頭上に輝くシャンデリアのようにも見えてくる。
そう、この星空で星たちはワルツを踊っているのだ―――
煌びやかなステージ。
流れる音楽に合わせ、ステージの上では正装した人々が手を取りワルツのリズムに合わせステップを刻む。
おとぎ話の中にあるような誰もが憧れる光景である。
そんな光景を、ステージ脇の袖から眺める少女がいた。
ステージを見つめる少女の淡い栗色の瞳は、憧れといったものの中にもわずかに寂しさといったものが感じられる。少女も、ステージに立っている女性達と何ら変わりはないのである。ただ一つ、左足が偽足であることを除いて。
ワルツも終盤、それに合わせてステージのペアもクライマックスに向かって最後のステップを刻んでいく。それを見ていた少女はゆっくりと立ち上がり、ワルツを最後まで見ることなくステージ袖から出て行った。
玄関を開けると、室内の暖かさとは一転して夜風が冷たい。
息を吐くと、吐く息が白かった。夜空を眺めながら小さな少女はその息の行く先をただ目線で追った。
いつもであれば手入れのされたこの庭園で犬と一緒に歩き回ったりしているものであるが、今は満月に照らされいつもと違う雰囲気に感じられた。
不思議なもので、いつもの見慣れた景色も全く知らない世界の中に迷い込んだかのような錯覚を覚えた。
「・・・。」
その庭園を、ゆっくりと歩く。
「・・んて・・。」
夜空に視線を移すと、星空と満月で彩られた世界が広がっている。
「・・私なんて・・・。」
少女は立ち止まり再び息を吐くと、ほうっと白く色づいた息が広がり夜空に消えていった。
「私だって・・・踊りたいのに・・・。」
見上げた夜空も先ほどまで見ていたステージのように感じられたのか、ふと彼女の瞳からは涙が溢れていた。その涙を拭くことなく、空を見上げ続ける。
「どうして私だけ、こんな身体なの?」
と、自然とこぼした言葉がとても身に染みた。