三人
――若柳目線――
俺は゛若柳晃一゛まぁキミ達とつるむ気無いから覚えなくていいけどね
俺には好きな女が居る名前は゛宮下澄夏゛産まれ持っての綺麗な栗色のロングヘアーを二つくくりにしている
目は大きくて綺麗な緑色の瞳で睫も長くて愛くるしい
外国人の父と日本人の母から生まれたためか目の色は父譲りのようだ
そしていつも笑顔で明るくて大雑把でとても優しい
なのに、どうしてあの子は俺よりもアイツを見るんだろう
どうしてアイツと居るときだけ皆には見せないような笑顔を見せるんだよ
なんでよりにもよって゛月神悠晴゛なんだよ・・・・・・
俺から見て月神 悠晴は暗くて頭は良くて色白で顔なんて眼鏡と髪で見えない
誰とも話そうとしないし冴えないし眼鏡をしていて余計に暗く見える、夏でも体育は長袖長ズボンだし
そしていつも何かを払いのけるような仕草をするから気味が悪い
俺が嫌がらせをしても怒りもしないで平気な顔をしている
そんな奴と俺の好きな奴が仲良く登校する所を窓から見てしまい苛々した
昼飯まで一緒に食べていた
ムカツク・・・ウザイ・・・こんなのは只の嫉妬だ
月神は悪くないのに嫌がらせをしてしまう
俺はどうしてこんなに醜いんだろう・・・・・・
何時も自分が嫌になる
なぜ嫌われる事しかしないのか
本当は仲良くしたいのに―――・・・・・・
――澄夏目線――
なぜ、此処が分かったんだろう
此処は人なんて通らないから私の居場所になっていたのに
どうして私の居る場所を見つけれたんだろう
やっぱり悠晴くんは小さい頃と変わらずに優しい
あーぁーなんで誰も本当の私を見ないんだろう皆見た目しか見ない
そりゃ私は珍しい目をしているし、他人からどう思われてるかは理解しているわ
だからちょっと猫被るのに疲れちゃった、本当の自分を出したいけど今更出すなんて怖い
悠晴くんは虐められてるのに学校嫌じゃないのかな、逃げ出したくないのかな?
「悠晴くん、このまま学校サボっちゃおうよ」
なんとなく言ってしまった彼はどんな反応をするだろうか
いや、彼が何て言うかなんて分かっているのに聞いてしまう
「駄目だよ、一緒に行こう?」
ほら、キミは手を差し伸べて昔と同じ顔で昔と同じ事を言う
優しいキミ
もう少し猫被るのも良いかも知れない
彼は鈍感だから私が猫被ってるなんて気付かないんだろうなー
まぁ気付いた人なんて居ないんだけど、
もう少しキミの優しさに甘えても良いよね?――・・・・・・
――悠晴目線――
若柳と宮下はどんな関係なんだろう
凄く気になる、でも深読みなんて男がするもんじゃないよね
そういえば宮下は昔みたいに笑えていない気がする
ただ、そんな直感だけど
なんだか表面だけ笑っているだけのよう
なんでもっと心から笑わないんだろう――・・・・・・
若柳は俺に良く絡んでくる
なんで俺なんかに絡むのかは些か不明だ
中学校の方が虐めは酷かったし特になんとも思わないけど
アイツの糸はとても素直だ
藍色で透き通っていて表情に出ない分糸は良く分かる
怒ると糸はジグザグ
緊張するとピーンとなる
照れると少しハートに近い丸になる
悲しいと糸が涙マークになる
恥ずかしいと小さくうねうねして
嬉しいと丸くなる
見ていると案外面白い
若柳自身もこれだけ素直ならいいのに――・・・・・・