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スミカ


登校中、彼女に謝るために会おうと思い彼女の淡い黄緑色の糸を辿った


彼女は学校から近く人通りの少ない橋の下で座っていた

俺はそっと彼女の横に立ち


「隣、いいか?」と、聞くと彼女は驚きながら承知の返事を出した


「ど、どうして此処が分かったの?」


その質問に俺は「なんとなく此処に居る気がした」と言った


本当は糸を辿っただけなのに


彼女は満面の笑みを浮かべて風船ガムを膨らましていた


「学校行かないのか?」


「それは悠晴くんも同じじゃない、だって学校に行くの疲れちゃった・・・」


「へぇ・・・」


彼女はそう言い靴と靴下を脱いで川の中に足を入れていた

今日はいつもの二つ結びではなくポニーテールにしてあった


まだ春なのに川の中に足を入れて冷たくないのだろうか


僕は気がつくといつもこの子の心配ばかりしている


この子は自分に無い物を持っている、ただの好奇心だ


「悠晴くん、このまま学校サボっちゃおうよ」


そう言い無邪気に笑う彼女


「駄目だよ、一緒に行こう?」


俺は手を出して相手の行動を待った


すると最初は行きたくないのか頬を膨らましたが僕の手を取り

「しょうがないなぁ」と言って水から上がり靴下と靴をはいて学校まで走った



彼女は1年4組らしい、僕は1組だから大分離れている

少し残念に思いながらもギリギリで教室に入った





自分の机はまた汚されていた、先生が来る前に手早に片付けて席についた

すると斜め後ろの席、机を汚した犯人の若柳はにこやかに話しかけてきた


「今日は遅かったね、どうしたの?」


(なぜコイツはこんな事をしたのに何事も無かったかのように話すのだろう・・・)そう思った


「いや、実は忘れものをして一度家に取りに帰ったんだ」


相手はそれを聞くと興味が無さそうに「へぇ・・・」と言った


若柳の糸は藍色だった、透き通った藍色


そして不思議に思ったのが淡い黄緑色の糸が彼の左手首に繋がっていたことあの糸の色は宮下のだ・・・


そしてその淡い黄緑の糸は相手の手首を締め付けていた


何か怒っているような・・・恨んでいるような


そんな感覚で若柳の手首を締め付けていた


この痛みは糸の見えてる人間にしか分からないのか彼は痛そうでは無い



二人がどういう関係なのか気になりつつ何時もどおりにノートをとった







昼休み、宮下と屋上で昼を食べることになった


俺は疑問に思っていたことを聞いた


「宮下ってさ、若柳とどういう関係?」


「・・・・中学校の同級生だよ」


一瞬驚いた顔をしていた


なぜあの人の名前が、そう聞いているかのような顔だった


「そうなんだ、あ、そういえばこの前は御免な急いでたからってあんな言い方は酷かった」


「ううんっ」


彼女は嬉しそうに微笑んでいた


若柳の時は何であんなに嫌そうな顔をしたんだろう


更に謎が深まった

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