コクハク
彼女はスカートを力いっぱい握っていた
しばらくすると顔を上げないまま弱弱しい声で笑わない理由を教えてくれた
「私、・・・・・家族から嫌われてるの、昔から」
「・・・」
彼女の話を聞き俺は今にも彼女を抱き締めて上げたいと思ったでもそれは友達だからだろう
友達だからこんなにも心配で親身に聞けるのだろう
「今まで辛かったんだな」
こうやって言えたらどれだけ良いだろう
彼女は喜ぶのだろうか
でも、今の僕にはそんな事到底出来なかった触れたら壊れそうだった
何も言ってあげられなかった
彼女は泣いているだろう、辛いだろう
でもどうすれば良いんだろう
しばらくの沈黙の後僕はやっと声が出た
「辛かったんだね・・・良く頑張ったね、直ぐには無理かもしれないけどさ僕の前だけでも素のキミを出して欲しい、それで序所にその素で周りとも接してみようよ、」
彼女はそんなの無理だよっ皆私の事嫌いになっちゃうと弱弱しく言う
「大丈夫、少なくとも僕は嫌いじゃない、僕は素のキミの方が好きだ」
「・・・・!」
彼女はほんのりと頬を赤くしていた
可愛い、そう思った
「僕に言えるのはこれくらいしか無いけど、僕の前で宮下・・・、澄夏の本当の姿を見せて」
僕が手を差し出すと彼女は涙を流して嬉しそうに手を取る
その姿はとても綺麗で儚くて
僕はこの人に恋愛感情を抱いてるのだろうか・・・・・・
こんな気持ちは初めてだ・・・・・・
僕は・・・この子の事が好きなんだ・・・・・・
そう思うと胸の奥が熱くなった