殺戮機械が思い出に浸るとき 148
『それにしても外はどうなんだ?』
吉田の言葉に意外そうな顔をするロナルド。だがすぐに理解をしたというようにうなづくとニンマリと笑った。
『ああ、神前のあんちゃんがクソ漏らしたって話題だぜ』
『あれだけのエネルギーを受け止めたんだ。そのくらい目をつぶってやろう』
フェデロと岡部の言葉にシャムも笑みを漏らす。
「何も変わらないんだね……自分を思い出しても」
『自分を思い出す?ああ、貴官の正体か』
「その口調、知ってたみたいね」
シャムの問いに答えるわけでもなく口笛を吹く。
『無事ですか?シャムさん!ロナルドさん!』
パーラの通信にシャムは静かにうなづく。
『現在第三勢力がそちらに急行しているようです。おそらくは……』
『こいつを受け取るはずだったネオナチの連中か……数は?』
ロナルドの言葉にパーラは顔を曇らせる。
『重巡洋艦クラスが6隻。駆逐艦クラスが13隻』
『ヒュー。あちらも必死だ相当の戦力を割いてきたみたいだな』
ふざけたようにつぶやくロナルドにシャムはそのまま彼らが現れた通路に機体を進めた。
「このままこんな危ないものをあいつ等に渡しちゃいけないんだ」
『おうわかっているよ』
そのまま出撃しようとするシャムの後ろにロナルド達が続く。外に出るとすでに楓の第三小隊はネオナチの先遣部隊と戦闘に入っているところだった。
『艦載機は何機だ?』
『確認できるだけで16機……!』
慌てた調子で通信を続けていたパーラの表情が曇った。
『どうしたい!』
『ネオナチの艦隊の背後に重力波が……』
「やばいね」
シャムの言葉にロナルド達はアサルト・モジュールの体勢を整えた。
『そんなにやばいかね』
吉田が口走った言葉にシャムは怒りの表情を向けるが、次の瞬間ネオナチの最後尾の艦が火を吹くさまがモニターに映った。
『おっ、おっ、覚悟しないといけないんだな……』
独特の吃音のパイロットの通信が入る。シャムは初めて聞く声にすこしばかり気にしながらそのまま先頭の敵機に向けて加速を続けた。
『味方増援です!摂州州軍の部隊です!』
パーラの声が歓喜に変わる。シャムは先頭の敵機の腕をサーベルで切り落としながらその話を聞いていた。
「俊平知ってたでしょ」
『まあな』
吉田の言葉が転換点になったというようにネオナチのアサルト・モジュールは撤退を開始した。それを1機、摂州艦隊から飛び出した真っ赤なアサルト・モジュールが追い続ける。
「だめだよ!深追いは!」
『ふっ、深追いじゃ無いんだな……けっ、牽制なんだな』
モニターの中にウィンドウが開き目の大きな口が半開きのパイロットの顔がアップされた。