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殺戮機械が思い出に浸るとき 125

 相変わらず人気のない廊下を渡り、執務室のドアを開ける。


「なんでアイシャが来てるんだよ」 


 部屋に一番に入って伸びをした要が振り返りながらそう言うのにアイシャはしたり顔でその肩を叩く。


「まあ……私は優秀だから準備はすべて終わってるの。それより……残務整理、たまっているんじゃないの? 」 


 アイシャに指摘されて誠もそそくさと自分のデスクに向かった。机の上には冊子が一枚と小さなディスク。そしてつたない文字で『心配をかけたからやっといたからね!』という手紙が残されていた。


「シャムの奴……気を利かせたつもりかよ。って言うか、シャムの仕事だろ?信用できるのか? 」 


「まあディスクの中身とレポートは副隊長が仕上げたんだろ。シャムが出来るのはそれを机に置くことくらいだ」 


「さすが……よく分かってらっしゃる」 


 カウラの言葉に要は苦笑いを浮かべながらディスクを自分の机の端末のスロットに差し込んで端末を起動させた。


「そう言えば最近クバルカ中佐は徹夜が多かったですからね……」 


「あれじゃあまるで児童虐待だぜ」


「西園寺。帰ったらそれを中佐に報告しておくか? 」 


 皮肉るつもりのカウラの言葉に要は大きく首を振りながら端末の画面を覗き込む。


「こりゃあ丁寧な作りだこと……」 


 誠も続けて立ち上がった端末の画面に丁寧に作り込まれたレポートがあるのを見て頷いた。


「まあランちゃんも凝り性だから……でもこれじゃあ仕事も何も無いわね。本当に隊長の言うとおり帰るしか無いわね」 


「そう言うことか……」 


 渋々要は端末を閉じながらぺらぺらとレポートをめくった。誠も目を通すが、宇宙での05式の動作特性に関する注意事項と連携を中心としたミッションの展開状況に関して念入りな図入りの文面にランの力の入れようを感じた。


「でも……空に浮いてるあれがどうなるかで無駄になるかも」 


 アイシャの一言に場が一瞬で凍り付く。


「その時……アタシ等が何が出来るのかね」 


「それは明日になれば分かることだ。帰るぞ」 


 カウラの一言に誠も緊張した脳を解放しながらそのまま飛び出していく要の後ろに続いた。




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