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武将 古田織部 第26話 戦場跡の匂い

丘の向こうで太鼓の音が続いていた。

父は槍を構え、列の前へ進んでいった。

重然は荷を抱え、父の背が丘の影に消えるのを見た。

昼の光が強くなり、

風が焦げた匂いを運んできた。

丘の上に白い煙が上がった。

太鼓の音が短くなり、

やがて途切れた。

しばらくして、

武具の触れ合う音が近づいてきた。

父が槍を肩にかけて戻ってきた。

穂先に乾いた土がついていた。

父の後ろには、

倒れた敵の指物さしものを持つ男が歩いていた。

布が破れ、風に揺れた。

列の先頭の男が父の槍を見て、

短く頷いた。

「討ち取ったか。」

父は一度だけ頷いた。

夕方の光が道を赤く染め、

男たちの影が長く伸びた。

翌朝。

朝の光が薄く、道の土に白く落ちていた。

重然は荷を抱え、父の後ろを歩いた。

列はもう解かれていた。

武具を外した男たちの草鞋の音が、

一定の速さで続く。

丘の手前で風がひとつ吹いた。

その風に、焦げた匂いと土の匂いが混じっていた。

夜のうちに濃くなった匂いだった。

重然は歩みを止めず、前を見た。

丘を越えると、焼けた草が広がっていた。

黒く縮れた葉が朝の光を受け、白く光った。

根元が折れ、土がむき出しになっていた。

その土の上に、灰が薄く積もっていた。

灰の上で、男たちが静かに動いていた。

折れた槍を拾う者がいた。

柄を持ち上げ、土を払った。

その横で、別の男が布を広げ、何かを包んでいた。

布の端が風にめくれ、黒い土の上で揺れた。

少し離れたところで、荷駄の馬が止まっていた。

背の荷が揺れ、縄がきしんだ。

馬の鼻息が白く上がり、すぐに消えた。

馬の足元には、踏み荒らされた草が広がっていた。

父は前を見たまま言った。

「片づけの最中だ。」

声は低く、土に落ちた。

重然は荷を地面に置いた。

焦げた匂いが風に乗り、ゆっくりと重然の周りを流れた。

道の先では、男が土を掘っていた。

鍬の先が黒い土に入り、短い音がした。

その横で、別の男が折れた槍の穂先を集めていた。

踏みつけられた草が広がり、草の先が朝の光で白く光った。

遠くで鳥が一声鳴いた。

その声は短く、すぐに途切れた。

風が草の先を揺らし、灰がまた舞い上がった。


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