ラジオ風セリフオンリー・第二回
「お久しぶり、失恋したい美少女、椿真鈴です」
「え、リンちゃん失恋したいの!?」
「あ、そっか。本編の詩子は知らない情報だった」
「どういうことなの、メェー君?」
「開幕早々、修羅場を作るなよ。MC紹介の時点で崩壊するなんて聞いたことないぞ……」
「リンちゃん、メェー君が好きなんだよね?」
「大好きよ。スケベを詐欺紛いの契約書でハメ倒して、説教する姿に惚れちゃった」
「それは知ってるよ、女子会したときに話してたから」
「私って美少女だから、男の人は無条件で私を好きになる。誰かに好意を寄せられても、外面を好きなだけだと、私は信用することができない。でも、本気で恋した私が選ばれなかったら、それは本当に私を評価したってことになるでしょ。そんな私の中身を見てくれる人に、本気で恋したい。だから、奏にその役を頼んだのよ」
「それって、メェー君が期待しない人だからですか?」
「そうね」
「そんなの……私、嫌です。リンちゃんはメェー君に選ばれなくて悲しくないんですか?」
「私には詩子がいるから大丈夫よ」
「でも……」
「あー、ラジオ風トーク始まってんだけど……」
「リンちゃんはメェー君のことを信頼できないんですか?」
「……できるわよ。最初は軽い気持ちだったのよ、奏なら簡単に私を手放しくれるって思ってた。でもね、奏が思ってた以上に優しくて真面目で、そんな人に人を傷つけるような真似をさせることに罪悪感を持ったわ」
「あの……本人ここにいるんだけど……」
「奏は本気で私との契約に向き合ってるのに、発案者の私が逃げるわけにはいかないじゃない」
「あれ、俺の声聞こえてない? 本編に影響でないと言っても、本編を読む人には影響するんだけど……」
「メェー君! 今、真剣なお話してるから、静かにしようね」
「……はい」
「リンちゃんはメェー君が好きなんだよね。本当に失恋したいって思ってるの?」
「ええ、それが私にできる誠実な答えよ」
「メェー君は知ってたんだよね?」
「ごめん、俺も共犯者だね」
「メェー君は私のこと、好き?」
「大好きだ、世界で一番」
「……メェー君はどうして、私のことが好きになったの?」
「……最初は好きになる努力をした。真鈴を振るために……」
「じゃあ、嘘だった?」
「それは嘘じゃない。本当に好きになったんだ。詩にゃんを好きになるってずっと思ってたから……」
「……そっか」
「…………」
「…………」
「私はメェー君が大好き。リンちゃんも大好き。ソプラちゃんも大好き。私は誰か一人を選ぶことが正しいとは思わない、それくらい大好きです」
「詩にゃん?」
「詩子?」
「だから、みんなで恋人になろう」
「え?」
「は?」
「そっちのほうがきっと楽しいよ?」
「でも、私は失恋がしたい、そうしないと、今までの努力が嘘になるわ」
「なら、リンちゃんは愛人です。それなら、永遠に失恋できるよね?」
「う、歌子がそれを望むなら、私に拒否権はないわ」
「メェー君は?」
「いや、えっと、それは……」
「リンちゃん嫌い?」
「好きです」
「なら、決まりだね」
「奏の愛人……ふふ」
「ところで、ここで何をするんですか?」
「俺達の物語、失恋青春計画について話す場所だったんだけど……」
「失恋青春計画?」
「ああ、小説家になろうで投稿されてる底辺作家の作品の登場人物なんだ」
「…………もしかして、私、余計なことしちゃった?」
「この作品は詩にゃんが正義だから、問題ないはずさ。それにここでのことは本編には影響しないから」
「そっか、よく分からないけど、別の私が、こんなふうに本編でメェー君とみんなと恋人になりたいって思ってるんだね」
「まだ、そうはなってないけど、あっちの俺が同じ選択をするとは限らないけどね」
「私の大好きなメェー君は、きっと。同じ選択をします」
「はあ、今日はエイプリルフールでした」
「は?」
「だって、四月一日よ」
「リンちゃんと、口裏を合わせてました、ごめんなさい」
「…………知ってた、よ」
「でも、みんなで恋人になれたらいいなって、本当に思ってるよ?」
「それも嘘?」
「どうでしょう」




