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異世界美容院Angeli  作者: イタズ
第4章 変わりゆく異世界編

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市井

世界サミットが開かれてから凡そ三ヶ月の月日が流れていた。

これまでの事を少しおさらいしてみようと思う。


世界サミットはララの大号令の下、ちゃくちゃくと友好条約が結ばれ、世界は安寧の世になっていた。

中にはサミットに加われていない国も複数あるみたいであるが、伝え聞く限りでは、この友好条約は粛々と伝播していくだろうという事である。

今ではほとんどの国の代表者や首領陣達は各国に帰っており、貿易の手筈に奔走していた。

特に商人達は大忙しであり、今がビジネスチャンスと虎視眈々と動きだしていた。

それはそうだろう、これまでは販路は限定的であり、また隣国や他国に物品を持ち込む際には税金がかかっていたのである。

所謂関税であった。

その関税制度が撤廃されたのだ。


これに反抗する貴族達が後を絶たなかったが、流通の加速と多国間での貿易を鑑みると、この制度を撤廃する事が手っ取り早かった。

これを提唱したのはエルザの村のジョルジュである。

ジョルジュにしてみれば、自らの利権で恩恵を貪る貴族達に配慮する必要など全くない。

それどころか、これまで他国との交流が一切無かったエルザの村の便利な魔道具を早く世界に流通させたいのだ。

要らない足枷は排除するに限る。

ジョルジュが目指すのはこの世界の繁栄である。

その想いはララも同様であった。

それを知るジョルジュはララに従順であると言える。


『ララ様の意向』この言葉は何よりも優先された。

ジョルジュにとっては伝家の宝刀と変わらない。

それに時々ジョニーもジョルジュに知恵を貸していた。

ジョニーは基本的に平等主義であり、平和主義者である。

貴族の様な利権で飯を食っている者を嫌っている傾向にある。

立場嫌いこの上ない話だ。


実際ジョルジュに、困ったらララの意向だと答えろと説いたのはジョニーである。

隣で話を聴いていたベルメゾン伯爵はビールを噴き出していた。

それは無いだろうと感じていたに違いない。


ジョニーは肩の上に載っているララに対して、

「それでいいよな?ララ?」


そう問いかけると。

(無理の無い範疇であれば認めよう)

あっさりと擁護してしまっていた。


こうなっては鬼に金剛。

ジョルジュは血気盛んに会議を指揮っていた。




現在極秘裏に検討されている案件があった。

それはララの神殿を建設しようという案である。

当のララは勿論分かっている。

ララに対して極秘裏に事を運ぶことは敵わない。

ララはこの件を眺めて楽しんでいるだけであった。

というのは、ジョニーが知れば猛反発する事は必須である。

その様を見て見たいという、少々捻くれた感情であった。

間違いなくジョニーはブチぎれる、愛する相棒の愛情を感じる事が出来ると考えているのだった。


そしてそれを知ったジョニーは案の定ブチぎれた・・・

「俺のララを俺から奪う気か!」


「俺とララは一心同体なんだぞ!」


「俺達の邪魔をするな!」

猛烈に怒っていた。


流石のメルメゾン伯爵も宥める事が出来ず、言い出しっぺのヘンリー国王が土下座する事態となっていた。

それを見て、ジョニーもやり過ぎたと反省はしたものの、何が何でも阻止すると頑として譲らなかった。

珍しく冷静な美幸もジョニーと共に怒っていた。

それを嬉しそうに眺めるララ。

万遍の笑顔であった。

聖獣とはいえど、人並みの感情がある様である。




美容院『ANGELI』の人気は相変わらずである。

今では半年先まで予約は埋まっている。

どうしても体調等を理由に当日にキャンセルは発生するのだが、キャンセル待ちの客は後を絶たない。

その為、キャンセルがあっても即時に予約表は埋まってしまう。

そもそも半年先以降の予約を受け入れていないのが現状である。

その理由は半年先ともなれば予定の管理は難しく、またスタッフの休暇の取得等も行うことが出来ないからだ。

そうで無くとも『ANGELI』のスタッフは働き過ぎである。

休日も漏れなく髪結い組合で指導しているのだ。

唯一の救いは当の本人達が嬉しそうにしていることだ。

教える事が楽しいのであろう。

頭の下がる思いである。


髪結いさん達との関係性も昔とは随分と違っている。

連日見学者が『ANGELI』に訪れていた。

ジョニーも最初は苦い顔をしていたが、競合を作ろう作戦を前に進める為にも、受け入れざるを得なかった。

余りにたくさんの髪結いさんが見学希望をした為、今では当日の朝にくじ引きで決めることになっていた。

運も実力の内、ちょっと違うか?

髪結いさん達も必死である。




美幸のネイルサロンも爆発的な人気になっていた。

理由は触れる必要もないだろう。

この世界にはマニキュアはない、ましてや付爪など皆無なのだ。

特に王族や貴族には大人気だ。

我先にと最新のトレンドを求めていた。

今では庶民の者達もネイルを楽しんでいた。

その為、美幸の生活も一変していた。

この異世界で初のネイリストして、羨望の眼差しで見つめられていた。

当の本人もそれを楽しそうに受け入れていた。


案の定ネイリストになりたいと弟子入り志願者が殺到した。

今はまだ弟子を取る段階では無いと断ってはいるが、これは時間の問題なのかもしれない。

美幸は異世界での生活を謳歌していた。

それはいいとして、亜紀は相変わらずララをペット扱いしている・・・

ララも何故だかそれを楽しんでいた。


ジョニーの父親である、神野良一はこちらではおやっさんと呼ばれている。

ララがそう言ったのが運の尽き、誰もがおやっさんと呼んでいた。

中には本名がおやっさんだと勘違いしている者もいた。

そんな筈はないのにである。


そのおやっさんの手筈で『ANGELI』と温泉旅館の庭先は、豪勢な日本庭園となっていた。

温泉旅館に関しては、鹿威しまである。

どこから拾ってきたのか、玉砂利や松の木等があった。

これはおやっさんの趣味でしかない。

おやっさんも異世界生活を満喫していた。


そして盆栽が大流行した。

特に高貴な者達は、我先にと盆栽を購入しようとした。

こんな情緒に溢れた一品は他には無いと好まれていた。

ところが簡単に盆栽を販売するほどおやっさんは甘くはない。

先ずは心得を教えるところから始まり、挙句の果てには盆栽講座が開かれていた。

こうなると弟子であるライゼルも必死である。

毎日おやっさんに振り回されていた。


しかし、ライゼルは全くめげてはいなかった。

最高の師匠であると鼻を高くしていた。

どうにも健気な話しである。


異世界は平和になっていっているのは間違いは無さそうだ。


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