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異世界美容院Angeli  作者: イタズ
第4章 変わりゆく異世界編

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その後の市井

遂にパーマ液が完成した。

完成に喜ぶ暇も無く、ジョニーは競合を作ろう作戦を前に推し進めるのだった。

そして世界は大きく舵を切り出していた。

そう、あのララの演説によって・・・




あの全国サミットから二週間が経っていた。

今では温泉宿の宴会室は会議場と化し、毎日喧々諤々と会議が行われている。

連日大賑わいである。

エルザの村の村長が議長を務め、集まっている全ての国の代表者達が参加していた。

その中でも一際羨望の眼差しを送られている者がいた。

ベルメゾン伯爵である。

その理由は明らかである、それはジョニーと懇意にしているだけでなく、ララからも認められたからだ。

なによりもこの温泉街ララが領内に位置していることもそれを後押ししていた。

実際サミットの会場を手配し、その場を仕切る事をララから任されたのである。

この意味は相当に大きい。

いまやその権威は国王を凌ぐ勢いであった。


そんな伯爵も会議には参加している。

本当は国王とお付きの執事以外の者が参加する事は憚られた、というのも他の出席者は全員各国の王や女王なのである。

しかしベルメゾン伯爵は、参加者からは参加して当然と受け止められていた。

当の本人は少々困惑気味ではあったのだが・・・


会議の議題や決議された内容は、夜にはベルメゾン伯爵がララとジョニーに報告されている。

ジョニーは俺には要らない報告だ!としょっちゅう喚いているのだが、お構いなしだ。

いいから聞いてくれと伯爵から懇願されていた。

ジョニーはしょうがないかと、話半分で聞き流す様にその報告を聞いていた。

それであってもベルメゾン伯爵は喜んでいる。

何とも健気である。

これまでの決議で概ね各国家間での友好条約は締結されつつある。

しかしまだまだ議題は山の様にあった。

全員が青色吐息になりつつも、何が何でもやり遂げると必死である。

ララからの直接の命令なのだ、背を向ける事は出来ない。

そんな事をした日には、端弾かれてしまい世界から孤立してしまうだろう。

誰に言われなくとも分かることだ。

全員が全員眼の色を変えていた。


全体の纏め役としてはエルザの村のジョルジュが適任であることが誰からも分かった。

ジョルジュは進行役として、場の雰囲気を見極めて、時には優雅に、時には叱責を行い、全体のバランスを取っていた。

なかなかの手腕である。

各国間のバランスにも配慮し、上手く捌いていた。

とても優秀である。




そして先日、エルザの村の発展を象徴する出来事が起こった。

ある時上空から温泉街ララの中心地に、一隻の船が舞い降りてきたのだ。

それは車に翼が生えたかの様な出で立ちの魔道飛行船だった。

始めてそれを見た者は、物質が宙に浮かんでいる事に恐れ慄き、腰を抜かしそうになっていた。

ララの街は一時騒然となった。

誰もが我が目を疑っていたのだ。


魔道を極めた者が造りし魔道具。

エルザの村を象徴する魔道具であった。

エルザの村は今ではその詳細がジョルジュから語られている。

最初はその村の有り様に、疑問を投げかける者が後を絶たなかったのだが、この出来事によって、ジョルジュの語るエルザの村の魔道具による繁栄は本当の事であると知る事になったのだ。


魔道飛行船から五名の魔導士が温泉街ララに降り立った。

真っすぐに美容院『ANGELI』へと向かい、ララに会わせるようにと懇願した。

ちょうどこの時ジョニーは髪結組合会館におり、不在であった。

でもギャバンとクロムウェルが簡単に通す訳がない。

ちょっとした騒ぎになっていた。

その騒ぎを聞きつけた美幸が、ララを肩に乗せて覗きにきたことは魔導士達にとっては幸運以外の何物でもなかった。

偶然にしてララへの拝謁が叶ったのである。

流石の美幸もこの辺の事情には通じておらず、後に騒ぎを起こせばララに会えるかもというデマが広がっていたのだが、ブチ切れたジョニーに敵う者などおらず、手痛いしっぺ返しを受けていた。


そんな話は脇においておいて。

魔道飛行船はエルザの村の魔導士達の、魔法の腕の確かさと、その実力の高さを証明する事になった。

そしてその後もエルザの村から、様々な魔道具が持ち込まれることになるのだが、今はその多くは語らないとしよう。

ジョルジュとしては実力を示したかっただけに過ぎず、国王達を纏める上で一目置かれた方が話が早いと考えただけに過ぎない。

なかなかの巧者である。


ジョルジュは時々ベルメゾン伯爵と一緒に夜のバー『ANGELI』にやって来てはララに拝謁を行っていた。

流石のジョニーもここには文句を付けなかった。

どちらかと言うと魔法やエルザの村に興味があるのか、ジョルジュを興味深げに眺めていた。

ジョルジュとしても、ジョニーとは親交を深めたいと考えていた為、願ってもないシチュエーションだ。

両者にして曲者同士である。


ジョルジュにしてみれば、メイフェザーからの報告には美容院『ANGELI』とジョニーが必ず絡んでいたのだから。

興味を覚えない訳が無いということだ。

そしてジョルジュはジョニーと親交を深めていった、それも自然な形で。

ジョニーとしても話の分かる相手が出来たと喜んでいた。

それにジョニーにとっては最新の魔道具に興味をそそられていた。

実際に話を聞いてみると、ジョニーの知らない様々な魔道具がエルザの村にはあるらしく、時間が出来たらジョニーとララをエルザの村に招待するとジョルジュは誇らしそうにしていた。

ノリノリで見学に行くとジョニーも嬉しそうにしていた。

そしてジョルジュにとっても、美容院は始めてである。

こんなお店が存在したのかと眼を見開いていた。


そしてジョルジュはジョニーの美容師の腕と技術に脱帽した。

特別にモニターとしてカットを受けた時には感動を覚えていたのだ。

どちらかと言えば、髪形などは無頓着な方のジョルジュである。

今ではフェードカットはお気に入りで、毎朝髪形を整える事に喜びを感じていた。

もうヘアースタイリング剤は手放せないと騒いでいたらしい。




その様子を遠巻きに各国の代表者達は羨ましそうに見つめていた。

だが対応を間違ってはいけない相手の為、躊躇してしまうのだ。

そこに我が物顔で混じり込んで来たのはダンバレー国の国王ヘンリーだった。

ヘンリーにとってもこの温泉街ララは国内にある為、誇らしげにしている。

我が国に聖獣フェアリーバードが顕現した、そしてここには『ANGELI』があると。

ジョニーは最早この国王とは勝手知ったる仲である。

遠慮など皆無なのだ。

礼儀も何もあった物では無くなっている。

そしてヘンリー国王もそんな間柄を楽しんでいる節がある。

国王に対してここまで遠慮のない者など一人もおらず、平気できつい一言を言い放つ相手。

不思議とそんな関係を心地よく感じていたのだ。

もしかしたらヘンリー国王はMっけがあるのかもしれない・・・




そして連日会議は行われた。

この世界は着実に平和へと突き進みだした。

各国が手を取り合い、お互いを尊重し、繁栄を築こうと歩み始めたのだった。

国家間での交流や、流通も始まり出したのである。

それをララは誇らしげに睥睨していた。

最愛のジョニーの肩の上で。



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